853 / 865
連載
騒がしい始まり⑨
しおりを挟む
「ユイさん、どうされました?」
「エマちゃんにトラブルみたいです。アレスが守っているみたいですけど」
さっ、とホークさんの警戒度が高くなる。アレスの事や、また、やの付く職業の人達も裸足で逃げ出すような顔で唸り声を上げているはず。母やアリスがいるから飛びかかるような事にはならないはず。
しかし、現在、ギルド内にいるのに、それでもトラブルって一体どういう事?
「ミズサワ様?」
「すみませんイゴールさん、ロビーで何かあったみたいで、ちょっと失礼します」
私が立ち上がると、慌ててイゴールさんとジョレスさんも続く。
『ユイ、コウタとお父さんも動き出したのです。おそらく向こうも同時くらいに着くのです』
ビアンカが気がついたんや、ルージュやイシスが、気が付かんわけないか。
急ぎ足でロビーに戻る途中からも、騒ぐ声が、怒号に近い声が聞こえる。
奴隷は出ていけ
その言葉が耳に付いた瞬間、冷静になろうとしていた頭に、血が登っていく。我ながら単純だけどね。でも、口撃されているのはエマちゃんだ、怖かろうに、すぐに行かねばっ。
私達が到着すると、そこそこの人だかりになっていた。もしかしたら、私達がギルドに入ったのを見てから、物見遊山で集まってしまったかも。
ほとんどが冒険者の方みたいだけど、一般?の方も混じっている様子。
ま、ギルドは開けた組織で、生活に密着しているし、色んな分野の人達が所属し、求めてくる。もちろん、一般の皆さんも足を運んだっていいしね。
一瞬、見えなかったけど、僅かな隙間から、アレスが牙をちらちらと見せ、唸り声を上げる寸前だ。
他は見えんけど、とにかく向こうに行かんと。
私が一番近いの人、私達から背を向けている人に、声をかけようとすると、
『ユイ、任せるのです』
と、ビアンカがずいずい行くと、予想していた通り、半分悲鳴を上げながら、道を譲ってくれた。すみません。
道を開けてくれた人は、ひーっ、て顔していたけど、数人は何故か、一瞬で険しい顔つきになる。その視線が私の後ろに立つホークさんに突き刺さっているのが、瞬時でわかる。聞いてはいたが、シーラにおける奴隷に対するものなんだろう。
だが、そんなの構っていられない。
人並みを抜けると、その中央には背中の毛を逆立て、目を吊り上げたアレス、そのアレスのすぐ後ろに張り付くアリス。警戒する金の虎のファングさん、ガリストさん。更に後ろにルリとクリスにシルフィ達がいるので、母たちの姿が見えない。
私達の登場に、一瞬、しん、となったがすぐにざわざわし始める。
気にせずに、私達は固まっている面々と合流する。
「アレス」
目を吊り上げているアレスの首筋をそっと触れる。
『気に食わないのだ、母と童に敵意を向けたのだ、許せないのだ』
喉奥から響くような唸り声、こりゃ、かなりお冠やな。
よしよし、守ってくれたんやね。
いつでも抑えられるようにいたアリスもよしよし。
そっと、道を開けてくれたファングさんとガリストさんに、小声でお礼を伝える。
『ねぇね、ルリ、あの人たち言うのこと、よく分かんないっ』
『イジワルな感じがするのっ、クリス、嫌っ』
ぷりぷりとしているが、いまだに母親ビアンカの迫力には、足元には及ばす、愛らしいぷりぷり。
よしよし。
やや不安そうな顔をしているシルフィ達に囲まれて、母とエマちゃんが。申し訳なさそうさと、戸惑いが混じった顔のエマちゃんを、母が庇うように立っていた。すぐ近くにいてくれた、リィマさん達もホッとした顔。
「お待たせ」
私がそう言うとが、母とエマちゃんがホッとした顔になる。
無事を確認した時、再び怒号が響く。
「ここはギルドだぞっ、奴隷が入り込んでいい場所じゃないっ」
「さっさとつまみ出せっ」
エトセトラに飛び出す、耳にして、気持ちいい言葉ではない。そら、出ていけ、そら、ふざけるな、そら、奴隷が。
ぷちぷちと、堪忍袋の尾が、細かく断裂するように切れていく。
「黙らんかっ、バカどもっ」
完全に切れる前に、一括してくれたのは、付き添ってくれていたボスザさんだ。
すごい声量で、すごい迫力。そのおかげが、緊張感のある静寂に包まれる。ボスザさんは一睨みし、振り返る。
「ミズサワ殿、申し訳ない。いったん移動をお願いしたい」
と、頭を下げてきた。そこに、更に怒号が飛ぶ。
「奴隷連れてるような奴に頭なんか下げやがって」
「てめえはそれでも、騎士かよっ」
「面汚しがっ」
関係ないボスザさんにまで火の粉が飛ぶ。
「そもそもなんでわいらが移動せんといかんと?」
「まあ、そうやなあ」
と、やや怒った様な晃太と呑気な父が合流する。
その間にも、ボスザさんの、黙らんか、の一括。
「あーっ、お前ミゲルだろっ、大通りの『リソーナ』のミゲルじゃねーかっ」
一人の青年が、大声を出してミゲル君を指さしてきた。
「エマちゃんにトラブルみたいです。アレスが守っているみたいですけど」
さっ、とホークさんの警戒度が高くなる。アレスの事や、また、やの付く職業の人達も裸足で逃げ出すような顔で唸り声を上げているはず。母やアリスがいるから飛びかかるような事にはならないはず。
しかし、現在、ギルド内にいるのに、それでもトラブルって一体どういう事?
「ミズサワ様?」
「すみませんイゴールさん、ロビーで何かあったみたいで、ちょっと失礼します」
私が立ち上がると、慌ててイゴールさんとジョレスさんも続く。
『ユイ、コウタとお父さんも動き出したのです。おそらく向こうも同時くらいに着くのです』
ビアンカが気がついたんや、ルージュやイシスが、気が付かんわけないか。
急ぎ足でロビーに戻る途中からも、騒ぐ声が、怒号に近い声が聞こえる。
奴隷は出ていけ
その言葉が耳に付いた瞬間、冷静になろうとしていた頭に、血が登っていく。我ながら単純だけどね。でも、口撃されているのはエマちゃんだ、怖かろうに、すぐに行かねばっ。
私達が到着すると、そこそこの人だかりになっていた。もしかしたら、私達がギルドに入ったのを見てから、物見遊山で集まってしまったかも。
ほとんどが冒険者の方みたいだけど、一般?の方も混じっている様子。
ま、ギルドは開けた組織で、生活に密着しているし、色んな分野の人達が所属し、求めてくる。もちろん、一般の皆さんも足を運んだっていいしね。
一瞬、見えなかったけど、僅かな隙間から、アレスが牙をちらちらと見せ、唸り声を上げる寸前だ。
他は見えんけど、とにかく向こうに行かんと。
私が一番近いの人、私達から背を向けている人に、声をかけようとすると、
『ユイ、任せるのです』
と、ビアンカがずいずい行くと、予想していた通り、半分悲鳴を上げながら、道を譲ってくれた。すみません。
道を開けてくれた人は、ひーっ、て顔していたけど、数人は何故か、一瞬で険しい顔つきになる。その視線が私の後ろに立つホークさんに突き刺さっているのが、瞬時でわかる。聞いてはいたが、シーラにおける奴隷に対するものなんだろう。
だが、そんなの構っていられない。
人並みを抜けると、その中央には背中の毛を逆立て、目を吊り上げたアレス、そのアレスのすぐ後ろに張り付くアリス。警戒する金の虎のファングさん、ガリストさん。更に後ろにルリとクリスにシルフィ達がいるので、母たちの姿が見えない。
私達の登場に、一瞬、しん、となったがすぐにざわざわし始める。
気にせずに、私達は固まっている面々と合流する。
「アレス」
目を吊り上げているアレスの首筋をそっと触れる。
『気に食わないのだ、母と童に敵意を向けたのだ、許せないのだ』
喉奥から響くような唸り声、こりゃ、かなりお冠やな。
よしよし、守ってくれたんやね。
いつでも抑えられるようにいたアリスもよしよし。
そっと、道を開けてくれたファングさんとガリストさんに、小声でお礼を伝える。
『ねぇね、ルリ、あの人たち言うのこと、よく分かんないっ』
『イジワルな感じがするのっ、クリス、嫌っ』
ぷりぷりとしているが、いまだに母親ビアンカの迫力には、足元には及ばす、愛らしいぷりぷり。
よしよし。
やや不安そうな顔をしているシルフィ達に囲まれて、母とエマちゃんが。申し訳なさそうさと、戸惑いが混じった顔のエマちゃんを、母が庇うように立っていた。すぐ近くにいてくれた、リィマさん達もホッとした顔。
「お待たせ」
私がそう言うとが、母とエマちゃんがホッとした顔になる。
無事を確認した時、再び怒号が響く。
「ここはギルドだぞっ、奴隷が入り込んでいい場所じゃないっ」
「さっさとつまみ出せっ」
エトセトラに飛び出す、耳にして、気持ちいい言葉ではない。そら、出ていけ、そら、ふざけるな、そら、奴隷が。
ぷちぷちと、堪忍袋の尾が、細かく断裂するように切れていく。
「黙らんかっ、バカどもっ」
完全に切れる前に、一括してくれたのは、付き添ってくれていたボスザさんだ。
すごい声量で、すごい迫力。そのおかげが、緊張感のある静寂に包まれる。ボスザさんは一睨みし、振り返る。
「ミズサワ殿、申し訳ない。いったん移動をお願いしたい」
と、頭を下げてきた。そこに、更に怒号が飛ぶ。
「奴隷連れてるような奴に頭なんか下げやがって」
「てめえはそれでも、騎士かよっ」
「面汚しがっ」
関係ないボスザさんにまで火の粉が飛ぶ。
「そもそもなんでわいらが移動せんといかんと?」
「まあ、そうやなあ」
と、やや怒った様な晃太と呑気な父が合流する。
その間にも、ボスザさんの、黙らんか、の一括。
「あーっ、お前ミゲルだろっ、大通りの『リソーナ』のミゲルじゃねーかっ」
一人の青年が、大声を出してミゲル君を指さしてきた。
3,158
あなたにおすすめの小説
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
婚約破棄の場に相手がいなかった件について
三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。
断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。
カクヨムにも公開しています。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。