エトランゼ・シュヴァル

hikumamikan

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ダレヤ先生の後始末。

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「意外と怪我人が少なくて良かったですね師匠」
「うん、消毒用と攻撃用に買った焼酎が余ったからな」
「後は宴会用ですね」
「それはそうなんだが、果物が余っちまった」
「それは何に使う気だったんですか?」
「これは貧血の回復用」
「そこまで考えてたんですね」
「ふらふらじゃ抱えて歩くのも難儀じゃろ。2・3日すれば野営して帰れるかも知れんしな」
「貧血なら私に下さい」
「腐るぞ」
「私のアイテムBOXなら大丈夫です」
「・・・まあ聞くまい。それじゃほれっ」
「これお金です」
「要らんわい」
「無理しないで下さい。あれだけの出費したんですから。それに冒険者譚の良いネタに成りましたし」
「・・・なら・・・貰っとくか」
弟子の時から思ってたけど、この先生余りお金は持ってるとは言い難い。
だから少し色を付けて渡した。

女性としてはあの紫色の果物には助かった。
貧血に効くとかそんな知識迄持ってた師匠に驚いている。
割りと即効性が有るのだ。
貧血に効くポーションなんて知らないしね。
今度この果物で作ってみようかな。
あっ、沢山は食べるなと言ってた。
一度私下しちゃたので、その意味をしっかり把握した。
ポーションにするには適切な量の管理がいるね。

あの事件以来師匠の弟子は増えた様だ。

────そして今競馬場────

「そうか今は隣町の冒険者と結婚してるのか。良かったな貰い手が有って」
「師匠酷い!。まあ紆余曲折有りまして二度目の夫です」
「此の世の者は良く死ぬ。取り分け冒険者はよく死ぬ」
「前の夫は生きてますよ」
「そっ、そうか」
「前の夫は今は隣国のテムノエヤ男爵位と成ってます」
「あのテムノエヤの・・・って、お前当事者か。そう言えばお前元エルブレス子爵の令嬢だったな。でも冒険者の妻とは大変だな」
「大丈夫だよー。おじちゃ、お父さんは強いよー」
「そうか~、そりゃ凄いな。・・・この子はお前さんの連れ子か」
「ううん、旦那の養子。私の子は上の男の子が今男爵の所で、下の女の子は小さいから今家でお留守番中」
「そうか。その顔を見れば今は幸せそうだな」
「勿論!。この人が旦那のお母さん」
「どうも嫁が昔の世話に成った様で」
「いやいや、教える事が何も無かったので、3日で終わってしもうたよ」
「いやあのオーク討伐では教わる事が多かったですよ」
「そう言われると少しは師匠としての面子も立ったかな?」


場所を変えてカフェテラスの様な所で、お茶とケーキを頂きながら話した。
「一家全員が高度の空間魔法持ちですか、そりゃ凄いですな。お前も空間魔法の達人だったな」
「いやあ旦那の空間魔法に比べたらねえ」
「馬鹿を言うな空間魔法を駆使して転移するとか殆どおらんわ」
「でも旦那とかブエナちゃんそしてお義母さんも、空間魔法に魔獣や動物を飼ってるのよ」
「・・・お前、空間魔法の容量自分で把握してるか?」
「宿屋の3部屋分かな」
「そんな訳無いだろう」
「・・・実はワシは亡くなったお前さんの母親を知ってるが、あの方は自身の空間魔法を隠しておられた」
「えっ、えっ初めて聞いたわ!」
「森で迷っておられた時に野営しながら生活魔法を教えた事がある。その時空間魔法と言うかあれはスキルだな」
「固有の魔法?」
「そうじゃ。あのお方の本名は遠野恭子さんとか言っておった。家名は伏せてキョーコと名乗るよう進めておいた。トオノなんて貴族はおらんからのう。多分かなり遠くの異国の方じゃろう。キョーコさんは特殊な空間魔法いわゆるスキルを持っておられた。時間が動かず風化や傷みの無い空間魔法じゃ。お前さんみたいにその空間を取り除いて魔物を狩ってたのにはビックリしたぞい」
パショットが使ってたやつだ。
「母は魔物の群から父を助けて見初められたと聞きました。残念な事に私が幼い頃に天に召されてしまいましたが」
「お前さんは自分の空間魔法を検証した方が良いぞ。多分もっと応用が効く筈じゃ」
「そうなんですか」
「お義母御、オトナシの空間魔法の検証を1度見て貰えんかの」
「そうですね。私も気には成ってましたし、キョーコと言うお母様の事も気には成ります」
後で聞いた話だとお義母さんは、オトナシって珍しい名前がこの時何故なのか解ったそうだ。
めぞんねって言ってた?。
うちの子がパショット(パッシングショット)であ嫁さんがオトナシって、運命以外の何ものでも無いとも言ってた?。
私にはわからないけど。


色々な話をして師匠とは別れた。
流石に母の話は私にとって有意義なものだった。
別れ際に私があの果物から作ったポーションを渡したら。
「お前は本当に師匠殺しだのう。ワシが何年掛かっても赤黒く変色するのを防げ無かったのに・・・」
「これレシピです」
「馬鹿者!、そんな物を軽く人に渡すな」
「いいえあの時師匠がこの果物の特性を教えてくれなかったら、このポーションは出来ていません」
「あの果物はワシが魔物に怪我を負わされて、逃げる途中で食べて気が付いたのじゃよ。大分出血したからのう」
師匠は冒険者としても一流ですからね。
その時義母が「プルーン?」、って呟いたのを覚えている。
因みに果物の名前はプルプだ。


あの優勝した黒鹿毛の若駒は老舗の商人さんが購入したと聞いた。
そして私はお義母さんにスキルであったストレージの使い方を教わった。
草原をイメージしたらむっちゃ広い空間に成った。
そしてそれはティムに使えると夫に教わった。
驚いたのは、草原・森・山・海・湖と色んな部屋が出来る事だった。
更に「もしかして」。と、お義母さんはストアーって詠唱してみてと言った。
「・・・ストアー」
意味が解らないけど言ってみた。
!!・・・何だろうこれ?。
「・・・え~と、何か変な景色が出て来ましたが。もしかしてお店ですか?」
「そう見える商品を指で押さえて交換って言ってみて」
指で押さえたらズブリと刺さってビックリしたが、適度な所で止めて交換と言ったら、何か数字が少し減って行き商品が空間に出て、ポトリと落ちた。
何か透明で円柱形で背の低い、両掌でくるりと掴める容器に何かで包まれた、楕円形の物が入っている。
お義母さんが指で私の持っていた容器のリボンの様な物を、ペリペリと剥がしていく。
接着されてるのか?。
くるりと周りを全て取ってから蓋を開けた義母は中身を一つ取り、包装を解いてから私の口の中に入れた。
「あま~い。美味しい。何かカリカリしたものが出て来て香ばしい」
「美味しいでしょう」
その日お義母さんは、私の母は異世界人で有ることそして、このスキルを多分母は知らずに亡くなった事、そしてそのスキルを私は継承してる事を教えてくれた。
その後お義母さんはある漫画(私は初めてでは無く、夫が時折見てたので知ってるし、借りても読んでたけど字が読めないんだよね)を取り出して、私の母の名前がヒロインと同じ音で有る事、その家名がオトナシで有る事を教えてくれた。
私の名前の由来を初めて知ったのは感慨深い。

余談だと言ってお義母さんは、夫の名前は向こうの世界の有名な馬名を捩った事と、その馬が有名なレースで優勝した時の鞍上が、オトナシの家名な事も教えてくれた。
だからお義母さんは本当に運命を感じているらしい。

私は実は初めて彼に会った時に身体を嫌らしい目で見てた奴だと認識してる。
まあショートパンツに胸の開いた服を来てれば殆どの男は見てくるんだけどね。
彼も御多分に漏れずと感じた。


だけどね、ブエナちゃんの事を知ってからは、そのなんと言うか・・・本当一筋に惚れちゃった訳で。
父の領地の借金が無ければ・・・あっ、結果良かったのかな。
連れ子もなついているし、何より新しい家族が優しい。
テムノエヤ男爵の所にいる息子にも年に1回は皆で会いに行けるしね。
前夫も普通に優しい人だったからね。


なんだかんだ言っても幸せだあー。
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