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九 ナツコの酒米。
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商人と言うか生産者の方がナツコって名前だった。
ギルド職員がウルチで生産者がナツコ・・・嘘みたいな話だ。
前世で好きな漫画家さんで大出秋さんの作品に、ナツコの焼酎って有ったなあ。
どぶろく出来たら飲ませて貰おう。
お米の生産地に行く間、ウルチさんから酒米の話を聞いた。
「もちろん精米して食べたりするよ。モチモチして長米より腹持ちが良いかな。短いけど粒は大きいからね」
「お酒の味はどうですか?」
「未だ作り出して十年だけど安定して無いね。まあ歴史が浅いからワインの様にはいかない。特にブドウの様に糖分が無いから、麹菌と言うのを付けてから発酵させるのが難しいらしいよ。だから年毎に味がまちまちだね。酷い時は全滅って年も有った」
「ああ、雑菌が入って腐ったんですね」
「良く知ってるね」
「お酒は仕込みの量と温度管理が複雑ですから」
「ほう。・・・どういう風にかな」
「本職には程遠い知識ですけど、先ずは精米で三割は削りますよね」
「へっ?・・・。それって量減るじゃん」
「お米って表面が油分とかお酒の味を損なう物が着いてますから、良いお酒を造りたいなら半分は削りますよ」
「そっそうなの・・・」
「必要なのは真ん中辺のでんぷん質なので」
「ほっ他には・・・」
「変質・・・主に腐食ですけど、いっぺんに全部仕込むと温度差とか色々なムラが生じて、雑菌が入り易く成りますから、三回くらいに分けて仕込ます」
「ほっ他には」
「麹室は常に30度ちょいを保たないと、麹菌が育ちませんし、時々素早く混ぜてやらないと駄目です。素早くと言うのは温度を下げてしまうと逆に麹菌が駄目に成るからです」
「ほうほうそれで」
「私は素人なのでその辺くらいですね」
「素人の割によく知ってるね」
「酒蔵見学に行った事が・・・あっ、余所の遠くの国なんですけどね」
「東の海洋に浮かぶ島国の事か?」
「まっまあそうです」
「実はあの国の濁り酒をヒントに試行錯誤で造っているんだよ。偶々お米が自生してる湿地帯が有ってね。それを量を増やすために栽培してたんだよ。まあ飼料だけどね」
「もしかして飼料にするのはもう少し小さめのお米ですか」
「良く解ったね。僕らより詳しのと違う?」
「あはは、実は今回の依頼を受けたのは、そのお米が目当てなんですけど」
「ああ、言えば売って貰えるよ」
「あの~精米して貰えますか?」
「酒米を精米した後なら大丈夫だと思う」
「やったあ~」
「飼料をそんなに喜ぶ人は初めてだなあ」
「ふっふふ、お米の美味しさを知ったらスッ転びますよ~」
「そっそう・・・?」
今の反応だと白米を知らないな。
そう言えば長米も余り精米して無くて、一寸ボソボソしてたなあ。
!?。
「盗賊みたいですね」
「何で空の荷馬車を狙うんだ?」
「へっへへ、そこの嬢ちゃん二人此方へ寄越しなギルドのお方よう」
「馬鹿を言うな」
「あ~面倒だね。フォンシーヌ殺っちゃおう」
「あいよ姐御」
「盗賊なんて働くから悪いんだよ。しかもこんなに純真無垢な美少女二人を慰み物にしようなんて」
「あっ姐御。それは少し恥ずい」
「なんだあばずれか」
「へっとんだ売女(ばいた)かよ」
ブチッ!。
私が切れた瞬間に盗賊3人の首筋から血が吹き出した。
フォンシーヌも既に二人目を叩き斬っている。
腕を上げてるねえ。
「4人目」
ブシュー。
「うわっ」
「わわっ」
ドシュッ。
あっちも3人目。
私は逃げ出す盗賊を容赦無く背中に一突き。
フォンシーヌは剣を投げて最後の一人を刺し殺した。
私達は街道脇の茂みに盗賊を打ち捨てた。
所持品には身元を特定するものは何一つ無いし、哀れな最期だね盗賊と言うものは。
これは見せしめの為に埋めない。
まさに野晒し。
髑髏。
そして夜中に藪の奥に引き摺られて獣の餌に成る。
時たま藪や森の奥から臭うが野良猫等の腐敗臭と変わらない。
私は前世で孤独死の現場に直面した事がある。
マッポは私の敵みたいなモノだが、あれは本当に御苦労な事だと痛感した。
普通車両(いわゆるパトカー)では無いから何かと思った。
ロングワゴンの警察車両は一般的では無い。
しかもマッポが防護服を着ている。
ん~・・・コロちゃんかなと思ったが、腐敗臭が凄い。
いっぺんに数十頭の猫でも死んでるかの様な凄さだった。
マンションの一室を捜索していたので、孤独死と解ったのだが、3月の初めはコロちゃんが流行った直後で、コロちゃん死では無い。
腐敗するにはその数ヶ月前からに成る。
何せ冬に死んだのだから。
死体が残れば役人が来て土に埋めるだろう。
そう言う役人やギルドの職員には土魔法使いや火魔法使いが多いからね。
何故なら魔物でも何でも火葬するか土に埋めないと疫病の蔓延に繋がるので。
だからこの世界に来てから青っぽい火の魂は何回か見ている。
やたらと野盗が多い世界でもある。
それだけ貧しいし、交通手段が馬車でも有るからね。
護衛は必須条件だ。
人身売買は原則禁止だが奉公とかの名目で存在する。
奴隷の様な奉公もたまにある。
遊郭もあるので身売りも存在する。
身売り何て事実上の性奴隷だ。
本当にそれだけ貧しい世界。
後は貴族や豪商等の養子縁組か妾奉公。
酷いものだとそのまま慰み物。
そんな世界でもある。
子供の扱いも日本の江戸時代よりかなり酷いものだと思う。
余り皆で守って育てる文化が無い気がする。
もちろん孤児院は有るのだが。
一寸少なくてホームレスが多いかな。
スリやひったくりは無論、日中の町中でも強盗が起きる。
基本日が暮れると人気は無い。
有っても集団で行動する。
私のように聖女認定される者は国から貴族扱いか貴賓扱いされるし、何より教会が保護対象にして囲い込む。
かなり裕福な生活が送れるのだがね。
何せ私は前世が893組長なのでそれは畏れ多いし、私自身が自由人で有りたい。
前世で最愛の夫と死別したから、愛さなくて良い男遊びを神に所望したけど却下された。
前世の夫が忘れられそうも無いから愛は暫く要らない。
本当にあの人が好きで好きで忘れられない。
何せ私を本気で愛してくれたのは彼だけ。
私は前世で人を殺した事が一度有る。
襲ってきた相手を正当防衛で地面に投げつけたら首の骨が折れた。
殺るか殺られるかの状況で相手に受け身を与えなかったが、正当防衛と判断され罪には問われなかった。
夫は堅気の人なので私は暫く距離を置いたが、そんな私を彼は子供のように頭を包み込む様に撫でて慰めてくれ、その夜は目一杯の愛をくれた。
心の癒しを求めたと言う方が正しい。
形は色々有るだろうが、朝までお互いに身体を求め有ったあの日を私は忘れない。
私はきっと歪な存在であろう。
見た目は少女。
セーラー服の冒険者。
その実態はおばさんのヤクザで、腕っぷしが強く、セーラー服のスカートをヒラヒラさして、おじさん冒険者を手玉に取り、本当は男遊びをしたい変態コスプレイヤー。
ああ、本当に魅了魔法を貰わなくて良かった。
ギルド職員がウルチで生産者がナツコ・・・嘘みたいな話だ。
前世で好きな漫画家さんで大出秋さんの作品に、ナツコの焼酎って有ったなあ。
どぶろく出来たら飲ませて貰おう。
お米の生産地に行く間、ウルチさんから酒米の話を聞いた。
「もちろん精米して食べたりするよ。モチモチして長米より腹持ちが良いかな。短いけど粒は大きいからね」
「お酒の味はどうですか?」
「未だ作り出して十年だけど安定して無いね。まあ歴史が浅いからワインの様にはいかない。特にブドウの様に糖分が無いから、麹菌と言うのを付けてから発酵させるのが難しいらしいよ。だから年毎に味がまちまちだね。酷い時は全滅って年も有った」
「ああ、雑菌が入って腐ったんですね」
「良く知ってるね」
「お酒は仕込みの量と温度管理が複雑ですから」
「ほう。・・・どういう風にかな」
「本職には程遠い知識ですけど、先ずは精米で三割は削りますよね」
「へっ?・・・。それって量減るじゃん」
「お米って表面が油分とかお酒の味を損なう物が着いてますから、良いお酒を造りたいなら半分は削りますよ」
「そっそうなの・・・」
「必要なのは真ん中辺のでんぷん質なので」
「ほっ他には・・・」
「変質・・・主に腐食ですけど、いっぺんに全部仕込むと温度差とか色々なムラが生じて、雑菌が入り易く成りますから、三回くらいに分けて仕込ます」
「ほっ他には」
「麹室は常に30度ちょいを保たないと、麹菌が育ちませんし、時々素早く混ぜてやらないと駄目です。素早くと言うのは温度を下げてしまうと逆に麹菌が駄目に成るからです」
「ほうほうそれで」
「私は素人なのでその辺くらいですね」
「素人の割によく知ってるね」
「酒蔵見学に行った事が・・・あっ、余所の遠くの国なんですけどね」
「東の海洋に浮かぶ島国の事か?」
「まっまあそうです」
「実はあの国の濁り酒をヒントに試行錯誤で造っているんだよ。偶々お米が自生してる湿地帯が有ってね。それを量を増やすために栽培してたんだよ。まあ飼料だけどね」
「もしかして飼料にするのはもう少し小さめのお米ですか」
「良く解ったね。僕らより詳しのと違う?」
「あはは、実は今回の依頼を受けたのは、そのお米が目当てなんですけど」
「ああ、言えば売って貰えるよ」
「あの~精米して貰えますか?」
「酒米を精米した後なら大丈夫だと思う」
「やったあ~」
「飼料をそんなに喜ぶ人は初めてだなあ」
「ふっふふ、お米の美味しさを知ったらスッ転びますよ~」
「そっそう・・・?」
今の反応だと白米を知らないな。
そう言えば長米も余り精米して無くて、一寸ボソボソしてたなあ。
!?。
「盗賊みたいですね」
「何で空の荷馬車を狙うんだ?」
「へっへへ、そこの嬢ちゃん二人此方へ寄越しなギルドのお方よう」
「馬鹿を言うな」
「あ~面倒だね。フォンシーヌ殺っちゃおう」
「あいよ姐御」
「盗賊なんて働くから悪いんだよ。しかもこんなに純真無垢な美少女二人を慰み物にしようなんて」
「あっ姐御。それは少し恥ずい」
「なんだあばずれか」
「へっとんだ売女(ばいた)かよ」
ブチッ!。
私が切れた瞬間に盗賊3人の首筋から血が吹き出した。
フォンシーヌも既に二人目を叩き斬っている。
腕を上げてるねえ。
「4人目」
ブシュー。
「うわっ」
「わわっ」
ドシュッ。
あっちも3人目。
私は逃げ出す盗賊を容赦無く背中に一突き。
フォンシーヌは剣を投げて最後の一人を刺し殺した。
私達は街道脇の茂みに盗賊を打ち捨てた。
所持品には身元を特定するものは何一つ無いし、哀れな最期だね盗賊と言うものは。
これは見せしめの為に埋めない。
まさに野晒し。
髑髏。
そして夜中に藪の奥に引き摺られて獣の餌に成る。
時たま藪や森の奥から臭うが野良猫等の腐敗臭と変わらない。
私は前世で孤独死の現場に直面した事がある。
マッポは私の敵みたいなモノだが、あれは本当に御苦労な事だと痛感した。
普通車両(いわゆるパトカー)では無いから何かと思った。
ロングワゴンの警察車両は一般的では無い。
しかもマッポが防護服を着ている。
ん~・・・コロちゃんかなと思ったが、腐敗臭が凄い。
いっぺんに数十頭の猫でも死んでるかの様な凄さだった。
マンションの一室を捜索していたので、孤独死と解ったのだが、3月の初めはコロちゃんが流行った直後で、コロちゃん死では無い。
腐敗するにはその数ヶ月前からに成る。
何せ冬に死んだのだから。
死体が残れば役人が来て土に埋めるだろう。
そう言う役人やギルドの職員には土魔法使いや火魔法使いが多いからね。
何故なら魔物でも何でも火葬するか土に埋めないと疫病の蔓延に繋がるので。
だからこの世界に来てから青っぽい火の魂は何回か見ている。
やたらと野盗が多い世界でもある。
それだけ貧しいし、交通手段が馬車でも有るからね。
護衛は必須条件だ。
人身売買は原則禁止だが奉公とかの名目で存在する。
奴隷の様な奉公もたまにある。
遊郭もあるので身売りも存在する。
身売り何て事実上の性奴隷だ。
本当にそれだけ貧しい世界。
後は貴族や豪商等の養子縁組か妾奉公。
酷いものだとそのまま慰み物。
そんな世界でもある。
子供の扱いも日本の江戸時代よりかなり酷いものだと思う。
余り皆で守って育てる文化が無い気がする。
もちろん孤児院は有るのだが。
一寸少なくてホームレスが多いかな。
スリやひったくりは無論、日中の町中でも強盗が起きる。
基本日が暮れると人気は無い。
有っても集団で行動する。
私のように聖女認定される者は国から貴族扱いか貴賓扱いされるし、何より教会が保護対象にして囲い込む。
かなり裕福な生活が送れるのだがね。
何せ私は前世が893組長なのでそれは畏れ多いし、私自身が自由人で有りたい。
前世で最愛の夫と死別したから、愛さなくて良い男遊びを神に所望したけど却下された。
前世の夫が忘れられそうも無いから愛は暫く要らない。
本当にあの人が好きで好きで忘れられない。
何せ私を本気で愛してくれたのは彼だけ。
私は前世で人を殺した事が一度有る。
襲ってきた相手を正当防衛で地面に投げつけたら首の骨が折れた。
殺るか殺られるかの状況で相手に受け身を与えなかったが、正当防衛と判断され罪には問われなかった。
夫は堅気の人なので私は暫く距離を置いたが、そんな私を彼は子供のように頭を包み込む様に撫でて慰めてくれ、その夜は目一杯の愛をくれた。
心の癒しを求めたと言う方が正しい。
形は色々有るだろうが、朝までお互いに身体を求め有ったあの日を私は忘れない。
私はきっと歪な存在であろう。
見た目は少女。
セーラー服の冒険者。
その実態はおばさんのヤクザで、腕っぷしが強く、セーラー服のスカートをヒラヒラさして、おじさん冒険者を手玉に取り、本当は男遊びをしたい変態コスプレイヤー。
ああ、本当に魅了魔法を貰わなくて良かった。
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