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行動計画⑨
私の頭の中で三人娘が泣いている。
『ねえね、さむい~、さむいよ~』
『るり、おなかへっちゃ~、ねぇね、おなかへっちゃ~』
『ちゃむい、ちゃむい、ねーね、くりちゅ、おなか、へっちゃ~』
寒い中で、吹きさらしの雪の中でぶるぶる震えている。
「がるぅ、がるぅ…………」
寒がりのコハクがぶるぶる震えている。
そして、つい最近風邪を引いて、大騒ぎになった元気が力なくよこたわっている。
あ、いかん、思い出したら、いかん。
「なんでわざわざ寒い時期なん? 今すぐ鍛えなくてもよかやん。まだ、成体にもなっとらんのよ」
「そうや、まだ、子供なんよ。せめて成体になってからでよくないね? 今の魔境は栄養源になるような魔物が少ないって言ってたやん」
晃太も同じような考えの顔や。
だいたい、うちの仔達は立派な箱入りウルフと箱入りジャガーなんやから。私という主人がいるのに、そんな生命を脅かしそうな環境にしなくても。
『ユイ、私達はユイに出会えて恵まれているのです』
『そうね。当たり前のように、暖かい寝床、綺麗な水、他からの不可侵のルーム。本来はあり得ない空間』
すう、と私の顔を覗き込むビアンカとルージュ。
『でもそれは慢心を生むのです。ユイがいれば、必ず身体を休める場所があると思うのです』
『そうなれば、油断に繋がるわ。後がない、僅かな隙が死に繋がる。そう骨身に叩き込む程に追い詰められることはないわ』
「ルームは私のスキルなんよ、家族なんや、皆が使えるのは当たり前なんよ。私が皆を危険に晒したくないから、ルームを使っているだけやないね」
暖かい従魔の部屋から、何事かと勘づいたのか、三人娘が起き上がっている。
『主ハ甘イナ』
「それでよかとっ。それについ最近やん、元気が風邪引いて、大変やったやん。もしそうなったらどうするんっ」
その言葉に、ビアンカとルージュが詰まる。
『ユイ、私達は恵まれているのです。本来なら、元気はあの時死を待つだけだったのです』
『ユイが、お父さんやお母さんが手を尽くしてくれたからよ。でもね、それは魔物にしては異常なのよ』
「やから、それは皆が、私と従魔契約しているから、大事な家族やから当たり前の事しただけやん」
首を左右に振るビアンカとルージュ。
『それではダメなのです』
『ユイには感謝してるわ。でもね、そろそろ追い詰められた極限状態を経験しなくてはならないわ』
「やけど、まだ、皆、子供やん」
ビアンカとルージュの言うのが正論なのかもしれないけど、私には、寒い中で泣いている仔達がいる。
『確かにまだ幼体なのですが、この経験を越えたら更に前に進めるのです』
『必要な経験よ。ユイ達のおかげで、同年代の幼体に比べたら、頑丈に育っているわ』
『私とルージュは、ユイ達を信じているのです。元気達の為に手を尽くしてくれたのです』
『だから、信じて』
『『私達を』』
うっ。隣で晃太も、うっ。
父も心配そうに見ている。
「必要な、事なんやね?」
『そうなのですね』
『実は前から話していたの。今、魔境とこのルームは繋がっているし、丁度いいかなって』
ダンジョンやGの巣での訓練とは違う。だって絶対に安全なルームで休めるからね。魔境での訓練はそうはいかない。寒さや飢えをどうにか対応するサバイバル訓練。これを乗り越えたら、一皮も二皮も剥けると。
ビアンカとルージュも乗り越えた事。必要な経験。やけどなあ、うちの仔達は立派な箱入りやからなあ。
「でもさ、ほら、マーファに帰ったら、ダンジョン行くやん。宝箱の罠の解除はどうするん?」
晃太が思い出したように言う。それがあった。ルージュのおかげで罠の恐ろしさを知らない。
「あ、そうや、罠、どうするん? ご褒美部屋だってさ」
『心配ないわ。アリスに教えるから』
『アリスは優秀なのですよ。直ぐに覚えるはずなのです』
「デスヨネ」
ビアンカとルージュの顔を見ると、なんと言うか、揺るがない感じやしなあ。
『アレスも置いて行くのです』
『戦力は心配ないわ』
「いや、心配はそこやないんやけど」
はあ、とため息をつく。
多分私達が渋っても、ビアンカとルージュの考えは変わらないような気がする。
「分かった。やけど、こちらの条件ものんでよ」
「姉ちゃん、よかと?」
「必要な事なんやろ。私は魔物の事は、よくわからないけん、ビアンカとルージュが正論なんやろ。きっと、元気達の為や」
「やけど…………」
「心配なのは分かるよ。私も心配やし。その為の条件や」
私は条件を提示する。
「私からの条件は一つよ。もしこの前みたいに元気が具合悪くなったり、大怪我したら、必ず警報器を押すんよ」
『分かったのです』
『分かったわ』
「あ、わいからも。よか?」
晃太も思い付いたようや。
「鼻水君がエリアボスの魔境で訓練よね?」
『そうなのですね』
「なら、マーファに帰る途中まで一緒に行くこと」
「『『?』』」
晃太の条件が分からず?が浮かぶ。
「ルームにはサブ・ドアがあって繋がっとるやん? もしよ、ここで別れたとしてよ、うちらはマーファに向かうんばい。訓練が終わってからサブ・ドアを通じて合流するのは、怪しまれるばい。カルーラやアルブレンを経由してマーファに帰る時に、ビアンカやルージュがおらんのは確認されるはずや。それなのに、いきなり出てきましたなんてあってん? 絶対怪しまれるばい」
「ああ、そうやねえ」
ビアンカやルージュ、仔達の存在は確認されるはず。只でさえ色々警戒されるほど強いために、ギルドはその存在を見逃す訳がない。カルーラで存在が確認されなかったのに、遠いマーファでいきなり一緒にいたら怪しまれるはずや。ルームがばれないとも限らない。
「で、具体的にはどうするん?」
「体裁上、マーファの近くで訓練してる風にするんよ。丁度、マーファとスカイランの間に山がある魔の森があるけん、そこで訓練してるって事にするんよ。そうしたら、合流にも問題はなかやろ?」
「なるほど。マーファに帰る途中で、魔の森に寄って、サブ・ドアを使って鼻水君のエリアに移動するんやね。訓練が終われば警報器押して、迎えに行けばいいわけね。よかね?」
『難しいのですが、いいのです』
『そうね。ギリギリまでアリスの指導をするわ』
心配やけどね。
あ、いけん。
「皆さんすみません、お話中断して」
呆然としていた皆さんに謝罪して、簡単に説明。
「なら、魔境育ちのウルフ達が加わると?」
フェリクスさんが確認するように聞いてくる。
「はい。一匹はイシスの後を継いで魔境のエリアボスになったウルフで、アリスの弟です。ビアンカとルージュと引けも取らないアーマーキングウルフです」
鼻水君です。
アーマー系の雄の最強ー、魔境ー、エリアボスー、と呟くみなさん。
「それから、若手のウルフ達も加わります。お父さん、これでどうかね?」
「そうやな。鼻水君が加わるのは大きいなあ。その若手のウルフ達って何匹かね?」
『イシス、何匹連れていくのです?』
『アノ生意気ナガキドモ全テデ、12ダナ』
『イシスが生意気って、どんな若手よ』
『会エバ分カル』
なんやねん。
私はちらりと父を確認。
「その若手のウルフ達次第やな。後は神様から頂けるブースト次第やね」
「そうね。よし」
私は決断。
「私達はマーファに帰ります。ツヴァイクさん、エドワルドさんお願いします」
「任せてくれ」
にかっ、と笑うツヴァイクさん。
「我々はできるだけの研鑽をしますかね」
「そうですね」
と、ケルンさんとフェリクスさん。寂しそうに、アルスさんがみてくる。う、なんや、刺さる。
「まずは鼻水君達を説得。時間がかかれば、明日、神様に報告しましょう」
まずは鼻水君達に説明ばしてからだね。
お昼は定番のJOY-Pのランチにした。ハンバーグと塩唐揚げだった。
一休みしてから、魔境にいる鼻水君達に説明をするため、皆さんは一旦コテージに戻る。
見送ってから、私は従魔の部屋を覗くと、仔達のかわいか寝顔があった。
必要な事やと思うけど、私は不安で一杯だった。
『ねえね、さむい~、さむいよ~』
『るり、おなかへっちゃ~、ねぇね、おなかへっちゃ~』
『ちゃむい、ちゃむい、ねーね、くりちゅ、おなか、へっちゃ~』
寒い中で、吹きさらしの雪の中でぶるぶる震えている。
「がるぅ、がるぅ…………」
寒がりのコハクがぶるぶる震えている。
そして、つい最近風邪を引いて、大騒ぎになった元気が力なくよこたわっている。
あ、いかん、思い出したら、いかん。
「なんでわざわざ寒い時期なん? 今すぐ鍛えなくてもよかやん。まだ、成体にもなっとらんのよ」
「そうや、まだ、子供なんよ。せめて成体になってからでよくないね? 今の魔境は栄養源になるような魔物が少ないって言ってたやん」
晃太も同じような考えの顔や。
だいたい、うちの仔達は立派な箱入りウルフと箱入りジャガーなんやから。私という主人がいるのに、そんな生命を脅かしそうな環境にしなくても。
『ユイ、私達はユイに出会えて恵まれているのです』
『そうね。当たり前のように、暖かい寝床、綺麗な水、他からの不可侵のルーム。本来はあり得ない空間』
すう、と私の顔を覗き込むビアンカとルージュ。
『でもそれは慢心を生むのです。ユイがいれば、必ず身体を休める場所があると思うのです』
『そうなれば、油断に繋がるわ。後がない、僅かな隙が死に繋がる。そう骨身に叩き込む程に追い詰められることはないわ』
「ルームは私のスキルなんよ、家族なんや、皆が使えるのは当たり前なんよ。私が皆を危険に晒したくないから、ルームを使っているだけやないね」
暖かい従魔の部屋から、何事かと勘づいたのか、三人娘が起き上がっている。
『主ハ甘イナ』
「それでよかとっ。それについ最近やん、元気が風邪引いて、大変やったやん。もしそうなったらどうするんっ」
その言葉に、ビアンカとルージュが詰まる。
『ユイ、私達は恵まれているのです。本来なら、元気はあの時死を待つだけだったのです』
『ユイが、お父さんやお母さんが手を尽くしてくれたからよ。でもね、それは魔物にしては異常なのよ』
「やから、それは皆が、私と従魔契約しているから、大事な家族やから当たり前の事しただけやん」
首を左右に振るビアンカとルージュ。
『それではダメなのです』
『ユイには感謝してるわ。でもね、そろそろ追い詰められた極限状態を経験しなくてはならないわ』
「やけど、まだ、皆、子供やん」
ビアンカとルージュの言うのが正論なのかもしれないけど、私には、寒い中で泣いている仔達がいる。
『確かにまだ幼体なのですが、この経験を越えたら更に前に進めるのです』
『必要な経験よ。ユイ達のおかげで、同年代の幼体に比べたら、頑丈に育っているわ』
『私とルージュは、ユイ達を信じているのです。元気達の為に手を尽くしてくれたのです』
『だから、信じて』
『『私達を』』
うっ。隣で晃太も、うっ。
父も心配そうに見ている。
「必要な、事なんやね?」
『そうなのですね』
『実は前から話していたの。今、魔境とこのルームは繋がっているし、丁度いいかなって』
ダンジョンやGの巣での訓練とは違う。だって絶対に安全なルームで休めるからね。魔境での訓練はそうはいかない。寒さや飢えをどうにか対応するサバイバル訓練。これを乗り越えたら、一皮も二皮も剥けると。
ビアンカとルージュも乗り越えた事。必要な経験。やけどなあ、うちの仔達は立派な箱入りやからなあ。
「でもさ、ほら、マーファに帰ったら、ダンジョン行くやん。宝箱の罠の解除はどうするん?」
晃太が思い出したように言う。それがあった。ルージュのおかげで罠の恐ろしさを知らない。
「あ、そうや、罠、どうするん? ご褒美部屋だってさ」
『心配ないわ。アリスに教えるから』
『アリスは優秀なのですよ。直ぐに覚えるはずなのです』
「デスヨネ」
ビアンカとルージュの顔を見ると、なんと言うか、揺るがない感じやしなあ。
『アレスも置いて行くのです』
『戦力は心配ないわ』
「いや、心配はそこやないんやけど」
はあ、とため息をつく。
多分私達が渋っても、ビアンカとルージュの考えは変わらないような気がする。
「分かった。やけど、こちらの条件ものんでよ」
「姉ちゃん、よかと?」
「必要な事なんやろ。私は魔物の事は、よくわからないけん、ビアンカとルージュが正論なんやろ。きっと、元気達の為や」
「やけど…………」
「心配なのは分かるよ。私も心配やし。その為の条件や」
私は条件を提示する。
「私からの条件は一つよ。もしこの前みたいに元気が具合悪くなったり、大怪我したら、必ず警報器を押すんよ」
『分かったのです』
『分かったわ』
「あ、わいからも。よか?」
晃太も思い付いたようや。
「鼻水君がエリアボスの魔境で訓練よね?」
『そうなのですね』
「なら、マーファに帰る途中まで一緒に行くこと」
「『『?』』」
晃太の条件が分からず?が浮かぶ。
「ルームにはサブ・ドアがあって繋がっとるやん? もしよ、ここで別れたとしてよ、うちらはマーファに向かうんばい。訓練が終わってからサブ・ドアを通じて合流するのは、怪しまれるばい。カルーラやアルブレンを経由してマーファに帰る時に、ビアンカやルージュがおらんのは確認されるはずや。それなのに、いきなり出てきましたなんてあってん? 絶対怪しまれるばい」
「ああ、そうやねえ」
ビアンカやルージュ、仔達の存在は確認されるはず。只でさえ色々警戒されるほど強いために、ギルドはその存在を見逃す訳がない。カルーラで存在が確認されなかったのに、遠いマーファでいきなり一緒にいたら怪しまれるはずや。ルームがばれないとも限らない。
「で、具体的にはどうするん?」
「体裁上、マーファの近くで訓練してる風にするんよ。丁度、マーファとスカイランの間に山がある魔の森があるけん、そこで訓練してるって事にするんよ。そうしたら、合流にも問題はなかやろ?」
「なるほど。マーファに帰る途中で、魔の森に寄って、サブ・ドアを使って鼻水君のエリアに移動するんやね。訓練が終われば警報器押して、迎えに行けばいいわけね。よかね?」
『難しいのですが、いいのです』
『そうね。ギリギリまでアリスの指導をするわ』
心配やけどね。
あ、いけん。
「皆さんすみません、お話中断して」
呆然としていた皆さんに謝罪して、簡単に説明。
「なら、魔境育ちのウルフ達が加わると?」
フェリクスさんが確認するように聞いてくる。
「はい。一匹はイシスの後を継いで魔境のエリアボスになったウルフで、アリスの弟です。ビアンカとルージュと引けも取らないアーマーキングウルフです」
鼻水君です。
アーマー系の雄の最強ー、魔境ー、エリアボスー、と呟くみなさん。
「それから、若手のウルフ達も加わります。お父さん、これでどうかね?」
「そうやな。鼻水君が加わるのは大きいなあ。その若手のウルフ達って何匹かね?」
『イシス、何匹連れていくのです?』
『アノ生意気ナガキドモ全テデ、12ダナ』
『イシスが生意気って、どんな若手よ』
『会エバ分カル』
なんやねん。
私はちらりと父を確認。
「その若手のウルフ達次第やな。後は神様から頂けるブースト次第やね」
「そうね。よし」
私は決断。
「私達はマーファに帰ります。ツヴァイクさん、エドワルドさんお願いします」
「任せてくれ」
にかっ、と笑うツヴァイクさん。
「我々はできるだけの研鑽をしますかね」
「そうですね」
と、ケルンさんとフェリクスさん。寂しそうに、アルスさんがみてくる。う、なんや、刺さる。
「まずは鼻水君達を説得。時間がかかれば、明日、神様に報告しましょう」
まずは鼻水君達に説明ばしてからだね。
お昼は定番のJOY-Pのランチにした。ハンバーグと塩唐揚げだった。
一休みしてから、魔境にいる鼻水君達に説明をするため、皆さんは一旦コテージに戻る。
見送ってから、私は従魔の部屋を覗くと、仔達のかわいか寝顔があった。
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