ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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ゲスな⑧

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 これが大体の流れだが、かなり、相違点がある。
 ウィンティアはあのローザ伯爵夫妻の実子のはずだが、なにやり雲行きが怪しい。それに、現在のローザ伯爵夫妻は、ウィンティアとの距離を図りかねてる。部屋も最低限のものは用意してある。専属メイドも雇っていたし。
 それに祖母のティーナ夫人だ。ゲームではウィンティアがダンスパーティーに出られる年齢まで生きていたが、実際はウィンティアが五歳の頃に毒殺されてる。
 ゲームではコクーン修道院も出てこない。
 そして、右眉の上にあるキズ。こんなキズが残るほどの虐待を受けていない。それだからと言って無視や自尊心を傷つけるのは許されない。
 だけど、ここは現実の世界だし、私はウィンティアの中に生きてる。ほほをつねると痛いし。
 うーん、誰か、教えてくれないかな? 誰か、正解を教えてくれないかな。うーん。

 かくんっ。

 急に身体が下に落ちる。
 ソファーに座っているのにっ。
 悲鳴をあげると、一気に視界が真っ暗になり、次の瞬間真っ白に。
 何々っ。なんなのっ。
 体勢を整えようも、上手くいかない。

「大丈夫、落ちはしないわ」

 響く女性の声。
 びっくりした、びっくりした、びっくりした。必死に振り返ると、そこには白いドレスを着た神秘的な女性が立っていた。
 だ、誰っ?

「この世界を支える神の一人です」

 ぺこん。
 …………………………えっ? 神? えっ? 本当に?
 あ、あれ、まさか、まさか、嘘でしょう? 白いドレスのポケットから、場違いなスマートフォンが覗いているけどっ。

「山岸まどかさん」

 どきっ、なんで私の名前を?

「神ですから」

 う、そうなのかな? ウィンティアの身体で動いている時点で、おかしいか。
 私は平泳ぎの様にバタバタしてから体勢を整える。

「では、こちらを」

 と、白いドレスの神様が差し出したのは、一冊の赤い表紙の本。

「ルルディ王国第十三世紀における『魅了』に関する収録集?」

「そうです。これは『魅了』に関する事例が纏められています。これに掲載されるのは、『魅了』による死者が出た場合のみです」

 まさか。

「事例七を見てください」

 私はページを捲る。あったっ。

『事例 キャサリン・ローザ』

 そして、被害者の名前にはウィンティア・ローザ、首吊り自殺、享年十六とあった。
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