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ゲスな⑥
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それから、そのダンスパーティーが話題になった。揃いの衣装に身を包んだキャサリンとレオナルドは時の人となる。
これがゲームならではなんだろう。
妹の婚約者と揃いの衣装を着て、堂々とダンスする姉。そして、本来の婚約者を疎かにして、別の女性とダンスをした男。非難されるべきなのに、称賛された。これがゲームだからだ。
ダンスパーティーから三日後。
ウィンティアとレオナルドの婚約は正式に解消した。ウーヴァ公爵家もキャサリンに婚約者変更を喜んで受け入れた。理由は婚約者時代のウィンティアの態度に思うことがあったそうだが、完全にウィンティアは被害者だ。キャサリンがレオナルドとの会瀬の為に遅刻や体調不良はすべて、キャサリンの味方達の虚言。そして、贈られてきた品々をキャサリンに横流ししていたのを、ウーヴァ公爵家はしらなかったからだ。
ひたすらに、ウィンティアは礼儀を知らない恥知らずな令嬢だと、思い込んでいた。
なぜ、ウィンティアをレオナルドの婚約者にした理由も明かされる。それは祖母ティーナが持つ、セーレ商会の主要商品の共同特許を、ウィンティアに遺したのだ。
ウーヴァ公爵家はセーレ商会に食い込みたい、ローザ伯爵家は王家、そして他国の上級貴族とのパイプを持つウーヴァ家に取り入りたい。そんな思惑のある婚約だった。
共同特許とは、特殊石鹸のものだが、長年ティーナ夫人と商会の研究チームで作り上げたので、権利の一部がティーナ夫人にあった。それを欲したのがウーヴァ公爵家だ。
あのダンスパーティーの数日前にティーナ夫人が死去。共同特許はウィンティアに渡っていた。
どうやったか不明だが、その共同特許をウィンティアが手離したのだ。それでウーヴァ公爵家にしては、ウィンティアの存在価値がなくなった。このまま婚約継続するより、いずれ商会を背負い、いくつもの共同特許を譲渡される予定のキャサリンがいいに決まっている。
貴族特有の打算的な考え。
だが、キャサリンとレオナルドの婚約には、ひと悶着起きる。
キャサリンの婚約者が、異を唱えたのだ。
そう。キャサリン・ローザには、婚約者がいたのだ。その婚約者から、レオナルドに鞍替え。いい気分ではない。その婚約者はレオナルドと殴り合いのケンカをしたが、黙って拳を受けるレオナルドの前に、キャサリンは膝を突いて詫びをいれる。
「ごめんなさいっ、私が、私が、レオナルド様を好きになってしまったのっ。貴方という婚約者がいるのは分かっていたのにっ、気持ちを止められなくてっ。悪いのは、私なのっ、殴るなら私を殴ってくださいませっ」
その時の、私の気持ち。
すん、だった。
何をほざいているんだろうと。
だけど、繰り返すがゲームの世界。
必死に祈るように見上げるキャサリンに、その婚約者は折れた。そして、レオナルドに約束させたのだ。
「キャサリンさんを諦めたんだっ、責任持って幸せにしろっ。ちょっとでも不幸なら、俺が拐いに行くからなっ」
「そんな事にはならない」
繰り返すがゲームの世界。
これがゲームならではなんだろう。
妹の婚約者と揃いの衣装を着て、堂々とダンスする姉。そして、本来の婚約者を疎かにして、別の女性とダンスをした男。非難されるべきなのに、称賛された。これがゲームだからだ。
ダンスパーティーから三日後。
ウィンティアとレオナルドの婚約は正式に解消した。ウーヴァ公爵家もキャサリンに婚約者変更を喜んで受け入れた。理由は婚約者時代のウィンティアの態度に思うことがあったそうだが、完全にウィンティアは被害者だ。キャサリンがレオナルドとの会瀬の為に遅刻や体調不良はすべて、キャサリンの味方達の虚言。そして、贈られてきた品々をキャサリンに横流ししていたのを、ウーヴァ公爵家はしらなかったからだ。
ひたすらに、ウィンティアは礼儀を知らない恥知らずな令嬢だと、思い込んでいた。
なぜ、ウィンティアをレオナルドの婚約者にした理由も明かされる。それは祖母ティーナが持つ、セーレ商会の主要商品の共同特許を、ウィンティアに遺したのだ。
ウーヴァ公爵家はセーレ商会に食い込みたい、ローザ伯爵家は王家、そして他国の上級貴族とのパイプを持つウーヴァ家に取り入りたい。そんな思惑のある婚約だった。
共同特許とは、特殊石鹸のものだが、長年ティーナ夫人と商会の研究チームで作り上げたので、権利の一部がティーナ夫人にあった。それを欲したのがウーヴァ公爵家だ。
あのダンスパーティーの数日前にティーナ夫人が死去。共同特許はウィンティアに渡っていた。
どうやったか不明だが、その共同特許をウィンティアが手離したのだ。それでウーヴァ公爵家にしては、ウィンティアの存在価値がなくなった。このまま婚約継続するより、いずれ商会を背負い、いくつもの共同特許を譲渡される予定のキャサリンがいいに決まっている。
貴族特有の打算的な考え。
だが、キャサリンとレオナルドの婚約には、ひと悶着起きる。
キャサリンの婚約者が、異を唱えたのだ。
そう。キャサリン・ローザには、婚約者がいたのだ。その婚約者から、レオナルドに鞍替え。いい気分ではない。その婚約者はレオナルドと殴り合いのケンカをしたが、黙って拳を受けるレオナルドの前に、キャサリンは膝を突いて詫びをいれる。
「ごめんなさいっ、私が、私が、レオナルド様を好きになってしまったのっ。貴方という婚約者がいるのは分かっていたのにっ、気持ちを止められなくてっ。悪いのは、私なのっ、殴るなら私を殴ってくださいませっ」
その時の、私の気持ち。
すん、だった。
何をほざいているんだろうと。
だけど、繰り返すがゲームの世界。
必死に祈るように見上げるキャサリンに、その婚約者は折れた。そして、レオナルドに約束させたのだ。
「キャサリンさんを諦めたんだっ、責任持って幸せにしろっ。ちょっとでも不幸なら、俺が拐いに行くからなっ」
「そんな事にはならない」
繰り返すがゲームの世界。
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