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第五章
雷竜国へ
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いよいよ雷竜国に行く日がやってきた。
事前に既に文官や技術者たちは向かっていったようだ。
俺達はエリスの意向もあり、今回はアイズとエリスの背に乗っていくことにしていた。
今回は念のため、アイズとエリスの首に特殊な紐を付けさせてもらっていた。
人間体だとネックレスのようになるし、ドラゴンになっても俺達が握れるような長さに変化する魔道具だ。
「いやですわ。何かうっとうしいですわ。」
エリスは文句を言っていたが、
「そう?僕これおしゃれみたいでいいと思う。」
とアイズは気に入ったようだ。
ともあれ、俺、アカネ、アイリスはアイズ、エリスに乗り込んだ。
雷竜国までは3時間ほどでついた。
既に門番が待ち構えている。
「おお、エリス姫!王が首を長くしてお待ちですぞ!」
「ありがとう。すぐまいります。」
エリスはお礼を言うと王宮に入っていった。
俺達も続いてはいる。
雷竜国は氷竜国のようにこじんまりとした王宮だった。
ドラゴンの王宮と言うのはおういったものなのだろうか。
門を入って王宮に入るとすぐに広間があった。
「おう、エリスよ!待ちかねていたぞ!」
そこには頭から角を生やした王がいた。中肉中背でエリスのように見事な青髪だ。
どことなく王の威厳を感じさせる。
「してそこの者どもがユージ殿、アカネ殿、アイリス殿だな。アイズ殿よ、ひさしぶりだのう?」
「うん。ひさしぶり。」
「お初にお目にかかります。ユージ・ミカヅチです。」
「アカネ・ローゼンデールです。」
「アイリス・ローム・ヴァレンティです。よろしくお願いいたします。」
「おうおう、ヒューリックの反乱や魔族の反乱を押さえたものたちじゃな。会えてうれしく思うぞ!」
「光栄です。」
「さて、先についたローム王国の技術者、内政官より話は聞いておるが。この度は両国の為になる話をもってきてくれて感謝する。」
「いえ、雷竜の雷の力があればロームの電気事業も進むと考えたものですから。」
「それはこっちにとっても願ったりかなったりじゃ。なにせ職にあぶれているものが多いからのう。」
「電気事業は国にとっても一大事業です。是非両国のお役に立てればと思います。」
「おうおう、こちらとしても全面協力させてもらおう。まずはその、デンキじゃったか?雷の力を変換して送る装置が必要だのう。」
「はい、それに送電線といいますが、ロームへとつなぐ長い電線が必要となります。」
「ふむふむ。おおまかなところは聞いておる。あとは技術者との話じゃな。」
「どうぞよろしくお願いします。ロームにとっても大きな一歩となりますので。」
「こちらとしては手の空いているものが交代で雷を起こすことになろう。大きすぎても小さすぎてもいかんな。」
「はい。そのあたりは調整が必要かと思います。」
「ロームの内政官より設備面での投資はロームが受け持つと言ってくれた。こちらとしては雷を起こすだけじゃ。助かるのう。」
「そう言っていただけると助かります。電気の便利さは非常に大きいものですから。」
「わが国には燃える黒水も出る。それは助けにならんかのう?」
「あ!それは伺いましたが大きな助けになります。僕の国では石油と言うんですが、様々なことに使えるでしょう。電気の安定供給にも使えます。」
「おお、そうか。ではそれも技術者たちに話しておくことにしよう。」
どのくらい出るのだろう?もし地球の中東のような規模ならロームが一変するほどの大きな一歩になるぞ。
俺はわくわくする気持ちをおさえながら雷竜王と話し合った。
「ただし、黒水の産出量はさほど多くはないのじゃが・・それでもよいのかのう?」
「そうですか・・いや、しかし、精製の経験にはなると思いますので。いただければと思います。」
産出量は多くないのか。日本でもどこかに出るが産出量が多くないので使えないと聞いたことある。そのくらいだろうか。
「ふむふむ。面白い会談であったな。ではいったん部屋を準備させておるからお休みになられたら良い。食事の時間になったらまた呼びにやらせよう。」
「かしこまりました。」
・・・
部屋へと行く道すがら
「ねぇねぇ、ユージ、石油ってそんなにすごいものなの?」
アカネが聞いてくる。
「ああ、電気を起こすだけじゃなく、様々な素材にも使える。俺もそんなに詳しいわけじゃないんだけど、プラスチックという破れにくくて壊れにくい、それでいて軽量なものなんかも作れるはずだ。」
「ふーん、なんか想像できないわね。」
「まぁ俺もその分野のことはうといから。あとは信長様や技術者の仕事だな。」
「なんだかユージが来てからどんどんロームが変わっていく気がするわ。」
「元々信長様が準備していたからだろうな。俺の事はきっかけにすぎない。」
「ねぇねぇユージ君。それってロームがもっとお金持ちになるってことなのかなぁ?」
「うーん、それはどうだろうな・・初期投資はかかるけど、長い目で見たら間違いなく発展してくると思うよアイリス。」
「そうなんだ!なんかすごいね!」
「ただ、経済発展とともに弊害もあるんだ。」
「どういうこと?」
「ライン・ビーチでも言ったけど、俺のいた国では経済発展にともなって様々な会社などが出す排出物で病気になる人が出たり、美しい環境を壊したりして大きな社会問題にもなってるんだ。」
「そうなの・・なかなかうまくいかないわね。」
アカネが少し考え込む顔になる。
「まぁそのあたりはうまく調整してやっていくしかないな。」
俺達はそんことを話しながら与えられた部屋に行った。
・・・
しばらくして。
「ユージ様。お食事の準備ができました。」
とノックがされた。
腹も減ってきたしな。丁度いいタイミングだ。
「わかりました。今まいります。」
俺はすぐに部屋を出ると廊下でアカネ達とばったり会った。
「あら。ちょうど一緒だったのね。」
「うん。俺のところにも今迎えが来てくれた。」
「楽しみだね!雷竜国の食事はどんな感じかのかなぁ?」
アイリスが楽しみにして笑顔になっている。
「僕は雷竜国の食事は好き。肉が多い。」
アイズは知ってるからな。肉が多いのか。
俺達は食事に向かうとテーブルについた。
運ばれてくるものは肉肉肉・・鹿、猪、熊、牛、豚、鳥・・いわゆるジビエから一般的に日本で食べられているものまで肉料理のオンパレードだった。
「これは・・ちょっと胸やけがしそうだな・・。」
「あら、雷竜国のお食事はお気に召しませんの?料理人が腕を振るって作ったものですわ。どうぞお召し上がりになって。」
エリスがニコニコと言う。
確かにどの料理もうまかった。微妙な味付けが変えられていて飽きることはない。ただ・・さすがにもう少し野菜が欲しいところだな。
「はっはっは。人間族の方にはいささか食べにくいかもしれませんな。何せドラゴンは基本肉食ですからなぁ。」
王がほくほく顔で食事を口に運ぶ。
仕方ない、こうなったらなるようになれだ。
俺は無理やり料理を口にかっこんだ。
・・・
うう・・腹が重い・・
「ユージ、ちょっと散歩にでもいかない?」
アカネの声がする。
「ああ、俺もちょっと胃もたれしそうだったんだ。行こう。」
出るとアイリスとアイズもいた。
出口付近でエリスと出会った。
「あら、お散歩にいかれるのですか?雷竜国は安全ですが、私も案内についてまいりましょう。」
と言ってくれた。
俺達は街に出てみた。
こじんまりとした街だ。
メインストリートが2,3キロほどで終わりその周囲に店が立ち並んでいる。
「なんか・・小さな街だね・・」
アイリスが感想を漏らす。
「うん・・王都やライン・ビーチを見てきた後だと少し小さく感じるわね」
アカネが同調する。
「竜人族はこのくらいで丁度いいのですわ。みな猟にいっては獲物を取ってきますから。」
「その・・武具とかは必要ないのか?」
「ドラゴンの鱗を傷付けられるものなどそうそうありませんわ!」
それもそうか。
俺達は適当なカフェに入ってみた。
料理は肉料理ばかり。やっぱりこれがドラゴンのスタンダードなんだろうな。氷竜族では少し気を使ってもらっていたのかもしれない。
「さすがにもう肉料理は入らないな。飲み物でも頼むか。」
「そうね。私はコーヒー。」
「私はお茶にしようかしら。」
人間族の俺達はみな飲み物にした。
ここにはお茶もあるんだな。アイリスはすっかり気に入ったようだ。
「私は串鳥にしようかしら。」
エリス・・まだ食うのか。その細い体のどこに入るんだか。
「僕は猪肉にする。」
と思ったらもう一人いた。
まぁアイズは普段から大食漢だからな。
「それで、黒水は事業になりそうなんですの?」
エリスが聞いてくる。
「うーん、聞いた話ではそんなに量も多くないみたいだし、さほど大きな事業にはならないかもしれないな・・まぁ今後の研究のために少しもらうくらいが精いっぱいなんじゃないかな。」
「そうですの。残念ですわ。」
「その代わりに発電事業は大きいぞ。雷竜国の人々とロームの経済力が合わされば、大きなことができそうだ。」
「デンキってやつね。」
アカネが言う。
「ああ、俺のいた国ではもう大半が電気を使って生活してるんだ。この前言った石油を使った乗り物も徐々に電気に変わりつつある。」
「そう、電気って本当にすごいのね?」
「まぁ一番期待されてるものの一つじゃないかな?この前話した自動でうごく馬車も電気にかわりつつあるんだ。」
「早くそんな世界を見てみたいわ。」
「まぁ俺のいた世界でも変わりつつあるって感じだからこの世界ではまだまだ先の話だろうけど・・信長様なら一気に推し進めるかもしれないな。形はわからないけど。」
俺達はそんなことを話しながら時を過ごした。
「ねぇみなさん。山の展望台に行ってみませんこと?」
エリスがそんな提案をしてきた。
「展望台なんてあるのか?竜人族なら自分で飛べるだろうに。」
「観光客用に作られたものがあるのですわ。私ならすぐに案内できますわよ?」
せっかくだし、行ってみるか。
アカネもアイリスも異存はないようだ。
アイズはもう見たのか、
「僕もう何回もいったことあるからいい。」
と断った。
「じゃあ皆さま私にお乗りくださいませ」
エリスがドラゴンの姿になって俺たちを乗せてくれる。
展望台まではあっという間だった。
「これは・・美しいな・・」
俺達は山の中腹に作られた展望台から街を見下ろしていた。
こじんまりとした街が、山に囲まれた中でキラキラと光を放ち存在感を放っている。
「そうでしょう?ここは雷竜国では数少ない絶景ポイントですの。」
うーん、もう少し工夫したらもっと綺麗になりそうな気がするんだけど・・
山に囲まれた町・・
「あ、そうだ!雷竜国では熱いお湯は出ないのか?」
「出ますわよ?でも熱すぎてとても人間族には入れたものではありませんわよ?」
「もしかして・・火山・・火を吹く山もあったりするのか?」
「ありますわよ。小さい規模ですけど。」
おっと、これは少し貢献できるかもな。
事前に既に文官や技術者たちは向かっていったようだ。
俺達はエリスの意向もあり、今回はアイズとエリスの背に乗っていくことにしていた。
今回は念のため、アイズとエリスの首に特殊な紐を付けさせてもらっていた。
人間体だとネックレスのようになるし、ドラゴンになっても俺達が握れるような長さに変化する魔道具だ。
「いやですわ。何かうっとうしいですわ。」
エリスは文句を言っていたが、
「そう?僕これおしゃれみたいでいいと思う。」
とアイズは気に入ったようだ。
ともあれ、俺、アカネ、アイリスはアイズ、エリスに乗り込んだ。
雷竜国までは3時間ほどでついた。
既に門番が待ち構えている。
「おお、エリス姫!王が首を長くしてお待ちですぞ!」
「ありがとう。すぐまいります。」
エリスはお礼を言うと王宮に入っていった。
俺達も続いてはいる。
雷竜国は氷竜国のようにこじんまりとした王宮だった。
ドラゴンの王宮と言うのはおういったものなのだろうか。
門を入って王宮に入るとすぐに広間があった。
「おう、エリスよ!待ちかねていたぞ!」
そこには頭から角を生やした王がいた。中肉中背でエリスのように見事な青髪だ。
どことなく王の威厳を感じさせる。
「してそこの者どもがユージ殿、アカネ殿、アイリス殿だな。アイズ殿よ、ひさしぶりだのう?」
「うん。ひさしぶり。」
「お初にお目にかかります。ユージ・ミカヅチです。」
「アカネ・ローゼンデールです。」
「アイリス・ローム・ヴァレンティです。よろしくお願いいたします。」
「おうおう、ヒューリックの反乱や魔族の反乱を押さえたものたちじゃな。会えてうれしく思うぞ!」
「光栄です。」
「さて、先についたローム王国の技術者、内政官より話は聞いておるが。この度は両国の為になる話をもってきてくれて感謝する。」
「いえ、雷竜の雷の力があればロームの電気事業も進むと考えたものですから。」
「それはこっちにとっても願ったりかなったりじゃ。なにせ職にあぶれているものが多いからのう。」
「電気事業は国にとっても一大事業です。是非両国のお役に立てればと思います。」
「おうおう、こちらとしても全面協力させてもらおう。まずはその、デンキじゃったか?雷の力を変換して送る装置が必要だのう。」
「はい、それに送電線といいますが、ロームへとつなぐ長い電線が必要となります。」
「ふむふむ。おおまかなところは聞いておる。あとは技術者との話じゃな。」
「どうぞよろしくお願いします。ロームにとっても大きな一歩となりますので。」
「こちらとしては手の空いているものが交代で雷を起こすことになろう。大きすぎても小さすぎてもいかんな。」
「はい。そのあたりは調整が必要かと思います。」
「ロームの内政官より設備面での投資はロームが受け持つと言ってくれた。こちらとしては雷を起こすだけじゃ。助かるのう。」
「そう言っていただけると助かります。電気の便利さは非常に大きいものですから。」
「わが国には燃える黒水も出る。それは助けにならんかのう?」
「あ!それは伺いましたが大きな助けになります。僕の国では石油と言うんですが、様々なことに使えるでしょう。電気の安定供給にも使えます。」
「おお、そうか。ではそれも技術者たちに話しておくことにしよう。」
どのくらい出るのだろう?もし地球の中東のような規模ならロームが一変するほどの大きな一歩になるぞ。
俺はわくわくする気持ちをおさえながら雷竜王と話し合った。
「ただし、黒水の産出量はさほど多くはないのじゃが・・それでもよいのかのう?」
「そうですか・・いや、しかし、精製の経験にはなると思いますので。いただければと思います。」
産出量は多くないのか。日本でもどこかに出るが産出量が多くないので使えないと聞いたことある。そのくらいだろうか。
「ふむふむ。面白い会談であったな。ではいったん部屋を準備させておるからお休みになられたら良い。食事の時間になったらまた呼びにやらせよう。」
「かしこまりました。」
・・・
部屋へと行く道すがら
「ねぇねぇ、ユージ、石油ってそんなにすごいものなの?」
アカネが聞いてくる。
「ああ、電気を起こすだけじゃなく、様々な素材にも使える。俺もそんなに詳しいわけじゃないんだけど、プラスチックという破れにくくて壊れにくい、それでいて軽量なものなんかも作れるはずだ。」
「ふーん、なんか想像できないわね。」
「まぁ俺もその分野のことはうといから。あとは信長様や技術者の仕事だな。」
「なんだかユージが来てからどんどんロームが変わっていく気がするわ。」
「元々信長様が準備していたからだろうな。俺の事はきっかけにすぎない。」
「ねぇねぇユージ君。それってロームがもっとお金持ちになるってことなのかなぁ?」
「うーん、それはどうだろうな・・初期投資はかかるけど、長い目で見たら間違いなく発展してくると思うよアイリス。」
「そうなんだ!なんかすごいね!」
「ただ、経済発展とともに弊害もあるんだ。」
「どういうこと?」
「ライン・ビーチでも言ったけど、俺のいた国では経済発展にともなって様々な会社などが出す排出物で病気になる人が出たり、美しい環境を壊したりして大きな社会問題にもなってるんだ。」
「そうなの・・なかなかうまくいかないわね。」
アカネが少し考え込む顔になる。
「まぁそのあたりはうまく調整してやっていくしかないな。」
俺達はそんことを話しながら与えられた部屋に行った。
・・・
しばらくして。
「ユージ様。お食事の準備ができました。」
とノックがされた。
腹も減ってきたしな。丁度いいタイミングだ。
「わかりました。今まいります。」
俺はすぐに部屋を出ると廊下でアカネ達とばったり会った。
「あら。ちょうど一緒だったのね。」
「うん。俺のところにも今迎えが来てくれた。」
「楽しみだね!雷竜国の食事はどんな感じかのかなぁ?」
アイリスが楽しみにして笑顔になっている。
「僕は雷竜国の食事は好き。肉が多い。」
アイズは知ってるからな。肉が多いのか。
俺達は食事に向かうとテーブルについた。
運ばれてくるものは肉肉肉・・鹿、猪、熊、牛、豚、鳥・・いわゆるジビエから一般的に日本で食べられているものまで肉料理のオンパレードだった。
「これは・・ちょっと胸やけがしそうだな・・。」
「あら、雷竜国のお食事はお気に召しませんの?料理人が腕を振るって作ったものですわ。どうぞお召し上がりになって。」
エリスがニコニコと言う。
確かにどの料理もうまかった。微妙な味付けが変えられていて飽きることはない。ただ・・さすがにもう少し野菜が欲しいところだな。
「はっはっは。人間族の方にはいささか食べにくいかもしれませんな。何せドラゴンは基本肉食ですからなぁ。」
王がほくほく顔で食事を口に運ぶ。
仕方ない、こうなったらなるようになれだ。
俺は無理やり料理を口にかっこんだ。
・・・
うう・・腹が重い・・
「ユージ、ちょっと散歩にでもいかない?」
アカネの声がする。
「ああ、俺もちょっと胃もたれしそうだったんだ。行こう。」
出るとアイリスとアイズもいた。
出口付近でエリスと出会った。
「あら、お散歩にいかれるのですか?雷竜国は安全ですが、私も案内についてまいりましょう。」
と言ってくれた。
俺達は街に出てみた。
こじんまりとした街だ。
メインストリートが2,3キロほどで終わりその周囲に店が立ち並んでいる。
「なんか・・小さな街だね・・」
アイリスが感想を漏らす。
「うん・・王都やライン・ビーチを見てきた後だと少し小さく感じるわね」
アカネが同調する。
「竜人族はこのくらいで丁度いいのですわ。みな猟にいっては獲物を取ってきますから。」
「その・・武具とかは必要ないのか?」
「ドラゴンの鱗を傷付けられるものなどそうそうありませんわ!」
それもそうか。
俺達は適当なカフェに入ってみた。
料理は肉料理ばかり。やっぱりこれがドラゴンのスタンダードなんだろうな。氷竜族では少し気を使ってもらっていたのかもしれない。
「さすがにもう肉料理は入らないな。飲み物でも頼むか。」
「そうね。私はコーヒー。」
「私はお茶にしようかしら。」
人間族の俺達はみな飲み物にした。
ここにはお茶もあるんだな。アイリスはすっかり気に入ったようだ。
「私は串鳥にしようかしら。」
エリス・・まだ食うのか。その細い体のどこに入るんだか。
「僕は猪肉にする。」
と思ったらもう一人いた。
まぁアイズは普段から大食漢だからな。
「それで、黒水は事業になりそうなんですの?」
エリスが聞いてくる。
「うーん、聞いた話ではそんなに量も多くないみたいだし、さほど大きな事業にはならないかもしれないな・・まぁ今後の研究のために少しもらうくらいが精いっぱいなんじゃないかな。」
「そうですの。残念ですわ。」
「その代わりに発電事業は大きいぞ。雷竜国の人々とロームの経済力が合わされば、大きなことができそうだ。」
「デンキってやつね。」
アカネが言う。
「ああ、俺のいた国ではもう大半が電気を使って生活してるんだ。この前言った石油を使った乗り物も徐々に電気に変わりつつある。」
「そう、電気って本当にすごいのね?」
「まぁ一番期待されてるものの一つじゃないかな?この前話した自動でうごく馬車も電気にかわりつつあるんだ。」
「早くそんな世界を見てみたいわ。」
「まぁ俺のいた世界でも変わりつつあるって感じだからこの世界ではまだまだ先の話だろうけど・・信長様なら一気に推し進めるかもしれないな。形はわからないけど。」
俺達はそんなことを話しながら時を過ごした。
「ねぇみなさん。山の展望台に行ってみませんこと?」
エリスがそんな提案をしてきた。
「展望台なんてあるのか?竜人族なら自分で飛べるだろうに。」
「観光客用に作られたものがあるのですわ。私ならすぐに案内できますわよ?」
せっかくだし、行ってみるか。
アカネもアイリスも異存はないようだ。
アイズはもう見たのか、
「僕もう何回もいったことあるからいい。」
と断った。
「じゃあ皆さま私にお乗りくださいませ」
エリスがドラゴンの姿になって俺たちを乗せてくれる。
展望台まではあっという間だった。
「これは・・美しいな・・」
俺達は山の中腹に作られた展望台から街を見下ろしていた。
こじんまりとした街が、山に囲まれた中でキラキラと光を放ち存在感を放っている。
「そうでしょう?ここは雷竜国では数少ない絶景ポイントですの。」
うーん、もう少し工夫したらもっと綺麗になりそうな気がするんだけど・・
山に囲まれた町・・
「あ、そうだ!雷竜国では熱いお湯は出ないのか?」
「出ますわよ?でも熱すぎてとても人間族には入れたものではありませんわよ?」
「もしかして・・火山・・火を吹く山もあったりするのか?」
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