聖女はちきゅうさん。

hikumamikan

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十三 競馬場への無料馬車。

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私達は薩摩芋が育つ間この地に滞在する。
地球の地形に当てはめるとベトナムの南ぐらいだろうか?。
地球のカレンダーなら秋なのだがかなり暑い。
なので薩摩芋は植えたけど何とか育つ気がする。
育たなければ私が聖魔法を掛けてみる。

植えた直後は水を撒いたが、後は殆ど水をやらないので、私達は基本ほっておくことにした。
たまに見に行くだけだ。
実際に一月に一回しか行かなかった。

この町の近くには競馬場がある。
今日はそこへ向けて無料馬車に乗る事にした。
だけど競馬場の入場料が銀貨一枚と高い。
これは日本の競馬場とは違いお客が少ないからだと思う。
実際に馬車10台に150人くらいしか乗れないからね。
馬が曳くのだから。
その他は徒歩で行くらしい。
貴族は自前の馬車だけど。

歩いても地球時間の一時間くらい。
まあ5キロって処かな。

正直場所がわからないので馬車に乗っただけ。
知ってたらこんなぎゅうぎゅう詰めの馬車になんか乗らないよ。
臭いんだよ、男衆。
しかも私達の身体を触ろうとする輩もいたし。
軽く鳩尾に入れたけどね。


因みに十三話だから競馬場って話・・・。
あっごめん、わかんないよね。
あれは十三駅から園田に行くバスの事。
ゴホンゴホン。

忘れてね。


おお、ターフだよ。
ダートだと思ってたけど芝だった。
まあ只の草むらとも言うが。

午後の便だったので後3レースしか無い。
競馬場の屋台で買い食いしながら予想をする。

最初のレース単勝を買ったらドベ(最下位)。
次のレース複勝(3着以内)を買ったらドベ。
最終レース・・・3連単(1着から3着迄を順番に当てる)を買ったら、最下位からドベ3迄きれいに当てた。
見事に3頭とも後ろから並んだ。
私には博打の才が無いらしい。

フォンシーヌのやつは、私の買い目を見て逆に最終レースを当てて、大儲けしやがった。

何故だ解せぬ。
「いや前の2レースを見て、姐御の逆さまを買ったら当たると・・・ゴニョゴニョ」
ちょっと睨んだら口ごもった。

私は実に大人気ない。
仕方無いだろ本当に悔しいんだから。

それから月イチで競馬場に行ったけど、全て裏目裏目の連続なのに、何故かフォンシーヌはウキウキだった。

何故だ。


丁半博打ならサイコロを居合いで切って、中の鉛を見せ「イカサマすんじゃねえ」ってやるかもだけど、流石に馬が私の買い目を察する訳も無し。
仕方無いからその都度宿でふて寝だよ。

競馬場の下見所(パドック)で、なんか痛みを訴えて来た馬がいたので、秘かにヒールを掛けてやったら勝ちゃあがった。
いやいや、勝たんでも。
そこは勝たんでも。

二度と競馬はしないと誓ったよ。


1ヶ月して村の様子を見に行った。
発育は順調みたいだがやはり気温がねえ。
ちょっとヒールを掛けといた。
帰りにそこら辺で魔物をサクッとね。
いやあオーク丼が美味しいなあ。


5頭も出たから3頭はギルドに卸し、2頭はストレージで解体して私達の食糧。


2ヶ月目に成った。
村の薩摩芋は順調だ。
もう少し気温が高ければと思うが、それを望むのは無理な訳で。
病気を防ぐ意味で浄化等を掛けておいた。
ついでに合成の秘術とか駆使して何とか持続性の地熱効果を付与してみた。
当然太陽光の熱には及ばないが、ある程度は育たないと私の股間・・・いや沽券に関わる。
何と言ってもこの村の来年の食糧事情と、後の経済効果に影響する。
この世界甘味は貴重なので、数年は高く売れる筈なのだ。
それにあれだ・・・私が芋焼酎を欲する。


3ヶ月目。
猪の駆除に奔走した。
折角の薩摩芋をほじくり返されてはたまらない。
あっ、オークよお前もか。
結果的に大量の肉をギルドに卸したよ。

まあオークも豚では有るしね。

こらこらオーガ・・・お前は肉食だろが!。

ごっゴブリン・・・てってめえ等人間じゃねえ、叩っ斬ってやる。
確かに人間じゃねえけどな。
・・・そう言えば雨少ないな。
乾期みたいなもんか?。

うわっうわっ、突然の豪雨が4ヶ月目に成って襲って来た。
合間の晴れ間にあわてて薩摩芋を収穫した。
良かった、何とか甘い薩摩芋は育ったみたい。

村の食糧庫に保管して貰う。
穀物類と共に摂取すれば飢え死にせずに済む。
初夏にまた来る事を約束して今回はお暇した。
    

4ヶ月ビスクの町にお世話に成った。
まあビスクの冒険者ギルドには沢山猪とオーク肉を卸したから、結構良い顔をされたと思う。
ゴブリンも相当数倒してランクも一つ上がったし。
やっとこさDクラスだよ。
この国盗賊が多すぎてEでも、問答無用で護衛仕事を余儀無くされてたけどね。

ギルドの受付嬢いわく、私の実力は間違いなくBは有るらしい。
オークは素手で殺せる相手では無いとか。
まっまあ・・・そこはほれ、神スキルだから。


私達は元来た道を西に向かって、シードから少し脇道を通りルハンスクの少し北を回って、オーバンって町に向かっているのだ。

オーバンは稲が育っていた湿地帯の西南西に位置する鉱山の町。
いやなにね、何か鉱石でも手に入らないかと思って。

オーバンの鉱山は町の西に南北に走る山地が有って、その峰が国境成っている。
800から400メートルの低くなだらかな山地の反対側にも町がある。
ヅォクネルって町でワフール国の鉱山町だ。

この山地は多様な鉱物や石炭を含む面白い所。
古い地層で硝子の原料も産出する。
だから硝子工房も多い。

えっ、お前に硝子細工の趣味があるのかってか。
別にポッペンとか風鈴を作りたい訳じゃ無いよ。
ちょっと麦芽が手に入ってさ。
合成の秘術でウヰスキー作ったんだよね。
しかも時間経過促進なんて合成の秘術は出来ちまうから、葡萄酒入れてた樽を買って寝かしてたんだよ。

それがさあ、意外と良い味してんだよ。
本当にウヰスキー工房に詫びろよってくらい。
野生の桜を見つけてさあ、風魔法で切り倒してスモークチップ作ってね。
燻してスピリッツ作ったの。
いやあ度素人がウヰスキー初見で作るれるとか意味わからん。
もちろん私が呑む為だよ。

何で麦芽が手に入ったかって。
農家がさあ収穫時期見誤ったんだよ。
四分の一が芽を出して駄目に成ったんだよ。
近くに醸造所でもありゃエールにでも成るけど、無かったら水飴にでもするしかないさね。
それでも捌けない量でね。
そこに運良く私が通り掛かったんだよ。
エールでも良かったんだけど、あたしゃ強い酒の方が好みでね。
ドワーフかっ!。
いや違うからね、確かにチビで力持ちだけど、違うからね。


オーバンの入り口は両脇が崖で狭く木の柵で閉じられているが、明るい内はほぼ々開いている。


「あ~疲れたねえ。今日は早々に宿取って休もうか」
「最近は少しお金に余裕が出来て馬車移動ですけど、それでも疲れますもんねえ」

時は金なり。
移動時間は少しでも削れるならその方が良い。
観光地が有るなら別だけどね。

この日は冒険者ギルド経営の宿が開いていたのでそこにした。
二人とも少し寝て夕暮れに一階の酒場兼食堂で晩飯を食べた。

「ここのエールはやっぱりうめえなあ」
冒険者らしき男が肴を摘み声を出す。
「ちげえねえ。他と少し違うよな」

・・・・・・。
「姐御どうしました?」
「う~ん、少しエールでも呑もうかね」
「あっ、良いですね。肴は何にします」
「細切れ肉と野菜の味噌炒めにするよ」
「じゃあ私はカナビーと葉野菜の香辛料炒めで」


「ああ確かにこのエールはいけるね」
「ほんとだ他と違う」
「うん、あても旨い。フォンシーヌ、そのカナビーって何の肉」
「ああこれは蜥蜴の魔物ですね。鶏肉みたいで美味しいんですよ」
「そうなんだ、知らなかった」

地方によってエールは当たり外れが大きい。
酵母菌のせいだとは思うが、日本の芋焼酎も昔はかなりきつかった。
今は酵母菌の改良によってマイルドだ。
そう言えば安納芋って作れないかなあ。
あの村の薩摩芋の収穫量が増えたなら焼酎も有だな。
まあ5年は先か。
いやもっとだな。

「姐御明日はどうします」
「う~ん、商業ギルドに行って、ガラス工房を見学出来ないか聞いてみるよ」
「へっ、ガラス工房見てどうするんです?」
「ポーション瓶が多量に欲しくてさ」
「・・・そんなの何に使うんで」
「・・・ポーション作るに決まってるだろ」
「姐御薬師の免許無いですよね」
「免許無くてもポーションは出来るよ」
「売れませんよ」
「自分で使うよ」
「姐御は治癒魔法使えるじゃ無いですか」
「魔力量回復薬だね。それとダンジョン用にね」
「あっダンジョン行くんですね」
「うん、山を越えたら有るって聞いたから」


この町から山地を越えると直ぐに、オリアルと言う初級ダンジョンが有る事を、馭者さんから私達は聞いていた。
主に鉱物系が採取出来るダンジョンらしい。

鉱山は一般人は入れない政府の管轄なので、勝手に入って鉱物は採取不可なのだ。

ダンジョンの鉱物は金銀銅に各宝石類。
ミスリル等の希少鉱石は出ない。
初級だからかな?。


そんな話に花を咲かせエールで喉を潤し部屋に上がって眠りについた。
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