聖女はちきゅうさん。

hikumamikan

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五 鉄鉱石を探すのが面倒臭いです。

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 わっはは、長ドス10口作ってやったわ。
 本・振りとか数え方が有るが、私は武士では無いので口と数えた。

 武器屋から壊れた剣を10本安く買って、更に砂鉄を川で掬い集めて、インベントリー内で作成した。

 剣は1本銀貨3枚だった。
 これは武器屋が冒険者から中古として下取りした為に高い。
 金の無い冒険者から下取りする良心的な武器屋だった為で有る。
 良いのかと何度も聞かれたが、良いのだと小金貨3枚を渡してインベントリーに仕舞った。
 色々な地金を溶かして生成するから、鋳造品は下取り価格に反映されるらしい。
 鍛冶屋はある程度の還元剤を炉に入れるが、どうしても不純物がこの世界の炉では混ざってしまう。
 だから尚更鋳造品の剣は質が悪い。


 普通なら高い鉄の買い物だが、私が自ら鉄鉱石を買えるわけでも、ましてや産出できるわけでも無いので、この方が断然良い。

 10本の内1本を中古剣を買った武器屋に買い取って貰ったら。
「なんだこれは」
「ダメ?」
「いや、あんた鍛冶職なのか」
「違うよ」
「まてまて、こんな刀はこの国では打つ奴は居ないぞ」
「う~ん、錬金術に近いかな」
「馬鹿な事を言うな。錬金術師がいたとしてもこの品質は無理だ」
「えっ、そうなの」
「・・・・・・先ずはだな、錬金術師とは言えこの刀匠の秘伝は教えて貰えん。知識無しで錬金術師でも刀は作れん。刀匠は此の地から北北東の海洋に浮かぶ島国の者だ。その刀匠達から秘伝を伝えられた者は、此の国にも三人しか居ない。もちろん錬金術師にそれを知る者はおらん。秘伝を知ってるとはあんた何者だ」
「あっ・・・あ~」
「まあ良い。秘伝は魔法契約しなけりゃ弟子には教えんからな。そしてそれは鍛冶の神が承認する処に成る。って事はお嬢ちゃんはそれなりの鍛冶師って事だな。・・・買い取ろう」
「あっ有り難う」
「ほれ、中金貨15枚だ」
「そんなに」
「何を言ってる。本来ならもっと高いと思うぞ。ただこの町にはこの刀を見極められる者がいない。すまんがこれで頼む」
「有り難う助かるよ。これからの旅でいくらいるか分かんないからね」
「町を出るのか?」
「うん、色々な所を見てみたい」
「そっか・・・これ持っていくか」
「何これ?」
「このホックを直ぐに外せる様にした、挟み込み式の寝袋だ。この襞で寒い空気を入れない様にした物だが、未だ試験段階でな、使って広めて貰えると助かる」
「成る程魔物が来た時にホック外したら直ぐ動けるもんね」
「まあそう言う事だ」
「貰っちゃうね、有り難う」
「おう、またこの町に寄ってくれよな」
「わかった。それじゃあねおじさん」
「あいよ、達者でな」


 私は1本刀土俵入り・・・じゃないけど、腰に長ドス携えて5日後に町を出た。
 5日間はこの国の情報収集やら食糧の買いだめやら、魔法の訓練やらで過ごした。



 失敗した。
・・・・・・。
「姐御置いて行くなんて酷い」
 最近このフォンシーヌに纏わりつかれて困ってんだよな。
 まさか旅に付いて来るとは。
2回助けてから懐かれちまった。
「あんたが纏わり付くから町を出たんだよ」
「そんな酷い」
「酷いのはあんたさ、もうねわたしゃ姐御なんて呼ばれるのは真平御免の助なんだよ」
「・・・真平御免の助?」
「深く考えるな馬鹿に成るよ」


「でやー」ゴキンッ。
「とりゃー」バキッ。
「うりゃあー」ドゴーン。
「・・・・・・」
「何だよ・・・」
「姐御、何でショートソード使わないの」
「錆びるし、欠けるし、勿体無いだろ。殴り殺せるし」
「・・・・・・なんで持ってるの?」
「格好いいからに決まってんだろ」


この国でも南方の海側、つまり端っこで辺境の町の近くは魔物が多い。
だから街道筋なのにボブゴブリン・オーク・ブラッドボアなんかが平気で出没する。

でも面倒臭いから殴り倒す。


「刀等と言うものは伊勢守でも現れたら使うかもね」
「イセノカミ・・・神と対戦するのですか!」
「位の名前よ、称号みたいなものね」
「イセとは何ですか?」
「三重県の紀伊半島の沿岸北部で、伊勢湾の入り口に有る日本の聖地よ」
「せっ聖地・・・聖地の名を冠する魔物とはいったい」
「魔物じゃ無いから、武術家だから」
「えっ、武術家?。騎士様ですか」
「いや放浪の剣術家ね」
「私はそのような名前を聞いたことが有りません」
「四百うん十年前の人だから、もう亡くなっているわ」
「称号と言う事は本名が有るのですよね」
「うん、上泉信綱(カミイズミノブツナ)よ」


ゴゴゴ~「今誰か、我を召喚(よ)んだか」
「へっ?」
「いっ・・・」

「お主がこの上泉信綱伊勢守と対戦をしたい相手か?」
「いやあ、呼んだつもりは無いけどね。地面から生えてきて筍みたいだわ」
「筍だと・・・食いたい物だ」
ガクッ。
「そっちかよ。そこは怒り狂って、私に斬りかかるのがパターンだろ」
「我は武者修行を繰り返し、ある時病で野に倒れた。その時に神により精霊として生を賜った。だから剣の道を欲する者の前に希に顕現するのだ。少し模擬戦でもするかそこな乙女よ」
「いやあ乙女とか照れ臭いなあ。でも胸を貸して貰えるなら嬉しいね」
「わかった。では参れ」


カキィーン、ガッガッ、キンッ。
ガッガッガキィーン。
カッカッカッ、ザッザッサッサッ、キン。
ヒュッ、ヒョッ、ヒュンッ、キィン。
シュッ、ビュッ、ヒョヲ。
「はあはあはあ」
「流石に人では疲れるか」
「なっなんのこれしき」
「我は疲れぬでな不公平であろう。少し休むか」
「いや、降参します。再度やっても一太刀も打ち込めそうも無いですね。流石上泉信綱様です」
「しかしのう、そのスキルとか言うやつか、あの短い手合わせで習得するとか、呆れてものが言えんわい。どれ最後に一手合わせ頼む。何、新陰流の秘伝をちょいとな」
そう言った上泉信綱の手には二振りの模擬戦用の刀が現れた。


「はあはあ、ぜいぜい」
「ほう・・・会得しおったか。凄いのうお主」
「0点からの瞬足と強打・・・。普通はある程度の距離を介さないと至らないのですが」
「まあ、いかに最短で打ち込めるか、いかに最短で斬れるかだな。こんな早い免許皆伝は初めてじゃが」
そう言って巻物をくれた。

「・・・おっさん、白紙やないか」
「だって書くの面倒臭い。もう会得しとるからええやろ」
そう言って精霊は消えた。
そして手に有った模擬戦用の刀も消えた。

「くそっ・・・つええ私は井の中の蛙かあ」
「それを言ったら私はミミズにも成りません」


ヤクザ剣法は全く通じなかった。
途中時代劇で見た、紋次郎張りの剣法も試みたが軽くあしらわれた。
最後に信綱にボソリと言われた事は、相手がナイフなら小刀を、相手がショートソードならロングソードを、武器はリーチが長い方が有利だが、それを補うのも武術。

最後の秘伝伝授はその極意と思われる。


────────────────────

気付いてませんでしたが此方にもお気に入り有り難う御座います。
一寸夏バテ気味ですね。
この夏は特に湿度が高かったのか夜寝付けなくて夏風邪
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