188 / 338
新学期に向けて⑩
しおりを挟む
「先代シルヴァスタ国王は、自分の持つすべてを使い揉み消し、関係各国各所に根回しに回ったわ。いくら大国の国王とはいえ、相当なダメージだったわ」
シルヴァスタ国王は、大国だ。ルルディ王国より国土や人口も何倍だし、あちこちに主要産業がある。
「モニカ妃殿下のやったことは、当然死罪に匹敵するものよ。だけどそれだけはなんとか避けたかった先代シルヴァスタ国王は、オーガスト王太子殿下とルルディ王国に対して、かなりの優遇処置をする条令にサインしたわ。そして、その優遇処置と引き換えの一つにモニカ妃殿下を側室に入れたわけ。もちろん、色んな条件付きでの」
この薬物と既成事実は箝口令が敷かれた。
先代シルヴァスタ国王は、この件の後、二年後に病気を理由に退位。嘘の病気ね。マラーナ夫人が押し込められている離れに軟禁状態。因みにマラーナ夫人は三年前に亡くなっているそうだ。
で、条件は。
・エリザベス妃殿下、セーラ殿下、アメリア殿下に害を成さない。
・生活費は本来使われる側室費の半額。ただし、父親、先代シルヴァスタ国王の支援はオッケー。
・形式上側室としたが、自ら側室名乗る事は禁止。もし相手側から聞かれたら、名乗るはオッケー。
・オーガスト殿下のとなりに立ち、公務に立つには、最低限のマナーを得る事、公用語以外にも二ヶ国をマスターすること。これが出来なければ、公務に出ることは許されない。
・もし、モニカ妃殿下が既成事実で懐妊したとしても、その子供の処遇はルルディ王国王家の指示に従うこと。
「他にもあるのよ。もし、モニカ妃殿下が懐妊していなかったなら、セーラ殿下の婚約者に、当時シルヴァスタ王国の第二王子で現在のセーラ殿下の伴侶の。彼に王配としてルルディ王家に入ること、もしエリザベス妃殿下がその後男児を産んで場合は、シルヴァスタの大公として、側室を取らない事なんかね。そして、本来王家が求めて向かい入れた側室ならば、相応の式をしなくてはならないのだけど、国内に発表しただけ。勘のいいものなら訳ありの側室だと分かったはずよ」
ふう、とアンジェリカ様はため息。
「モニカ妃殿下にしては不満足な側室生活だったと思うわ。今までは先代シルヴァスタ国王の庇護下で我が儘放題だったからね。よく癇癪を起こしていたわ。よくエリザベス妃殿下に突っかったわ『私は男児を産むわ』ってね。その都度ペナルティが発生したわ」
「どうして、突き返さなかったんですか?」
「そう思うわよね。モニカ妃殿下は既成事実で懐妊したのそれがロナウド殿下よ。ペナルティだけど、先代シルヴァスタ国王が自身の不動産と株を動かして得た金銭と、王領で出来た余剰分の穀物を台風被害をあったルルディ王国内の地域に無償提供を続けたわけ。だから下手に返せないわけ。だけどカタリナ様の件もあり、そして今回のレオンハルト殿下の件が重なれば、モニカ妃殿下は側室からだされるわ」
ああ、レオンハルト殿下のシルヴァスタ王国への留学ね。
シスター・スロウは正室派と側室派と分かれているって言ったけど。結局、ウーヴァ公爵を筆頭に上位貴族、モニカ妃殿下が簡素に新聞発表しかされなかったのに事情をさっした貴族は正室派。側室派は、モニカ妃殿下がオーガスト王太子殿下に薬物を盛った事なんて知らない下級貴族ばかりだって。
圧倒的に正室派なんだけど、なぜ側室派が引かないのは、二人の王子の産まれた順番がある。
ロナウド殿下が産まれた二年後にレオンハルト殿下が産まれた。本来なら第一王子が慣例により王太子になるのだけど。あの問題だらけのモニカ妃殿下から生まれたロナウド殿下は、モニカ妃殿下の悪影響を受けまくり、ザ・傲慢+我が儘+ナルシスト王子に。幼い頃は、ロナウド殿下は、あまり世間に出していなかったから城のなかでやりたい放題。ちゃんとした教育係がついてもまともに受けやしない。しかもモニカ妃殿下まで要らぬ横槍を入れるからすすみやしない。
「オーガスト殿下は、もし、ロナウド殿下に資質があるのであれば、と教育を施したのだけど無駄になったわ。最大の被害者はペルク侯爵だったわ」
アンジェリカ様はふっと目蓋を伏した。
シルヴァスタ国王は、大国だ。ルルディ王国より国土や人口も何倍だし、あちこちに主要産業がある。
「モニカ妃殿下のやったことは、当然死罪に匹敵するものよ。だけどそれだけはなんとか避けたかった先代シルヴァスタ国王は、オーガスト王太子殿下とルルディ王国に対して、かなりの優遇処置をする条令にサインしたわ。そして、その優遇処置と引き換えの一つにモニカ妃殿下を側室に入れたわけ。もちろん、色んな条件付きでの」
この薬物と既成事実は箝口令が敷かれた。
先代シルヴァスタ国王は、この件の後、二年後に病気を理由に退位。嘘の病気ね。マラーナ夫人が押し込められている離れに軟禁状態。因みにマラーナ夫人は三年前に亡くなっているそうだ。
で、条件は。
・エリザベス妃殿下、セーラ殿下、アメリア殿下に害を成さない。
・生活費は本来使われる側室費の半額。ただし、父親、先代シルヴァスタ国王の支援はオッケー。
・形式上側室としたが、自ら側室名乗る事は禁止。もし相手側から聞かれたら、名乗るはオッケー。
・オーガスト殿下のとなりに立ち、公務に立つには、最低限のマナーを得る事、公用語以外にも二ヶ国をマスターすること。これが出来なければ、公務に出ることは許されない。
・もし、モニカ妃殿下が既成事実で懐妊したとしても、その子供の処遇はルルディ王国王家の指示に従うこと。
「他にもあるのよ。もし、モニカ妃殿下が懐妊していなかったなら、セーラ殿下の婚約者に、当時シルヴァスタ王国の第二王子で現在のセーラ殿下の伴侶の。彼に王配としてルルディ王家に入ること、もしエリザベス妃殿下がその後男児を産んで場合は、シルヴァスタの大公として、側室を取らない事なんかね。そして、本来王家が求めて向かい入れた側室ならば、相応の式をしなくてはならないのだけど、国内に発表しただけ。勘のいいものなら訳ありの側室だと分かったはずよ」
ふう、とアンジェリカ様はため息。
「モニカ妃殿下にしては不満足な側室生活だったと思うわ。今までは先代シルヴァスタ国王の庇護下で我が儘放題だったからね。よく癇癪を起こしていたわ。よくエリザベス妃殿下に突っかったわ『私は男児を産むわ』ってね。その都度ペナルティが発生したわ」
「どうして、突き返さなかったんですか?」
「そう思うわよね。モニカ妃殿下は既成事実で懐妊したのそれがロナウド殿下よ。ペナルティだけど、先代シルヴァスタ国王が自身の不動産と株を動かして得た金銭と、王領で出来た余剰分の穀物を台風被害をあったルルディ王国内の地域に無償提供を続けたわけ。だから下手に返せないわけ。だけどカタリナ様の件もあり、そして今回のレオンハルト殿下の件が重なれば、モニカ妃殿下は側室からだされるわ」
ああ、レオンハルト殿下のシルヴァスタ王国への留学ね。
シスター・スロウは正室派と側室派と分かれているって言ったけど。結局、ウーヴァ公爵を筆頭に上位貴族、モニカ妃殿下が簡素に新聞発表しかされなかったのに事情をさっした貴族は正室派。側室派は、モニカ妃殿下がオーガスト王太子殿下に薬物を盛った事なんて知らない下級貴族ばかりだって。
圧倒的に正室派なんだけど、なぜ側室派が引かないのは、二人の王子の産まれた順番がある。
ロナウド殿下が産まれた二年後にレオンハルト殿下が産まれた。本来なら第一王子が慣例により王太子になるのだけど。あの問題だらけのモニカ妃殿下から生まれたロナウド殿下は、モニカ妃殿下の悪影響を受けまくり、ザ・傲慢+我が儘+ナルシスト王子に。幼い頃は、ロナウド殿下は、あまり世間に出していなかったから城のなかでやりたい放題。ちゃんとした教育係がついてもまともに受けやしない。しかもモニカ妃殿下まで要らぬ横槍を入れるからすすみやしない。
「オーガスト殿下は、もし、ロナウド殿下に資質があるのであれば、と教育を施したのだけど無駄になったわ。最大の被害者はペルク侯爵だったわ」
アンジェリカ様はふっと目蓋を伏した。
101
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる