エトランゼ・シュヴァル

hikumamikan

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大戦と・・・凍る都。

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ノーザンとボールドリックの国境付近でややボールドリック側の平地。


「流石に50万の兵は凄いなあ」
「あの20万の魔法兵を叩きたいけど回りが邪魔だねえ」
「母さんそりゃそうだろ。魔法兵を守りながら戦うに決まってるよ」
「まあねえ」
「昨日はオトナシとしっぽりやったかい」
「母さんここで言う事それ」
「大事だろ」
「まあ今日死ぬかも知れないからあれだ・・・朝まで求め有ったよ」
「うちの旦那なんか一回だけだよ」
「いやいやもうやめよう気が萎えるよ」
「ふふふ、修業が足りんな」
「ちゃうやろ」

「物理はあいつ(下の弟)とオトナシトと獣魔に任す」
「魔法はあたいとアヤカゼにあんたと娘とシロかな」
「ブエナは獣魔の指揮で後方待機だ」
「これ、負けたら娘の一族とあたいの夫やあんたの子供達の命も無いと思いな」
「ああ、解ってる。もとより死ぬ気だ」
「そうか・・・国許の皆を死なせたく無いもんねえ。・・・さあ行くよ!!」


「はあはあ」
「ぜーぜー」
「ふーふう~」
「結構削ったんだけどな」
『ふ~う、私も年老いたもんだねえ。これくらいで息が切れるとはね』
「いやアヤカゼは私達より魔力使ってるから」
「しかし母さんとアヤカゼの攻撃をあそこまで防ぐとは。手練れを揃えてるなあ。」
「いやいや、パショトとブエナにシロの魔法もかなり強力なんだけどね。あの数の人数での結界と成ると強いわね」
「結界の間を縫って攻撃して来た奴だけ倒したって感じだね」
「物理の方も疲れが見えるね。オトナシに加勢に行って来るよ」

『息子は嫁と死ぬ気だな』
「あの子は本当にオトナシが好きだからね。オトナシもあの子の為に死ぬ気みたいだし」
『じゃあ涼香の旦那には悪いけど、私と一緒に逝ってくれるかい』
「あいよ、ゴールまで襲歩だアヤ!!」
『ああ、オークスを思い出すよ涼香』
「何か私達風に乗ってるねアヤ」
『久し振りに涼香を乗せたね』
「裸馬で乗ったら失格だけどな」


「加勢に来たぞ」
「あなた!?」
「死ぬ時は一緒だオトナシ」
「嬉しい」
「「よっしゃ、夫婦花散らすぜい」」


『ブエナ悪い、ご主人様の為に逝くから』
「シロ・・・」

シロが敵に向かって飛び立つ。
もう余り魔力は残っていない。


「パショトあれ何!?」
数千いや、万はいると思われる馬の群れが左右からボールドリック軍に突っ込んで来る。
前が倒されても乗り越えて次が突っ込んで来る。
これにはボールドリック軍も動揺した。
思わず魔法兵の結界が崩れかけた処へ、シロが氷結魔法を放った。

一部の兵と兵達の足下が凍り動きが鈍る。
そこへ更に馬達が突っ込んで行った。
俺達は同士討ちをしないように、魔法と斬撃を放つ。
そこへアヤカゼと母さんが突撃して来た。
後方からブエナ達の魔法も飛んでくる。

「「「「「結界が崩れた!」」」」」
ここぞとばかり残った魔力と体力で、魔法兵の中に突入して俺達は力の限り大暴れした。

そこへ国境沿いで監視していたノーザンの部隊が突っ込んで来た。
数では圧倒的に少ないノーザン兵だが、この強襲は効いた。

50万ものボールドリック軍が撤退し始めたのだ。
正直俺達は皆限界に来ていた。
「「「「「助かったのかな」」」」」
『沢山死んだな・・・』
アヤカゼが周りを見ている。
それは数千の馬達の死骸だ。
おそらくアヤカゼの血縁だろう。
「私達の命の恩人・・・いや恩馬ね」
『私より若いのに先に逝きおって』


「何あれ?」
ノーザン側の空から真っ黒な一団が飛んでくる。
それはカラスの一団で、私達の上空に来ると周りの馬や兵、ありとあらゆる生き物に治癒魔法が降り注いだ。
倒れていたシロも少し動いて空を見上げている。
「ははは、我が娘は優秀だな」
「もう戦闘力も無いのラモーヌったら」


何とか歩ける敵兵は逃げたが、放ったらかしだ。
生きてるが動けないか、動こうとしない敵兵は捕虜に成った。
馬も1/3が立ち上がって帰って行った。
『ラモーヌには感謝だな』

俺達はノーザン側の砦来て休んでいる。
「お父さんシロは」
「んっ、戻っていないのか?」
『あやつ!・・・』
「アヤカゼ何か分かるの?」
「母さんアヤカゼは何か知ってるの」
『パショト、シロはボールドリックの首都に向かっている』
「えっ、シロもそんなに魔力残って無いよね」
「ブエナ、ランクルは動けるか」
ランクルも牙猫もダイナも最後は戦ってたからな。
「大丈夫みたい」
ブエナにランクルを出して貰う。

「ランクル、シロの後を追えるか」
ランクルはコクりと頷いた。
「皆すまない、シロを探して来る」


あいつボールドリックの王宮を潰す気だ。
微かなシロの魔力を追うと夜に首都が見えて来た。
「ランクル、シロの魔力が消えた。急いで」

首都は王宮を中心に殆どが氷で埋め尽くされていた。
おそらく総裁を始め一族達も死滅しているだろう。
昔の王宮をそのまま総裁一族が使っていた。

氷結された地を追って行くと、白く煌めく大きな翼を広げた巨体が見える。
降りてシロの生死を確かめた俺は、送還ではなく収納の言葉を口にした。
「最期までご苦労様相棒」



程なくしてボールドリック連邦は分裂して、ボールドリック国そのものが消滅した。
独裁者がいなくなると脆かった。


この戦いで俺達の身内の犠牲は、おれの召喚獣のシロとアヤカゼの何代目かの子孫約800頭だった。
あの馬達には本当に感謝している。
あの戦地跡には毎年花束を添えて、シロや馬達の冥福を祈る為に出掛けている。

歴史には残らないかも知れないが、あの戦いの功労者は間違いなくアヤカゼの子孫だろう。
あれがなければ俺達は間違いなく死んでいた。
今はその子孫は、アヤカゼの力を受け継いではいない普通の馬だが、サラブレッドの血はしっかり残っていて、速さでは群を抜いている。


それにしても母とアヤカゼは元気だ。
何せ今も現役の冒険者なのだから。


「おばあちゃん何それ?」
「これかい、アヤカゼとちょっとあっちの山に、散歩に行ったらワイバーンが向かって来たから、風刃で打ち緒としてやったのさ」

            ❬完❭
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