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十二 蒸籠(せいろ)
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冬は暖炉の上で湯鍋(薬缶みたいな物)とか蒸籠をおいて、里芋みたいな物を蒸したりお茶(スギナみたいに色んなハーブを混ぜて各家庭でお茶にする)を楽しむ。
だから普通に蒸籠は有る。
今で言えば加湿器の役目もかな。
湿度が上がると部屋も温いしね。
先人の知恵。
だけど私が工房に注文したのは、竈と一体に成った大型の蒸籠だ。
金貨3枚もした。
特注なので仕方無い。
鋳型からなのでこれでも格安なのだ。
でも使い方を工房の親方達に説明する事を含んだ値段。
これはこの後に需要が発生するかしないかの重要な課題になる。
餅米を蒸すと説明しても意味を成さなかった。
当たり前だ餅米を知らないのだから。
私も餅米を蒸すのは初めてだ。
ただ炊くよりは餅にしやすい。
前日に水に浸けておいた(ストレージ内で)。
実はストレージ内でやろうと思って、少しの量で試したが失敗したのだ。
当たり前だ杵と臼を使わずやろうとしたからね。
なので本日が異世界初実践となる。
蒸し器は金属の鍋を使った。
竹籠みたいなのも有ったけど、こっちの方が壊れにくい。
ただ此方の穴開き鍋は鋳物で重たい。
蒸すこと四半時(30分)かな。
布にくるまれた餅米を、合成の秘術で作った杵と臼でついて見せた。
失敗して気付いて作ったよ。
木材と石は町で買った。
良かったよ何とか餅には成った。
変な処で腕っぷしが役に立つものだ。
砂糖がちょっと高いけど、砂糖醤油を用意してつきたての餅を少し炙って砂糖醤油に浸けて出す。
「どう親方」
「姉御これうまいよー」
「ありがとね」
「うめえなあ~、餅ってのか、初めてだこんな食い物。家畜の餌がこんなにうめえとはな」
うん好評好評。
「生産量が少ないんだよね餅米。しかも普通の米と一緒にされてたし」
次にお餅の味噌田楽を出してみる。
そして味噌の焼きおにぎりも出した。
「なんだこの味噌焼きの握り飯ってのは、さっきの餅と全然違うぞ」
「同じお米でも種類が違うのよ。同じ飼料として混ぜられてたけどね。どちらも携帯食として便利よ。特に餅は堅パンと同じぐらい日持ちするよ」
「成る程、屋台飯にも良いかもな。ありがとな嬢ちゃん。この蒸籠はぼちぼち生産してみるよ」
「売れると良いね」
「だな」
この世界屋台用に載せる竈は有る。
回りを石綿みたいなので囲んで使っている。
餅米とうるち米の生産量次第だけどね。
まあ蒸し芋にも使えるしね。
里芋の味噌田楽でも旨そうだし。
薩摩芋がこの世界に有ればいいのになあ~。
合成の秘術で作ってみるか。
・・・もしかして。
作れたよね、絶対に・・・ジャポニカ米。
結果作れた、薩摩芋が・・・本当に。
何だったんだ・・・まあ良いか。
良くない気がする。
「どうした?」
「あっ・・・何でも無いです」
「そうか、何か何処かへ魂が翔んでたみたいだが」
「あはは。大丈夫です。妄想してたから」
「お前さんの妄想は興味有るな」
「その内お芋さんの屋台が大繁盛すると思いますよ」
私は含みを持たせてニヤリと笑った。
工房で杵や臼そして蒸し器を竈ごとストレージにしまい込んだ。
親方は驚いていたが何も言わなかった。
きっと良い人だと思う。
まだ陽は有ったが宿に戻り夕飯迄に私は、薩摩芋の種芋作りに精を出す。
無論ストレージ内でだ。
フォンシーヌは庭で素振りをしていた。
前より明らかに剣筋が鋭い。
強く成ってるなあ。
「ねえフォンシーヌ、余り作物が育たない所とか知ってる?」
「あ~・・・それなら東の海辺の村に有りましたね。この国では無いですけど」
「それは遠いの?」
「いえ真っ直ぐ東に行けば5日で着きますよ。国境が飛び地に成ってまして、検問すら無い所です」
「へえ飛び地なんだ」
「この国がそこを統治するのを拒んで、仕方無く隣接するホルマーダ国の伯爵領に成ってます」
「それあれかい、この国が支援するのが嫌でってやつかい」
「たぶん」
「この国情けないね」
「内戦前から飛び地だったので、まだ交渉とかしてないと思います。政治が安定してませんしね」
「複雑だねえ。まあ芋だからそんなに揉めないかな」
「芋?」
「うん、飢饉時の食糧に私が開発した芋を植えて貰いたくてね。まあ自分が食べたいのだけどね」
「・・・いつ開発したので?」
「さっき」
「・・・・・・」
「開発したんですよね」
「そうだよ」
「・・・まあ姐御だし」
そう言ってフォンシーヌは何事も無かったかの様に私と食堂で晩御飯を食べている。
食材等の調達の後私達は東に馬車で向かった。
1日目は昼に村で休憩を取る。
それから夕方にはシードと言う小さな町に着いた。
シードでは乗り合い馬車と協力している宿に泊まる。
香辛料を幾つか見つけたので買った。
2日目は村の宿に泊まったが、この村でも違う香辛料を幾つか買った。
「姐御気持ち悪いです」
「へっ?」
「凄くニヤニヤしてます」
「あっ、ああ良い香辛料が手に入ったからさあ~」
「この辺りは色んな香辛料を栽培してますからね。でも何でそれでニヤニヤなんです」
「ふふふ。後のお楽しみ」
「美味しい食べ物ですか」
「そう辛くて美味しいの。だけど分量がわからないから」
「分量がわからない・・・って」
「配合を知らないのよ」
「・・・それって無理じゃ無いですかあ~」
そんな事は無い、合成の秘術でイメージして作れる筈。
何せ薩摩芋が出来たのだから。
カレー粉の配合なんて直ぐだし、小麦粉入れてルーにするつもりだ。
・・・ちょっと待て!、合成の秘術って。
「創造魔法かよ!」
びくうっ「何ですか急に」。
「あっ・・・わりい」
「今日の昼には目的地ビスクに着きますよ」
「あれ5日って言ってなかった?」
「それは歩いてです」
「ああ前は歩いてたもんねえ」
次の日に村を出てからの会話だ。
私は5日を想定して食材を買ったけど、一度も使わずに着いてしまった。
まあ腐らんし、えっか。
「ここから南西に半日行った村辺りが飛び地の場所ですけどどうします」
「乗り合いは無いと思いますが、いちおう駅の案内所で聞いてみますね」
馬車廻しのロータリー側に有った建物で何やら話して帰ってくるフォンシーヌ。
「村に向けて荷馬車が出るそうです。それに乗せて貰えるらしいので、もう少し待って下さいと言う事です」
私達は今カルーナさんと言う農家の荷馬車に乗せて貰っている。
荷馬車には雑穀の袋が積まれのんびりと進む。
大八車より少し幅広な四輪で、前の車輪は小さい。馬1頭曳だから荷物も少ないんだよ。
なので二人で銀貨1枚も渡したら非常に喜ばれた。
むしろ申し訳なさそうにしてた。
「それじゃあこれは飼料ですか」
「そうなんだけどね・・・食べてるんだよねあの人達。貧しいんだよあの村は。中味は粟に稗それに米だからね」
「そうですか、粟に稗そして・・・米。えっ」
そうだったこの国では米は雑穀だった。
でもここでは教えない方が良さそうだ。
その内普及したとしても、薩摩芋が出る方が遥かに早い。
米の栄養価は高い。
ただし白米は・・・ねえ。
五分づきを教えよう。
そう考えてると低い焼岳の様な山が見える。
火山かな?。
まるで上高地の焼岳そのものだ。
「あれは火山ですか」
「そうだよ今でも時折噴火するよ」
「もしかしてそのせいで土地が痩せてると」
「まあね、それでも昔からあの人達は住んでるからね」
カルーナさんは余りな村の栄養状態に、思う処有って雑穀を提供しているらしい。
何でもカルーナさんは元孤児で、あの町の農家に引き取られ育ったとか。
半日馬車で揺られると村に着いた。
「有り難うございます」
「いやいや、荷下ろし迄手伝ってくれて、有り難いのは此方だよ。それじゃあね気を付けてね」
「はい、カルーナさんこそお気を付けて」
カッポカッポガラガラと、空の荷馬車は町に帰って行く。
「あの~この村の村長さんにお会いしたいのですが」
「んっ、村長に何か用かね」
荷下ろし場にいた30半ばのおじさんに聞いてみた。
「実はこの種芋なんですが」
「種芋・・・?。うちらの土地じゃ育たんかも知れんよ」
「それがですね、この芋こんな火山灰地でも育つんですよね。余り水も撒かなくても良いですし。3ヶ月くらいで収穫出来ますよ」
「・・・・・・」
私達はとある質素な家の中に通された。
「私がこの村の村長でコルダと申します」
何とそのまま最初に声を掛けた人だった。
私達は種芋を植えて八葉が伸びたのを見計らって、それを苗にして畝にして貰った畑に村長さんと植えていった。
この時こっそり苗に病気を防ぐ為、浄化魔法を掛けたのは内緒だ。
後は二期作が出来そうなこの国の気候に期待している。
普通なら秋に芋は植えない。
夏の温度で成長して秋に収穫するからだ。
今でも暑い気候にびっくりしている私だ。
育たなかったら魔法を掛けよう。
そして来年は初夏に植えて貰う。
そして4ヶ月間私達はビスクの町に家を借り、冒険者ギルドの依頼で魔物を狩ったり、護衛をしたりで過ごした。
たまに村に様子を見に行ったりしている。
気温が低めなので魔法も掛けたりしたが、村長だけには言っておいた。
村長はどうやら私が聖女ではと気付いたけど、そこは何も言わなかったよ。
まあね、聖女は普通魔物や盗賊を相手にはしないから。
おまけに村の唯一の飲み屋(宿屋兼)でも、男衆を相手にからかって話すし。
聖女よりはお水だよね。
お水は江戸時代に日本酒(原酒は20度前後)を水で薄めた処から、って話しも有るくらいだ。
夜の伽は流石にしないよ。
だって私は生まれ変わって処女だもの。
ほんとだよ。
大切なものは本当に・・・。
「夏前にまた来るよ。その時も種芋を持ってね」
「有り難うございます」
何とか薩摩芋は成長した。
収穫はそこそこ。
けどしっかり成育させたお陰で甘い芋に育った。
試食会では村人達が絶賛している。
食糧庫に保存して足しにするそうだ。
未だ販売出来る量では無いからね。
そうだ、4ヶ月間のビスクでの物語をこの後するね。
魔物とか盗賊とか魔物とか盗賊の話ね。
余り大事でも無いけど2回言ったよ。
テストには出ないよ。
だから普通に蒸籠は有る。
今で言えば加湿器の役目もかな。
湿度が上がると部屋も温いしね。
先人の知恵。
だけど私が工房に注文したのは、竈と一体に成った大型の蒸籠だ。
金貨3枚もした。
特注なので仕方無い。
鋳型からなのでこれでも格安なのだ。
でも使い方を工房の親方達に説明する事を含んだ値段。
これはこの後に需要が発生するかしないかの重要な課題になる。
餅米を蒸すと説明しても意味を成さなかった。
当たり前だ餅米を知らないのだから。
私も餅米を蒸すのは初めてだ。
ただ炊くよりは餅にしやすい。
前日に水に浸けておいた(ストレージ内で)。
実はストレージ内でやろうと思って、少しの量で試したが失敗したのだ。
当たり前だ杵と臼を使わずやろうとしたからね。
なので本日が異世界初実践となる。
蒸し器は金属の鍋を使った。
竹籠みたいなのも有ったけど、こっちの方が壊れにくい。
ただ此方の穴開き鍋は鋳物で重たい。
蒸すこと四半時(30分)かな。
布にくるまれた餅米を、合成の秘術で作った杵と臼でついて見せた。
失敗して気付いて作ったよ。
木材と石は町で買った。
良かったよ何とか餅には成った。
変な処で腕っぷしが役に立つものだ。
砂糖がちょっと高いけど、砂糖醤油を用意してつきたての餅を少し炙って砂糖醤油に浸けて出す。
「どう親方」
「姉御これうまいよー」
「ありがとね」
「うめえなあ~、餅ってのか、初めてだこんな食い物。家畜の餌がこんなにうめえとはな」
うん好評好評。
「生産量が少ないんだよね餅米。しかも普通の米と一緒にされてたし」
次にお餅の味噌田楽を出してみる。
そして味噌の焼きおにぎりも出した。
「なんだこの味噌焼きの握り飯ってのは、さっきの餅と全然違うぞ」
「同じお米でも種類が違うのよ。同じ飼料として混ぜられてたけどね。どちらも携帯食として便利よ。特に餅は堅パンと同じぐらい日持ちするよ」
「成る程、屋台飯にも良いかもな。ありがとな嬢ちゃん。この蒸籠はぼちぼち生産してみるよ」
「売れると良いね」
「だな」
この世界屋台用に載せる竈は有る。
回りを石綿みたいなので囲んで使っている。
餅米とうるち米の生産量次第だけどね。
まあ蒸し芋にも使えるしね。
里芋の味噌田楽でも旨そうだし。
薩摩芋がこの世界に有ればいいのになあ~。
合成の秘術で作ってみるか。
・・・もしかして。
作れたよね、絶対に・・・ジャポニカ米。
結果作れた、薩摩芋が・・・本当に。
何だったんだ・・・まあ良いか。
良くない気がする。
「どうした?」
「あっ・・・何でも無いです」
「そうか、何か何処かへ魂が翔んでたみたいだが」
「あはは。大丈夫です。妄想してたから」
「お前さんの妄想は興味有るな」
「その内お芋さんの屋台が大繁盛すると思いますよ」
私は含みを持たせてニヤリと笑った。
工房で杵や臼そして蒸し器を竈ごとストレージにしまい込んだ。
親方は驚いていたが何も言わなかった。
きっと良い人だと思う。
まだ陽は有ったが宿に戻り夕飯迄に私は、薩摩芋の種芋作りに精を出す。
無論ストレージ内でだ。
フォンシーヌは庭で素振りをしていた。
前より明らかに剣筋が鋭い。
強く成ってるなあ。
「ねえフォンシーヌ、余り作物が育たない所とか知ってる?」
「あ~・・・それなら東の海辺の村に有りましたね。この国では無いですけど」
「それは遠いの?」
「いえ真っ直ぐ東に行けば5日で着きますよ。国境が飛び地に成ってまして、検問すら無い所です」
「へえ飛び地なんだ」
「この国がそこを統治するのを拒んで、仕方無く隣接するホルマーダ国の伯爵領に成ってます」
「それあれかい、この国が支援するのが嫌でってやつかい」
「たぶん」
「この国情けないね」
「内戦前から飛び地だったので、まだ交渉とかしてないと思います。政治が安定してませんしね」
「複雑だねえ。まあ芋だからそんなに揉めないかな」
「芋?」
「うん、飢饉時の食糧に私が開発した芋を植えて貰いたくてね。まあ自分が食べたいのだけどね」
「・・・いつ開発したので?」
「さっき」
「・・・・・・」
「開発したんですよね」
「そうだよ」
「・・・まあ姐御だし」
そう言ってフォンシーヌは何事も無かったかの様に私と食堂で晩御飯を食べている。
食材等の調達の後私達は東に馬車で向かった。
1日目は昼に村で休憩を取る。
それから夕方にはシードと言う小さな町に着いた。
シードでは乗り合い馬車と協力している宿に泊まる。
香辛料を幾つか見つけたので買った。
2日目は村の宿に泊まったが、この村でも違う香辛料を幾つか買った。
「姐御気持ち悪いです」
「へっ?」
「凄くニヤニヤしてます」
「あっ、ああ良い香辛料が手に入ったからさあ~」
「この辺りは色んな香辛料を栽培してますからね。でも何でそれでニヤニヤなんです」
「ふふふ。後のお楽しみ」
「美味しい食べ物ですか」
「そう辛くて美味しいの。だけど分量がわからないから」
「分量がわからない・・・って」
「配合を知らないのよ」
「・・・それって無理じゃ無いですかあ~」
そんな事は無い、合成の秘術でイメージして作れる筈。
何せ薩摩芋が出来たのだから。
カレー粉の配合なんて直ぐだし、小麦粉入れてルーにするつもりだ。
・・・ちょっと待て!、合成の秘術って。
「創造魔法かよ!」
びくうっ「何ですか急に」。
「あっ・・・わりい」
「今日の昼には目的地ビスクに着きますよ」
「あれ5日って言ってなかった?」
「それは歩いてです」
「ああ前は歩いてたもんねえ」
次の日に村を出てからの会話だ。
私は5日を想定して食材を買ったけど、一度も使わずに着いてしまった。
まあ腐らんし、えっか。
「ここから南西に半日行った村辺りが飛び地の場所ですけどどうします」
「乗り合いは無いと思いますが、いちおう駅の案内所で聞いてみますね」
馬車廻しのロータリー側に有った建物で何やら話して帰ってくるフォンシーヌ。
「村に向けて荷馬車が出るそうです。それに乗せて貰えるらしいので、もう少し待って下さいと言う事です」
私達は今カルーナさんと言う農家の荷馬車に乗せて貰っている。
荷馬車には雑穀の袋が積まれのんびりと進む。
大八車より少し幅広な四輪で、前の車輪は小さい。馬1頭曳だから荷物も少ないんだよ。
なので二人で銀貨1枚も渡したら非常に喜ばれた。
むしろ申し訳なさそうにしてた。
「それじゃあこれは飼料ですか」
「そうなんだけどね・・・食べてるんだよねあの人達。貧しいんだよあの村は。中味は粟に稗それに米だからね」
「そうですか、粟に稗そして・・・米。えっ」
そうだったこの国では米は雑穀だった。
でもここでは教えない方が良さそうだ。
その内普及したとしても、薩摩芋が出る方が遥かに早い。
米の栄養価は高い。
ただし白米は・・・ねえ。
五分づきを教えよう。
そう考えてると低い焼岳の様な山が見える。
火山かな?。
まるで上高地の焼岳そのものだ。
「あれは火山ですか」
「そうだよ今でも時折噴火するよ」
「もしかしてそのせいで土地が痩せてると」
「まあね、それでも昔からあの人達は住んでるからね」
カルーナさんは余りな村の栄養状態に、思う処有って雑穀を提供しているらしい。
何でもカルーナさんは元孤児で、あの町の農家に引き取られ育ったとか。
半日馬車で揺られると村に着いた。
「有り難うございます」
「いやいや、荷下ろし迄手伝ってくれて、有り難いのは此方だよ。それじゃあね気を付けてね」
「はい、カルーナさんこそお気を付けて」
カッポカッポガラガラと、空の荷馬車は町に帰って行く。
「あの~この村の村長さんにお会いしたいのですが」
「んっ、村長に何か用かね」
荷下ろし場にいた30半ばのおじさんに聞いてみた。
「実はこの種芋なんですが」
「種芋・・・?。うちらの土地じゃ育たんかも知れんよ」
「それがですね、この芋こんな火山灰地でも育つんですよね。余り水も撒かなくても良いですし。3ヶ月くらいで収穫出来ますよ」
「・・・・・・」
私達はとある質素な家の中に通された。
「私がこの村の村長でコルダと申します」
何とそのまま最初に声を掛けた人だった。
私達は種芋を植えて八葉が伸びたのを見計らって、それを苗にして畝にして貰った畑に村長さんと植えていった。
この時こっそり苗に病気を防ぐ為、浄化魔法を掛けたのは内緒だ。
後は二期作が出来そうなこの国の気候に期待している。
普通なら秋に芋は植えない。
夏の温度で成長して秋に収穫するからだ。
今でも暑い気候にびっくりしている私だ。
育たなかったら魔法を掛けよう。
そして来年は初夏に植えて貰う。
そして4ヶ月間私達はビスクの町に家を借り、冒険者ギルドの依頼で魔物を狩ったり、護衛をしたりで過ごした。
たまに村に様子を見に行ったりしている。
気温が低めなので魔法も掛けたりしたが、村長だけには言っておいた。
村長はどうやら私が聖女ではと気付いたけど、そこは何も言わなかったよ。
まあね、聖女は普通魔物や盗賊を相手にはしないから。
おまけに村の唯一の飲み屋(宿屋兼)でも、男衆を相手にからかって話すし。
聖女よりはお水だよね。
お水は江戸時代に日本酒(原酒は20度前後)を水で薄めた処から、って話しも有るくらいだ。
夜の伽は流石にしないよ。
だって私は生まれ変わって処女だもの。
ほんとだよ。
大切なものは本当に・・・。
「夏前にまた来るよ。その時も種芋を持ってね」
「有り難うございます」
何とか薩摩芋は成長した。
収穫はそこそこ。
けどしっかり成育させたお陰で甘い芋に育った。
試食会では村人達が絶賛している。
食糧庫に保存して足しにするそうだ。
未だ販売出来る量では無いからね。
そうだ、4ヶ月間のビスクでの物語をこの後するね。
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余り大事でも無いけど2回言ったよ。
テストには出ないよ。
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