ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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婚約者と被害者⑨

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 私の答えに目を細めるウーヴァ公爵夫人。わ、こわっ。でも、引けない。

「そう? 何故?」

「ウーヴァ公爵夫人の言葉に、配慮や気遣いがないからです」

 視界の中で、生物学上の母親が泡を吹きそうな顔をしている。

「やめなさいウィンティアッ、申し訳ございませんっ」

 必死に謝るのは生物学上の父親。

「構わなくってよ。さあ、続けて」

 催促してきた。性格悪そうな顔してる。

「私は世間知らずです、自覚もあります。この婚約の経緯もまったく知りません。ですが、この婚約が異常な事はだけは分かっています」

 貴族令嬢として、スタートラインにすら立ってない、額に傷のあるウィンティア。今、やっと学園に通うため、置いていかれないように勉強を始めたばかり。

「ウーヴァ公爵夫人は聞かれました。私に、この婚約をどう思うかと。聞いておいて、答える必要がない?」

 私は続ける。

「婚約者がいると、院長先生から聞いてからも、不安でした。なぜ私なのかと、何度も考えました。私に情報がないことはご存知なはず。それを知っていて、答える必要がない。そちらにとっては、私の不安なんて、考慮する程の価値も、答える程の存在価値もないのだと、よく分かりました」

 言い方もそうだ。
 あの時、今すぐでないけど、必ず説明しますよって、思わせるような言い方があったはず。突き放すように言ったウーヴァ公爵夫人には、それがまったく感じられなかった。

「そちらからの問いかけて、答えるつもりはない。貴族云々ではなく、人して、大人として尊敬出来ないと思い、私のあの答えに非はないと思いますので、謝罪しません」

 屁理屈かもしれないけど。私の考え。

「なら、貴女の言う大人とは?」

 何故か楽しそうなウーヴァ公爵夫人。

「祖母、コクーン修道院の院長先生、育ててくれたシスター達です」

「ローザ伯爵は?」

 何故に?

「私には、八歳の頃の記憶がありません」

 そう。ウィンティアが靄をかけて、封じできた記憶。

「そうまでしなければ自分を守れないような仕打ちをした連中を、大人とは思いません」

「でも、貴女が着ているものはローザ伯爵が準備したものでしょう」

「返せと言われれば返します。出ていけと言われれば出ていきます。コクーン修道院に戻り自立支援を受けて、自活の道を歩みます」

 私のぶれない考え。
 もしかしたら、そう言われる可能性高いから、覚悟している。
 ウィンティアの七つの目標の一つ、友達を作るのが厳しくなるけど。それも、自活した後でも出きるかなって思っている。

「では、この婚約はどうなるのかしら?」

「解消してください。どうせ、そちらは私に利用価値がなくなれば、ゴミの様に捨てるんでしょう? かつて、赤ん坊の私を捨てようとしたローザ伯爵家の様に」

 空気が凍り付く。
 ふう、と息をつくウーヴァ公爵夫人。凍り付いた空気が流れ出す。

「残念だけど、まだ貴女には利用価値はあるわ。なので解消は出来ない」

 やっぱり、何かしらの理由がある。ウィンティアを食い物にする理由が。
 ウーヴァ公爵夫人は、手にした扇を私に向ける。また、叩かれると身構えたけど、逃げない、なんか、負けた気分になるから。
 扇の先端で、私の顎を上げる。

「まあ、せいぜい、子犬の様に吠えてなさい。今の貴女は何の力もないんですからね」

 く、正論。
 悔しいけどそうだ。
 だけど、顔に出したら負けた様な気がする。ふんすっ、て顔で我慢我慢。
 次の瞬間、横から突き飛ばされた。
 えっ? 
 まったく予想してない方からの力で、私はそのまま倒れる。
 グギッ、と嫌な痛みが足に走った。
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