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しおりを挟む「エリカ! よかった、元気だった?」
久しぶりに王太子妃補佐室へ向かうと、アルギッタが両手を広げて迎えてくれた。
「大丈夫よ、アルギッタ。心配してくれてありがとう」
「ひどい目に遭ったわね」
そう言われて思い出すのは、ベルンハルトに抱き潰されたあの日。思わず両手で頬を押さえて、熱くなった顔を隠す。
「だ、大丈夫! こちらこそ、仕事に穴をあけてしまってごめんなさい!」
「とんでもない、あなたが共有してくれた資料のお陰でずいぶん捗ったのよ」
「それはよかったわ」
アルギッタは、周囲をきょろきょろと見渡して、そっと顔を近付けてきた。
「それで……、あなたも既婚者ってことでいいのよね?」
「!」
そう、彼女はあのときあの場にいたのだ。
ベルンハルトが激怒した姿も、私を連れてあの場を立ち去ったのも目撃している。
「……、ハ、ハイ……」
消え入りそうな顔で答える私を見て、アルギッタは胸の前でぎゅうっと手を組んで目を閉じた。
「尊いわ……!」
「え、とうと……?」
「いいものを見せてもらったわ! ありがとうエリカ!」
「へ? は、い?」
(いいもの?)
よく分からないけれど、なぜだか感動した様子のアルギッタに若干身を引く。なにを指していいものと言っているのだろう。
一通り感動した様子の彼女は、はっと我に返るとまた顔を寄せてきた。
「私はベルタ室長から事情を聴いたの。でも、テッサには知られていないから気を付けて」
「気を付ける?」
「テッサったらね、あのときの補佐官の姿にすごく感動して、なんていうか……ますます拗らせているわよ」
「こ、拗らせ……?」
「補佐官へのアプローチを本格的にするつもりみたい」
それはいったいどういうことだろう。
「あの、そもそも、どうしてあの場に彼女が?」
「あなたの姿が見えないことを気にした補佐官に私が居場所を教えたらね、彼は血相を変えてここを飛び出したの。そのときずっと彼に絡んでいた彼女が、その後を追いかけたのよ」
補佐室を飛び出した彼の背中に向かって、テッサはずっと『彼女なら問題ない!』と、叫んでいたという。
(――あの書庫を教えてくれたのはテッサだわ……)
入室許可証を手渡してくれて、代理で行けばいいと教えてくれた。
「リーベルト、もう大丈夫なの?」
そこへ突然、妙に芝居がかった声を掛けられた。振り返れば、金色の髪を緩く巻いた可憐なテッサが、私を見て目を潤ませている。
「ストラスト女史」
「心配したのよ、もう大丈夫なの?」
(え、怖い。こんなふうに話したことなんてないのに)
薄いピンクのドレスに身を包んだ彼女は、白いレースのハンカチで目元を抑えた。
「ずっと謝りたかったの。私のせいであなたを危険な目に遭わせてしまって」
「いいえ、ストラスト女史のせいでは……」
「でも私が許可証を渡さなければ、あんな目に遭わなかったもの。本当にごめんなさい。怖かったでしょう?」
(うわぁ、これって……)
やられた、と感じた。
完全に疑いの目を向けられることを意識した振る舞いだ。周囲でこちらの様子を窺っている令嬢からも、「気にしていたなんて」、「優しいのね」などと声が上がっている。
「――気になさらないでください、ストラトス女史」
「まぁ! 優しいのね。どうか私のことはテッサと呼んで。ね、エリカ」
潤んだ瞳で小首を傾げる彼女に、にっこりと笑って見せる。
「ありがとうございます、テッサ。ヴィルツ補佐官に助けていただいたので、本当になにも問題ありませんから、お気になさらず」
ベルンハルトの名前を出した途端、テッサの表情が引きつった。
(なんか、なんていうか真っ黒じゃないの……!)
確証なんてないけれど、今回の件に彼女は絡んでいる。と、思う。
『ここに来たいって、その女が言ってるって……っ、誘われ、たんだよ……っ!』
あの騎士は、まるで誰かにそう言われたような言い方をしていたのに、なんの申し立てもなく、解雇を素直に受け入れたというのもなんだか不気味だ。
あの言い方なら、もっと私のせいにして抵抗してくるだろうと予想していたから。
もちろんベルンハルトはお咎めなしで、先日から職務に復帰している。
これ以上なにも証明できないし、する必要もなくあの件は収まった。
だというのに、このモヤモヤはなんだろう。
(ベルンハルトに執着する彼女が、私が抱きかかえられたのを見てそのまま黙っているとは思えないわ)
私と彼の関係をただの上司と部下としてしか知らない彼女が、あんなことをする意味は分からない。分からないけれど、間違いなく彼女は私を排除したいと思っている。
(でも私、泣き寝入りするタイプではないのよね)
「――なんだか、やる気が出てきました」
「え?」
他の令嬢たちに慰められながら自席へ戻ったテッサの後ろ姿を見つめて、ついそんなことを言った。
その言葉に、アルギッタが不思議そうな表情で私を見る。
「次こそは取られませんから!」
にっこりと笑って宣言する私に、意味を理解したらしいアルギッタは、声を上げて笑った。
*
私とベルンハルトの新婚生活は、もう少し秘密にして。
彼と堂々と夫婦だと言える日が来るまで、私は彼を誰にも奪われないように戦うだけだ。
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嫉妬深くて、エリカの事が大好きで溺愛してるベルンハルトが大好物です😂
これで完結なんてひどい😭💔
是非、続編を宜しくお願い致しますm(_ _)m
チャラ男が本気になるところがたまりません😆三話全部一気に読んでしまいました😁
ちゃんみんママ様、ご感想ありがとうございます!🙌🏻✨
楽しんでいただけて嬉しいです!
こちら、細々と続きを書く予定ですので、見かけたらぜひ覗いてみてくださいませ🍀✨
嫉妬深くて、エリカの事が大好きで溺愛してるベルンハルトが大好物です😂
これで完結なんてひどい😭💔
是非、続編を宜しくお願い致しますm(_ _)m
チャラ男が本気になるところがたまりません😆三話全部一気に読んでしまいました😁