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新学期に向けて⑨
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「そんな状況下でマラーナ夫人を王籍に入れると思う?」
「いいえ」
私は素直に首を横に。
「先代シルヴァスタ国王は、正室と側室達、そして実の母親の了承が得られないと分かるとすぐに手を打ったの。マラーナ夫人が関わると、下半身ゆるゆる男だけど政治手腕や角界においても太いパイプを作ってきたそれだけは優秀な男が」
今、さらっととんでもない言葉でなかった?
「新聞を通じて自分達の悲恋を大々的にアピール。先代シルヴァスタ国王とマラーナ夫人の若気の至りの話しは王家の醜聞だから、皆が口を閉ざしていたのにね。あっという間に世論は二人の仲を擁護し、下手にマラーナ夫人だけを消し去ることが出来なくなってしまった」
今、ちらっと怖い言葉でなかった?
「結局、正室達はある条件を着けてマラーナ夫人を、王宮の離れに入れたの」
その条件とは。
・マラーナ夫人は王家の籍には入れず非公式の愛妾とすること。当然、公式行事には出られない。
・マラーナ夫人の生活費もろもろは、国王に使用されるはずの予算から捻出。
・正室や側室達、その子供達が城の本殿いる際は、決してマラーナ夫人は立ち入ることは出来ない。
・もし、マラーナ夫人が出産しても、その子は認知せず私生児にする事。
質問っ、アンジェリカ先生っ。
「その条件なら、モニカ妃殿下はシルヴァスタ王国の王女としてオーガスト殿下の側室にはいれたんですか?」
「言ったでしょ、先代シルヴァスタ国王は、情報操作に長けていたのよ。子供には罪はない、とかなんとかね。だからシルヴァスタの国民は、マラーナ夫人が城の離れで生んだ子供達を、自身の子供だと公表したのを信じたの。ルルディ王国の民もね。実際籍もないのに」
はぁ、とため息をつくアンジェリカ様。
「マラーナ夫人が離宮で生んだのは三人。モニカ妃殿下は末っ子の長女。上二人は正室が選んだ教育係が良かったのか、立場をわきまえて、それぞれ名前を変えて離宮を出て暮らしているわ」
長男は下町の医者として貧しい人々に寄り添い、次男は教師として小さな町で、熱心に教鞭を取っている。それが認められたのか、時折正室とは連絡を取ってるらしいし、僅かだけど正室様のポケットマネーで支援しているって。できた正室さまだなあ。色々煮え湯を飲まされた女の子供に支援なんて。で、実の母親とは昔の諸事情を知ってからは疎遠となってる。
「で、問題なのはモニカ妃殿下よ。彼女はマラーナ夫人生き写しの様で先代シルヴァスタ国王は溺愛したわけ。いずれ嫁に出すのならそこまで厳しく教育をする必要ないってね。で、結果」
とんでもない自意識過剰・我が儘・高慢ちきな自称お姫様になった。
見た目がとてもいいし、スタイル抜群だし、蟻のように男が群がったそうだ。
ふーん。
「今から二十年前、オーガスト王太子殿下が公務でシルヴァスタ王国を訪れていた時に、モニカ妃殿下がどうしてもオーガスト殿下に嫁ぎたいと言い出した訳」
はあ、とため息をつくアンジェリカ様。
「ルルディとしてはそんな経歴のある女を王家に入れる訳にはいかないと断ったのよ。何せ既にセーラ殿下とアメリア殿下もいたし」
うん、無理だよね。
「だから強行手段を取ったの。晩餐会でオーガスト殿下薬物を盛り既成事実を作ったわけ」
「はいぃぃぃっ?」
それ、やっていいことな訳?
「そんなわけないでしょ。シルヴァスタ王国主催の晩餐会に、隣国の王太子が薬物を盛られたのよ。しかもその晩餐会には他国から未婚の王女殿下も参加されていたの。当然シルヴァスタ王国の信頼失墜よ」
そうだよね。
時期国王予定の王太子に薬物を盛ったって。これ、シルヴァスタからルルディに対しての宣戦布告にもなる。もし、その未婚の王女様が誤ってそれを服用なんてしたら、その国に対してもそうだし。各国の代表をもてなす為の晩餐会なのに。警備問題を文句言われるとか、かわいい問題ではない。
「先代シルヴァスタ国王はとうとう窮地に陥ったわけ」
「いいえ」
私は素直に首を横に。
「先代シルヴァスタ国王は、正室と側室達、そして実の母親の了承が得られないと分かるとすぐに手を打ったの。マラーナ夫人が関わると、下半身ゆるゆる男だけど政治手腕や角界においても太いパイプを作ってきたそれだけは優秀な男が」
今、さらっととんでもない言葉でなかった?
「新聞を通じて自分達の悲恋を大々的にアピール。先代シルヴァスタ国王とマラーナ夫人の若気の至りの話しは王家の醜聞だから、皆が口を閉ざしていたのにね。あっという間に世論は二人の仲を擁護し、下手にマラーナ夫人だけを消し去ることが出来なくなってしまった」
今、ちらっと怖い言葉でなかった?
「結局、正室達はある条件を着けてマラーナ夫人を、王宮の離れに入れたの」
その条件とは。
・マラーナ夫人は王家の籍には入れず非公式の愛妾とすること。当然、公式行事には出られない。
・マラーナ夫人の生活費もろもろは、国王に使用されるはずの予算から捻出。
・正室や側室達、その子供達が城の本殿いる際は、決してマラーナ夫人は立ち入ることは出来ない。
・もし、マラーナ夫人が出産しても、その子は認知せず私生児にする事。
質問っ、アンジェリカ先生っ。
「その条件なら、モニカ妃殿下はシルヴァスタ王国の王女としてオーガスト殿下の側室にはいれたんですか?」
「言ったでしょ、先代シルヴァスタ国王は、情報操作に長けていたのよ。子供には罪はない、とかなんとかね。だからシルヴァスタの国民は、マラーナ夫人が城の離れで生んだ子供達を、自身の子供だと公表したのを信じたの。ルルディ王国の民もね。実際籍もないのに」
はぁ、とため息をつくアンジェリカ様。
「マラーナ夫人が離宮で生んだのは三人。モニカ妃殿下は末っ子の長女。上二人は正室が選んだ教育係が良かったのか、立場をわきまえて、それぞれ名前を変えて離宮を出て暮らしているわ」
長男は下町の医者として貧しい人々に寄り添い、次男は教師として小さな町で、熱心に教鞭を取っている。それが認められたのか、時折正室とは連絡を取ってるらしいし、僅かだけど正室様のポケットマネーで支援しているって。できた正室さまだなあ。色々煮え湯を飲まされた女の子供に支援なんて。で、実の母親とは昔の諸事情を知ってからは疎遠となってる。
「で、問題なのはモニカ妃殿下よ。彼女はマラーナ夫人生き写しの様で先代シルヴァスタ国王は溺愛したわけ。いずれ嫁に出すのならそこまで厳しく教育をする必要ないってね。で、結果」
とんでもない自意識過剰・我が儘・高慢ちきな自称お姫様になった。
見た目がとてもいいし、スタイル抜群だし、蟻のように男が群がったそうだ。
ふーん。
「今から二十年前、オーガスト王太子殿下が公務でシルヴァスタ王国を訪れていた時に、モニカ妃殿下がどうしてもオーガスト殿下に嫁ぎたいと言い出した訳」
はあ、とため息をつくアンジェリカ様。
「ルルディとしてはそんな経歴のある女を王家に入れる訳にはいかないと断ったのよ。何せ既にセーラ殿下とアメリア殿下もいたし」
うん、無理だよね。
「だから強行手段を取ったの。晩餐会でオーガスト殿下薬物を盛り既成事実を作ったわけ」
「はいぃぃぃっ?」
それ、やっていいことな訳?
「そんなわけないでしょ。シルヴァスタ王国主催の晩餐会に、隣国の王太子が薬物を盛られたのよ。しかもその晩餐会には他国から未婚の王女殿下も参加されていたの。当然シルヴァスタ王国の信頼失墜よ」
そうだよね。
時期国王予定の王太子に薬物を盛ったって。これ、シルヴァスタからルルディに対しての宣戦布告にもなる。もし、その未婚の王女様が誤ってそれを服用なんてしたら、その国に対してもそうだし。各国の代表をもてなす為の晩餐会なのに。警備問題を文句言われるとか、かわいい問題ではない。
「先代シルヴァスタ国王はとうとう窮地に陥ったわけ」
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