ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
261 / 338

事例八の末路④

しおりを挟む
「ウィンティア嬢、私は貴女の犬ですよ」

「あれはキーファー様に渇をいれるためですね」

 ここ毎日、レオナルド・キーファーがスキンシップしてくる。頬っぺたや手にキスしてくる。慣れないんですがっ。

「ダメですか?」

 きゅーん、と鳴きそうな大型犬。ちょっと止めてよ、その顔には弱いんだから。

「は、恥ずかしいのでっ」

「では、慣れましょう」

 ちゅ、と、頬っぺたに。

「では、行って参ります」

「はい、いってらっしゃい………」

 生暖かい視線の使用人さん達に見送られレオナルド・キーファーが出勤。もう、毎日恥ずかしい。
 あの二名の男子生徒による事件から時間が経過。体調はばっちりなのに、学園に行けてない。毎日課題はやってる。時々アンジェリカ様のチェック入るので手を抜けないしね。
 昨日、二名の男子生徒の家から慰謝料が来た。1000万だ。高い様な気がするが、天下のウーヴァ公爵家がバックに着いたので、この額。学園も休まなければいけなくなっているしね。
 二人とも謹慎処分になっている。
 私はウーヴァ公爵家にずっとお世話になってしまっている。

「ウィンティア様、午後よりアンジェリカお嬢様がお戻りになるそうです。ご昼食をご一緒に、と」

「はい」

 私は午前中はしっかり課題をこなす。午後からゴロゴロしたり、借りてきてもらった本を読んだり、かなり高確率で厨房に立ってる。シェフさん達がてぐすね引いてるからね。
 あれからナタリアとは一度だけ会ったが、二名の男子学生の凶行は伏せてる。今は裁判に集中してもらわないとね。毎日、新聞ではこの裁判の話題で持ちきりだ。とうとうキリール・ザーデクの件に斬り込んでいる。
 予測していたが、やっぱり大騒ぎだ。
 私は新聞を片付けて、課題をこなす。ちら、とゾーヤ・グラーフとティーシモン・バズルの似顔絵が見えたが、自業自得だと片付ける。アデレーナの出生偽装も暴かれて、不義の子の烙印が押された。それを知りながら、見なかったふりをしたグラーフ伯爵夫妻も糾弾されている。こちらも自業自得だ。だって孫はアデレーナだけではない、ナタリア達もいるのに、ナタリア達を切り捨てたんだから。これには、グラーフ伯爵夫妻は抵抗していた。ナタリアから助けを求める手紙なんて受け取っていないし、毎月ナタリアの銀行口座に10万ルル振り込んでいたからと。確かにゾーヤが連れてきたのはアデレーナだけだったが、ナタリア達の事は気にしていたと。だから、毎月10万ルル振り込んでいた。
 だが、これにはからくりがある。
 ゾーヤとアデレーナがグラーフ伯爵夫妻に嘘を吹き込んでいた。
 ナタリア達は生まれ育った家から離れたくない、ザーデク子爵を守るために家に残った。生活はキリール・ザーデクの保険的なのがあるので大丈夫だと。
 はい、全部嘘。
 ナタリア達は着の身着のままで放置、ザーデク家は売りに出され、行く宛がなかった。当然キリール・ザーデクの貯蓄は、根こそぎゾーヤ・グラーフが持っていった。グラーフ伯爵夫妻は、娘のゾーヤからそう聞いたが、せめてヴァレリーが大学を出るまでは、とナタリアの口座に振り込んでいたが、その口座の存在を肝心のナタリアが知らなかった。開設したのはゾーヤ・グラーフ。そして、お金をすべて引き出したのも、ゾーヤ・グラーフ。銀行に記録が残っていた。引き出したお金はその日のうちに、自身とアデレーナの為に使い果たしていた。
 裁判でその事が明るみになり、グラーフ伯爵夫妻の管理能力を問われる事態となった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

不貞の末路《完結》

アーエル
恋愛
不思議です 公爵家で婚約者がいる男に侍る女たち 公爵家だったら不貞にならないとお思いですか?

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

年に一度の旦那様

五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして… しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

手放してみたら、けっこう平気でした。

朝山みどり
恋愛
エリザ・シスレーは伯爵家の後継として、勉強、父の手伝いと努力していた。父の親戚の婚約者との仲も良好で、結婚する日を楽しみしていた。 そんなある日、父が急死してしまう。エリザは学院をやめて、領主の仕事に専念した。 だが、領主として努力するエリザを家族は理解してくれない。彼女は家族のなかで孤立していく。

お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。 だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!  愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理! 姉の結婚までにこの家から逃げたい! 相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。

処理中です...