714 / 867
連載
カルーラで年越し~春まで⑦
しおりを挟む
イシスが先頭で進むと、暗い中に、灯りが灯された馬車が浮かぶ。
あ、地面に転がるのは、荒くれ風の格好をした男達。アレスがじーっと見ている。し、死んでないよね。
駆け付けると、チュアンさんがルージュと護衛騎士の一人の手当てをしていた。
「ルージュ、チュアンさんっ」
『ユイ、イシスも来たのね。殺意があったのはすべて拘束したわ』
「ユイさん。手当てはほぼ済みました。大使は馬車内です」
「ありがとうございます。ルージュ、ありがとう」
『これくらいいいのよ』
護衛騎士、中年くらいの騎士は座ったままペコリ。どうやら肩に矢を受けたみたい。地面に矢じりに血がついた矢が転がっている。大変なお仕事やな。他の二名も手当て済んでいるようや。一番若い騎士は座り込んでいたが立ち上がり、もう一人はベテラン感のある騎士は、周囲を警戒している。
ホークさんは馬車を引いていた馬を宥めている。馭者さんも真っ青だけど、無事のようや。
そこにマデリーンさんと共に警備の方が数人走ってきた。
暗闇からビアンカが姿を表す。
『ユイ、殺意があった連中は気絶させてあるのでる。そこにまとめているのです』
薪やないやろうに。やけど、結構な数やな。何事? 大使って、そんなに危ない役職なんなね。
「ありがとうビアンカ」
さて。
私は馬車に向かって声をかける。
「モーガン大使、ミズサワです。もう大丈夫ですよ」
中から少し顔を出したのは、侍従の方だ。
「ミズサワ様、ご助力感謝致します。大使夫妻はご無事です。安全を期して、このまま大使館に戻りますが、後日改めて御礼のご挨拶に参ります」
まあ、そうだわな。いくらビアンカやルージュ達がいても避難せんとね。
「分かりました。イシス、心配やけん着いてってくれる」
『ウム、ヨカロウ』
「このイシスが大使館まで同行しますので、ご安心ください」
「重ね重ねありがとうございます」
侍従さんは、中年の騎士の方に事情説明の為に残るように伝え、馬車は去っていった。
さあ、後片付けやね。こん人達、どうしようかね。
私の事情聴取は直ぐに終わった。
「テイマー様はお帰りになってかまいません」
いいのかな?
「ユイさん、俺とチュアンは残ります」
「姉ちゃんはマデリーンさんと帰り、わいが通訳で残るけん」
襲撃者を実際撃退したのは、ビアンカとルージュなので、通訳として残ってくれる。
アレスが暇になったのか、気絶した襲撃者をツンツンし始めた。やめて、単なるツンツンでもアレスみたいにデッカイのがやるのは恐い。アレスを連れて先に帰ることに。
「ほら、アレス帰るよ」
『分かったのだ』
ツンツン。やめて。
私はマデリーンさんとアレスでパーティーハウスに戻る。
父も既に帰宅していたみたい。
「優衣、モーガンさん達は?」
足元にお帰りローリングを披露する花を撫で回す。母が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫よ、安全策のために大使館に先に帰ったよ。晃太とホークさんは事情聴取ね」
「そうね」
話を聞いて、ほっとしたような母。
「やけど怖かね。大使が襲われるなんて」
母がローリングから戻って来た花に、こわかね、と語りかける。確かに、これが日本なら大問題やない? いや、外国でもそのはず、国際問題や。
「国際問題になりますよ。おそらく領主様が直々にうごかれますよ」
と、マデリーンさんが教えてくれる。
「え? イコスティ辺境伯が? そうなります?」
「そうなります。アスラ王国の大使が、自分の管轄内で襲撃を受けて何も動かなければ、無能の烙印を押されますからね。これが大使や負傷したり、命をおとしたりしていたら、前代未聞ですよ」
あ、やっぱり。
「後は襲撃者達の意図ですね。それ次第で事態が変わりますけどね」
「そうですか」
襲撃者達の意図ね。護衛騎士を引き連れた馬車を襲ったのだ、単なる破落戸とは思えないし、数が多い気がする。素人の私もそう考えてしまう。
「晃太とホークさんは遅くなるかね? ご飯どうしようかね?」
母が悩んでいるが、何時になるか分からないから、とりあえず準備して、私のアイテムボックスにいれておくことにする。
イシスが早々と帰って来たが、やはり晃太達の帰りは遅かった。
あ、地面に転がるのは、荒くれ風の格好をした男達。アレスがじーっと見ている。し、死んでないよね。
駆け付けると、チュアンさんがルージュと護衛騎士の一人の手当てをしていた。
「ルージュ、チュアンさんっ」
『ユイ、イシスも来たのね。殺意があったのはすべて拘束したわ』
「ユイさん。手当てはほぼ済みました。大使は馬車内です」
「ありがとうございます。ルージュ、ありがとう」
『これくらいいいのよ』
護衛騎士、中年くらいの騎士は座ったままペコリ。どうやら肩に矢を受けたみたい。地面に矢じりに血がついた矢が転がっている。大変なお仕事やな。他の二名も手当て済んでいるようや。一番若い騎士は座り込んでいたが立ち上がり、もう一人はベテラン感のある騎士は、周囲を警戒している。
ホークさんは馬車を引いていた馬を宥めている。馭者さんも真っ青だけど、無事のようや。
そこにマデリーンさんと共に警備の方が数人走ってきた。
暗闇からビアンカが姿を表す。
『ユイ、殺意があった連中は気絶させてあるのでる。そこにまとめているのです』
薪やないやろうに。やけど、結構な数やな。何事? 大使って、そんなに危ない役職なんなね。
「ありがとうビアンカ」
さて。
私は馬車に向かって声をかける。
「モーガン大使、ミズサワです。もう大丈夫ですよ」
中から少し顔を出したのは、侍従の方だ。
「ミズサワ様、ご助力感謝致します。大使夫妻はご無事です。安全を期して、このまま大使館に戻りますが、後日改めて御礼のご挨拶に参ります」
まあ、そうだわな。いくらビアンカやルージュ達がいても避難せんとね。
「分かりました。イシス、心配やけん着いてってくれる」
『ウム、ヨカロウ』
「このイシスが大使館まで同行しますので、ご安心ください」
「重ね重ねありがとうございます」
侍従さんは、中年の騎士の方に事情説明の為に残るように伝え、馬車は去っていった。
さあ、後片付けやね。こん人達、どうしようかね。
私の事情聴取は直ぐに終わった。
「テイマー様はお帰りになってかまいません」
いいのかな?
「ユイさん、俺とチュアンは残ります」
「姉ちゃんはマデリーンさんと帰り、わいが通訳で残るけん」
襲撃者を実際撃退したのは、ビアンカとルージュなので、通訳として残ってくれる。
アレスが暇になったのか、気絶した襲撃者をツンツンし始めた。やめて、単なるツンツンでもアレスみたいにデッカイのがやるのは恐い。アレスを連れて先に帰ることに。
「ほら、アレス帰るよ」
『分かったのだ』
ツンツン。やめて。
私はマデリーンさんとアレスでパーティーハウスに戻る。
父も既に帰宅していたみたい。
「優衣、モーガンさん達は?」
足元にお帰りローリングを披露する花を撫で回す。母が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫よ、安全策のために大使館に先に帰ったよ。晃太とホークさんは事情聴取ね」
「そうね」
話を聞いて、ほっとしたような母。
「やけど怖かね。大使が襲われるなんて」
母がローリングから戻って来た花に、こわかね、と語りかける。確かに、これが日本なら大問題やない? いや、外国でもそのはず、国際問題や。
「国際問題になりますよ。おそらく領主様が直々にうごかれますよ」
と、マデリーンさんが教えてくれる。
「え? イコスティ辺境伯が? そうなります?」
「そうなります。アスラ王国の大使が、自分の管轄内で襲撃を受けて何も動かなければ、無能の烙印を押されますからね。これが大使や負傷したり、命をおとしたりしていたら、前代未聞ですよ」
あ、やっぱり。
「後は襲撃者達の意図ですね。それ次第で事態が変わりますけどね」
「そうですか」
襲撃者達の意図ね。護衛騎士を引き連れた馬車を襲ったのだ、単なる破落戸とは思えないし、数が多い気がする。素人の私もそう考えてしまう。
「晃太とホークさんは遅くなるかね? ご飯どうしようかね?」
母が悩んでいるが、何時になるか分からないから、とりあえず準備して、私のアイテムボックスにいれておくことにする。
イシスが早々と帰って来たが、やはり晃太達の帰りは遅かった。
3,014
あなたにおすすめの小説
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
手放したのは、貴方の方です
空月そらら
恋愛
侯爵令嬢アリアナは、第一王子に尽くすも「地味で華がない」と一方的に婚約破棄される。
侮辱と共に隣国の"冷徹公爵"ライオネルへの嫁入りを嘲笑されるが、その公爵本人から才能を見込まれ、本当に縁談が舞い込む。
隣国で、それまで隠してきた類稀なる才能を開花させ、ライオネルからの敬意と不器用な愛を受け、輝き始めるアリアナ。
一方、彼女という宝を手放したことに気づかず、国を傾かせ始めた元婚約者の王子。
彼がその重大な過ちに気づき後悔した時には、もう遅かった。
手放したのは、貴方の方です――アリアナは過去を振り切り、隣国で確かな幸せを掴んでいた。
【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
2026.1月24日より連載版投稿開始予定❗️
【完結】最愛から2番目の恋
Mimi
恋愛
カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。
彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。
以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。
そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。
王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……
彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。
その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……
※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります
ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません
ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。