ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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ゲスな⑦

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 それから直ぐにキャサリンとレオナルドの婚約発表の盛大なパーティーが開かれる。
 そのパーティーに当然ウィンティアはいない。ユミル学園を中退して、修道院に入ったのだ。あのダンスパーティーから僅か数日の出来事。これも後日明らかになる。ちなみにコクーン修道院ではないはず。名無しの修道院だ。
 キャサリンとレオナルドはラブラブしながら、婚約者としてデートをして、色んな茶会・夜会に出席。キャサリンがユミル学園を卒業して直ぐに式をあげることになった。

 ここで、運命の分かれ道。

 ウィンティアに結婚式の招待状を送るか、否か。

 常識があれば、送るわけないが、ゲスを題名にあげてるゲームだ。送るを選択した。
 そして、それは盛大な結婚式となる。
 国の要人、なんと第二王子とその婚約者、他国の王子まで出席。それはそれは賑やかな結婚式となった。
 キャサリンとレオナルドは、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
 
 で、終わるわけない。

 結婚式後にキャサリンとレオナルドはある夜会に出席した。
 そこである令嬢から罵声を浴びる。目も描かれてないモブ令嬢は夜会であるにも関わらず叫ぶ。

「ウィンティアを自殺に追い込んだくせにっ、よくもノコノコ出てきたわねっ、恥を知りなさいっ、この人殺しっ」

 モブ令嬢は直ぐに夜会の会場から追い出された。
 掲示板では、格好いいぞモブ、やったれ、とか上がった。
 キャサリンは慌ててローザ伯爵家に向かい、両親に真意を問いただした。
 
「知ってしまったか」

 はあ、とため息を付くのはジョージ・ローザ伯爵。

「どういう事ですのお父様っ、ウィンティアが自殺ってっ」

「あれは、お前の結婚式前に修道院内で首を括っているのが見つかったんだ。おそらく、キャサリンにレオナルド君を取られた腹いせのつもりだったんだろう。もう過ぎた事だし、あれは既にローザ伯爵家に籍はない。気にする事ではないんだよ」

「そんなっ、知っていたら、結婚式なんて挙げなかったのにっ」

 よよよ、と泣くキャサリン。いや、あんた、妹に奪った婚約者との結婚式に、招待状を送るのはどうよ? と思った。

「どうして、そこまでウィンティア嬢に冷たいのですか?」

 と、レオナルドが聞く。自分を慕っていた婚約者を捨てて、別の女に鞍替えしたくせに。
 そこで初めてローザ伯爵家のウィンティアの立場が明らかになる。

「ウィンティアは私達の実の娘ではないんだ。あれは私の妹、ティアラ・ローザが駆け落ちした男との間に生んだ娘なんだよ」

 忌々しいように言うのはジョージ・ローザ伯爵。

「ティアラは婚約者がいたが、別の男と駆け落ち。我が家に多大な迷惑をかけた。そして、数年後ウィンティアを生んだはいいが育てられないからと、ここに捨てていったんだよ。母は自分で育てると言ったが、ティアラの様になると思い、私達が引き取った。その数日前にクラーラが流産してしまったから、代わりに実子としてね。ただ、あのティアラの娘だ。ああなる可能性があるから厳しく育てた」

 厳しく。
 ウィンティアの自尊心を散々傷つけて?

「わざわざ学園まで通わせてやったのに、結果これだ。恩を仇で返すとはこの事だな。修道院には実は前から話が出ていたんだよ。あれでは貴族社会に出たって生きていけないから、引き取った責任として、修道院に入れたんだよ。キャサリンとレオナルド君の婚約があったから、早まっただけなんだ」

 まったくと吐き捨てるジョージ、それに同意するクラーラ。
 掲示板は荒れに荒れた。何が厳しくだふざけるな、責任あるなら最後まで学園通わせろ、婚約者を奪う女の味方か、ゲスな親、自殺に追い込んだ自覚あんの? 人殺し、等々。
 ウィンティアの修道院入りは前から決まっていた。修道院には除籍と同時におこなわれた。しかも、ほぼ無一文、あの共同特許の代金も支払わず、まさに放り込むだ。

「それでも私の妹ですわっ」

 ぶちり、と切れそうになるキャサリンのセリフ。
 もう、プレイ、止めようと思った瞬間。

 ぴろろん、と音が鳴り、画面が変わる。

 特別ルート解放。

 現れた三つのシルエット。数秒考えた、考えて出たのは、新しいルート、つまり攻略対象が現れるということ。
 ウィンティアからレオナルドを奪い、自殺に追い込み、結局別の男に走る。そして、そのレオナルドを捨てるのだ、と。
 私、山岸まどかは二度とゲームを開くことはなかった。
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