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新学期に向けて⑧
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アンジェリカ様は優雅にカップを置く。
「どうしてそう思うの?」
「まず、すでにその時点でセーラ殿下とアメリア殿下が
いて王位に着ける方がいました。下手に側室を入れて、別腹の王女なり王子なりが生まれたらトラブルの原因になります。歴史上に血生臭い事になった事実があるからです」
それに現在のルルディ王国の夫婦関係は、基本的に一夫一妻。跡継ぎとかの問題で仕方なく、って場合も、親戚から養子を迎えるのがほとんどだ。
確かモニカ妃殿下は、シルヴァスタ王国の王女だけど、あまり立場は高くないって聞いた。きちんとした条約がずっと前に結ばれているのに、改めて王族間でお姫様のやり取りする?
「ウィンティア嬢はモニカ妃殿下の立場、シルヴァスタ王国での立場をどれくらい御存じ?」
「その、不勉強で、シルヴァスタ王国のあまり立場の高くない王女様。自分の美意識を、他の人達に植え付けている?」
「正解率10%くらいね」
ひっくう。
「ちょっと長くなるわよ」
教えてアンジェリカ先生。
「まず、モニカ妃殿下は、シルヴァスタ王家に籍はないわ」
「はい?」
ど、どういう事?
「これは裏話になるから話してはダメよ。確かに先代シルヴァスタ国王の娘になるけれど、実際は私生児なのよ。先代シルヴァスタ王国の正室、そして二人の側室が、モニカ妃殿下の存在を認めなかったのよ」
アンジェリカ先生の説明が始まる。
事の起こりは約四十年前。
シルヴァスタ国王が一人の男爵夫人を離宮に召し抱えた。
すでにその時、王家には五人の子供達がいた。その数年前にその前の国王が亡くなり、当時やっと喪が開けたばかりの時に。
三人目の側室にすると、言ったそうだが、周囲は大反対した。
「男爵夫人はマラーナ夫人は、婚姻歴があり、すでに二人の男児を産んでいたの。王家に嫁ぐ際に必要な純潔ではないのは明らか。それに、マラーナ夫人は若い頃から先代シルヴァスタ国王と通じていて、正室と側室達と対立。かなりの方面に迷惑をかけていたのよ」
婚約破棄だ、真実の愛だ、と三紋芝居を繰り広げたようだ。
へー。
「マラーナ夫人と先代シルヴァスタ国王は、当時の国王に分かれさせられ、それぞれの場所に収まったのだけど、さあ王位に着いたのならいいだろうと、マラーナ夫人を離宮に召し抱えたの。マラーナ夫人自身にも、まだ幼い子供がいたのに関わらず。嬉々として夫と二人の息子を捨てたのよ」
えっ、無責任。
「散々先代シルヴァスタ国王とマラーナ夫人の若気の至りで、煮え湯を飲まされてきた正室と側室達は大激怒。それにすでに跡取りとなる王子達がいて、余計な血を入れたくないって気持ちがあったと思うわ。何より、マラーナ夫人は側室に入れるだけの条件を何一つ満たせていなかった」
シルヴァスタ王国の側室の条件。
・純潔。
・侯爵以上に籍がある事。
・公用語とシルヴァスタ王国の地方で使われる古代シルヴァスタ語、西シルヴァスタ語、更に最低限二ヶ国の完全な読み書き、通訳なくて話せる事。
・支度金、もしくはそれに準ずる、匹敵する不動産なり商会なり個人資産がある事。
因みに、ルルディ王国もこんな感じらしい。
「何一つ満たせなかったし、しかもマラーナ夫人は男爵から慰謝料を要求されていたわ。彼はね、マラーナ夫人とは国からの命令で仕方なく娶ったのよ。若気の至りとはいえ、当時王子と只ならない関係になり、上位貴族の愛娘であった正室や側室達に対して甚だし勘違いとはた迷惑をかけた女なんて、まっぴらごめんだったのだけど、当時の国王の命令で、仕方なくマラーナ夫人を娶った。やっと子供も二人も生まれて落ち着いたかと思った時に、マラーナ夫人は離宮に。男爵の評判は当然下がり、子供達の未来にも陰りを指すような行動に、当然怒り沸いた。だけど、国王に慰謝料なんて無理でしょう? だから、マラーナ夫人を訴えた」
アンジェリカ様は一旦息継ぎをした。
「どうしてそう思うの?」
「まず、すでにその時点でセーラ殿下とアメリア殿下が
いて王位に着ける方がいました。下手に側室を入れて、別腹の王女なり王子なりが生まれたらトラブルの原因になります。歴史上に血生臭い事になった事実があるからです」
それに現在のルルディ王国の夫婦関係は、基本的に一夫一妻。跡継ぎとかの問題で仕方なく、って場合も、親戚から養子を迎えるのがほとんどだ。
確かモニカ妃殿下は、シルヴァスタ王国の王女だけど、あまり立場は高くないって聞いた。きちんとした条約がずっと前に結ばれているのに、改めて王族間でお姫様のやり取りする?
「ウィンティア嬢はモニカ妃殿下の立場、シルヴァスタ王国での立場をどれくらい御存じ?」
「その、不勉強で、シルヴァスタ王国のあまり立場の高くない王女様。自分の美意識を、他の人達に植え付けている?」
「正解率10%くらいね」
ひっくう。
「ちょっと長くなるわよ」
教えてアンジェリカ先生。
「まず、モニカ妃殿下は、シルヴァスタ王家に籍はないわ」
「はい?」
ど、どういう事?
「これは裏話になるから話してはダメよ。確かに先代シルヴァスタ国王の娘になるけれど、実際は私生児なのよ。先代シルヴァスタ王国の正室、そして二人の側室が、モニカ妃殿下の存在を認めなかったのよ」
アンジェリカ先生の説明が始まる。
事の起こりは約四十年前。
シルヴァスタ国王が一人の男爵夫人を離宮に召し抱えた。
すでにその時、王家には五人の子供達がいた。その数年前にその前の国王が亡くなり、当時やっと喪が開けたばかりの時に。
三人目の側室にすると、言ったそうだが、周囲は大反対した。
「男爵夫人はマラーナ夫人は、婚姻歴があり、すでに二人の男児を産んでいたの。王家に嫁ぐ際に必要な純潔ではないのは明らか。それに、マラーナ夫人は若い頃から先代シルヴァスタ国王と通じていて、正室と側室達と対立。かなりの方面に迷惑をかけていたのよ」
婚約破棄だ、真実の愛だ、と三紋芝居を繰り広げたようだ。
へー。
「マラーナ夫人と先代シルヴァスタ国王は、当時の国王に分かれさせられ、それぞれの場所に収まったのだけど、さあ王位に着いたのならいいだろうと、マラーナ夫人を離宮に召し抱えたの。マラーナ夫人自身にも、まだ幼い子供がいたのに関わらず。嬉々として夫と二人の息子を捨てたのよ」
えっ、無責任。
「散々先代シルヴァスタ国王とマラーナ夫人の若気の至りで、煮え湯を飲まされてきた正室と側室達は大激怒。それにすでに跡取りとなる王子達がいて、余計な血を入れたくないって気持ちがあったと思うわ。何より、マラーナ夫人は側室に入れるだけの条件を何一つ満たせていなかった」
シルヴァスタ王国の側室の条件。
・純潔。
・侯爵以上に籍がある事。
・公用語とシルヴァスタ王国の地方で使われる古代シルヴァスタ語、西シルヴァスタ語、更に最低限二ヶ国の完全な読み書き、通訳なくて話せる事。
・支度金、もしくはそれに準ずる、匹敵する不動産なり商会なり個人資産がある事。
因みに、ルルディ王国もこんな感じらしい。
「何一つ満たせなかったし、しかもマラーナ夫人は男爵から慰謝料を要求されていたわ。彼はね、マラーナ夫人とは国からの命令で仕方なく娶ったのよ。若気の至りとはいえ、当時王子と只ならない関係になり、上位貴族の愛娘であった正室や側室達に対して甚だし勘違いとはた迷惑をかけた女なんて、まっぴらごめんだったのだけど、当時の国王の命令で、仕方なくマラーナ夫人を娶った。やっと子供も二人も生まれて落ち着いたかと思った時に、マラーナ夫人は離宮に。男爵の評判は当然下がり、子供達の未来にも陰りを指すような行動に、当然怒り沸いた。だけど、国王に慰謝料なんて無理でしょう? だから、マラーナ夫人を訴えた」
アンジェリカ様は一旦息継ぎをした。
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