もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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騒がしい始まり⑨

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「ユイさん、どうされました?」
「エマちゃんにトラブルみたいです。アレスが守っているみたいですけど」
 さっ、とホークさんの警戒度が高くなる。アレスの事や、また、やの付く職業の人達も裸足で逃げ出すような顔で唸り声を上げているはず。母やアリスがいるから飛びかかるような事にはならないはず。
 しかし、現在、ギルド内にいるのに、それでもトラブルって一体どういう事?
「ミズサワ様?」
「すみませんイゴールさん、ロビーで何かあったみたいで、ちょっと失礼します」
 私が立ち上がると、慌ててイゴールさんとジョレスさんも続く。
『ユイ、コウタとお父さんも動き出したのです。おそらく向こうも同時くらいに着くのです』
 ビアンカが気がついたんや、ルージュやイシスが、気が付かんわけないか。
 急ぎ足でロビーに戻る途中からも、騒ぐ声が、怒号に近い声が聞こえる。

 奴隷は出ていけ

 その言葉が耳に付いた瞬間、冷静になろうとしていた頭に、血が登っていく。我ながら単純だけどね。でも、口撃されているのはエマちゃんだ、怖かろうに、すぐに行かねばっ。
 私達が到着すると、そこそこの人だかりになっていた。もしかしたら、私達がギルドに入ったのを見てから、物見遊山で集まってしまったかも。
 ほとんどが冒険者の方みたいだけど、一般?の方も混じっている様子。
 ま、ギルドは開けた組織で、生活に密着しているし、色んな分野の人達が所属し、求めてくる。もちろん、一般の皆さんも足を運んだっていいしね。
 一瞬、見えなかったけど、僅かな隙間から、アレスが牙をちらちらと見せ、唸り声を上げる寸前だ。
 他は見えんけど、とにかく向こうに行かんと。
 私が一番近いの人、私達から背を向けている人に、声をかけようとすると、
『ユイ、任せるのです』
 と、ビアンカがずいずい行くと、予想していた通り、半分悲鳴を上げながら、道を譲ってくれた。すみません。
 道を開けてくれた人は、ひーっ、て顔していたけど、数人は何故か、一瞬で険しい顔つきになる。その視線が私の後ろに立つホークさんに突き刺さっているのが、瞬時でわかる。聞いてはいたが、シーラにおける奴隷に対するものなんだろう。
 だが、そんなの構っていられない。
 人並みを抜けると、その中央には背中の毛を逆立て、目を吊り上げたアレス、そのアレスのすぐ後ろに張り付くアリス。警戒する金の虎のファングさん、ガリストさん。更に後ろにルリとクリスにシルフィ達がいるので、母たちの姿が見えない。
 私達の登場に、一瞬、しん、となったがすぐにざわざわし始める。
 気にせずに、私達は固まっている面々と合流する。
「アレス」
 目を吊り上げているアレスの首筋をそっと触れる。
『気に食わないのだ、母と童に敵意を向けたのだ、許せないのだ』
 喉奥から響くような唸り声、こりゃ、かなりお冠やな。
 よしよし、守ってくれたんやね。
 いつでも抑えられるようにいたアリスもよしよし。
 そっと、道を開けてくれたファングさんとガリストさんに、小声でお礼を伝える。
『ねぇね、ルリ、あの人たち言うのこと、よく分かんないっ』
『イジワルな感じがするのっ、クリス、嫌っ』
 ぷりぷりとしているが、いまだに母親ビアンカの迫力には、足元には及ばす、愛らしいぷりぷり。
 よしよし。
 やや不安そうな顔をしているシルフィ達に囲まれて、母とエマちゃんが。申し訳なさそうさと、戸惑いが混じった顔のエマちゃんを、母が庇うように立っていた。すぐ近くにいてくれた、リィマさん達もホッとした顔。
「お待たせ」
 私がそう言うとが、母とエマちゃんがホッとした顔になる。
 無事を確認した時、再び怒号が響く。
「ここはギルドだぞっ、奴隷が入り込んでいい場所じゃないっ」
「さっさとつまみ出せっ」
 エトセトラに飛び出す、耳にして、気持ちいい言葉ではない。そら、出ていけ、そら、ふざけるな、そら、奴隷が。
 ぷちぷちと、堪忍袋の尾が、細かく断裂するように切れていく。
「黙らんかっ、バカどもっ」
 完全に切れる前に、一括してくれたのは、付き添ってくれていたボスザさんだ。
 すごい声量で、すごい迫力。そのおかげが、緊張感のある静寂に包まれる。ボスザさんは一睨みし、振り返る。
「ミズサワ殿、申し訳ない。いったん移動をお願いしたい」
 と、頭を下げてきた。そこに、更に怒号が飛ぶ。
「奴隷連れてるような奴に頭なんか下げやがって」
「てめえはそれでも、騎士かよっ」
「面汚しがっ」
 関係ないボスザさんにまで火の粉が飛ぶ。
「そもそもなんでわいらが移動せんといかんと?」
「まあ、そうやなあ」
 と、やや怒った様な晃太と呑気な父が合流する。
 その間にも、ボスザさんの、黙らんか、の一括。
「あーっ、お前ミゲルだろっ、大通りの『リソーナ』のミゲルじゃねーかっ」
 一人の青年が、大声を出してミゲル君を指さしてきた。
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