無職メンヘラ男が異世界でなりあがります

ヒゲオヤジ

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第二章

王宮へ

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数日後、ギルドから報奨金が届けられた。

金額は5千ベルム。大体50万円だ。

正直、金欠の俺には大いに助かった。

功績もギルド評価になるということだし、今回の一件は今までにないくらいためになったな。
ラインビーチの皆さんにも感謝されたし。

ん、そういえばホーンテッドはの持ち主は『弱きものを救い正義を行う』とされているんだったな。

今回のように民衆のために働け、ということだろうか。

そんなことを考えながら賑やかになった風魔法研究部に行くと、

「皆、王宮から呼び出しがあった。今回の件で勲章授与があるそうだ。」
とウェイ部長が発表した。

ラインビーチ・ギルド長のヘスティさんが可能性があると言っていたが、本当に実現するとは。

「今回は、僕、ハンナ、ユージ、アカネ、アイリス、そして同行したレイン君が行くことになった。みな、その心づもりでいるように。3日後だ。」

「すごいわね!勲章だって。やるじゃない」
とフレンダがポニーテールをなびかせて言ってきた。

「んん・・正直、アイリスの家に行くにも緊張したから王宮なんてどうすればいいのかわからない・・w」
と困惑していると、

「馬鹿ね。堂々としてればいいのよ。服も制服でいいでしょうし。」
とアカネが助け船を出してくれた。

本当にいつも頼りになるな。

「私もヴァレンティ家だけど、王宮なんかいったことないよ?」
とアイリスが言う。

「まぁ皆がいるなら一安心だ。わからない時は頼りにさせてくれ。」
と一応断っておいた。

――――――――

王宮は学園から馬車で3時間ほどの中央区にある。
ちなみに魔術学園は西区にあるので、ちょっと王宮からは離れている。

当日が来ると、立派な馬車が学園まで迎えに来た。

俺たちは思い思いに馬車に乗り込む。

「あれ?ウェイ部長は?」

「なんか先に言ってるそうだよ?伝言があったの。」
とハンナ先輩が答える。

そうなのか。先に乗り込んでるなんてさすがウェイ部長だ。

俺たちはそれぞれ馬車に乗り込んで王宮へ向かった。

――――――――

衛士に勲章授与の件を伝えて通してもらうと、大きな広間に通された。

さすが王宮、ヴァレンティ家のパーティー会場の数倍の広さだ。

両脇には数十人の衛士が並んでいる。

俺たちはその中を進んでいった。
(俺だけおっかなびっくり。他の皆は堂々としたもんだった。)

ウェイ部長はまだ参列していない。
急用でもできたのだろうか?

すると、
『第1王子のおなり~』
と声がかかり、皆膝をつき、頭を下げる。
俺も皆に倣ってまねて頭を下げた。

すると頭上から、

「面を上げよ。勇士諸君。」
と声がかかった。

意外と若い声だな・・と頭を上げると、
・・・
・・

ウェイ部長がいた。

・・あれぇ?

「やあ、皆驚かせて済まない。」
とウェイ部長が言う。

さすがに今度は皆固まっていた。

ウェイ部長はいつもの藍色の髪ではなく、黒憧、黒髪の姿になっていた。

「ウェイ部長・・そのお姿は・・・」
アカネが何とか声をあげると、

「アハハ、ごめんよ。いつもは王宮の魔法師から変身魔術をかけてもらっていてね。こっちが僕の本当の姿なんだ。」
とウェイ部長が笑う。

「隠していて済まない・御覧の通り、僕はこの国の第1王子、ノブタダ・ローム、またの名をノブタダ・オダと言う。」

オダ?
・・
もしかして・・織田??

「聞いたことがあるかもしれないが、この国の初代王は、ニホンという国からやってきた。以来、ロームの名を使って国政を行っているが、正体はオダというニホンの名前なのさ。」

驚いて声も出ない。
すると・・・数百年前に来たと言われている初代王は・・・

「ユージ。君なら知っているかも知れないが、この国を作った王の名はノブナガ。ノブナガ・オダだ。」

織田信長か!

驚愕に声も出ない。
日本史史上最大級の英雄じゃないか。

しかし、数百年の時間差がある。
現国王はあの信長ではないだろう。

「王族は教育のため、幼少期から青年になるまでは王国立魔術学園で学ぶことが慣例とされている。したがって僕も学園に籍を置いているが・・生徒の皆には黙っていてくれるとありがたい。余計な混乱を生むからね。」

「「「「わかりました・・」」」」
皆驚きを隠せずにいつつも素直に従う。

「では勲章の授与に移ろう。まず、ユージ・ミカヅチ前へ。」

「は・・ひゃい!」
緊張と驚きで声が裏返ってしまった。

皆クスクス笑っている。
アカネまで下を向いて笑いをこらえている。もういっその事声を上げて笑ってほしい。

ウェイ部長、改めノブタダ王子は
「ユージ、そんなに緊張しないように。今回の第1の殊勲者は君だ。何より僕がそばで見ていたからね。何よりの証拠さ!」
と言って細かな装飾がされたメダルを首にかけてくれる。

「そして、ユージ・ミカヅチには殊勲として十万ベルムが与えられる!」
ノブタダ王子が言うと、衛士の中からベルム金貨をのせた台が差し出されてきた。

十万ベルム!一千万か!!見たこともないぞそんな大金。

「ユージ、どうする?後ほど寮に届けるということもできるけど。」
とノブタダ王子が聞いてくる。

「いや、このまま持ち帰ります・・不安なので・・」
と答える。

あとでどこか保管場所を見つけないとな・・。

「次、アカネ・ローゼンデール!」

「はい!」
アカネはそう答えると堂々とした立ち振る舞いで勲章を受け取った。

「更にアカネ・ローゼンデールには殊勲として八万ベルムが与えられる!」

「ありがとうございます!」

「今回のクラーケン討伐はアカネの炎魔法と空間魔法なしには、なしえなかった。君も十分に貢献してくれたよ。ユージ並みにね。」

「恐れ入ります。」
とアカネは頭を下げた。

その後も勲章と賞金授与が行われ、式は滞りなく進んでいった。

――――――――

皆に勲章と報奨金が行き渡ったところで、

「さて、これで授与式は終了だ。別室に食事が用意してある。王家のシェフが腕を振るって料理した品々だ。皆堪能してほしい。」
とノブタダ王子が式をしめた。

皆、思い思いに別室へ移動していると、

「ユージ、君にはちょっと会ってほしい人がいる。こちらに来てくれ。」
とノブタダ王子に呼び止められた。

「は・・はい。」
と王子についていくと、

「こちらの部屋だ。滅多に人前に顔を出さないご老公だが、ユージに会いたいと言っている。」

ご老公?!また緊張してきた。

『コンコン』

「入れ。」
といささか高音のキンとした声が響いた。

「失礼いたします。くだんのユージ・ミカヅチを連れてまいりました。」
というとノブタダ王子は下がっていく。

そこには・・・


マントを羽織った信長がいた。
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