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第76話 サドか!。

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娘にどうやって西の大陸に行ったのか聞いてみた。

私が出した大和なら行けるけど、大体は大型船で船団を組んで向かうものだ。
ただ魔物が多くリスクが半端ないので貿易何て何処の国もしない。

そして何よりも大和でさえ何ヵ月掛かるのか?。
それを一週間とか娘は言いよった。

娘よ何を使って西の大陸に行ったのだ。

「タライ」
「「タ・ラ・イ・・・??」」
「そう木のタライ」
「「・・・佐渡かあ~!!」」

リバイアサンを持ち帰ったから、ホワイトボードにアイテムBOXとか、時間停止の亜空間収納魔法を書いたのは解る。
だがタライ、何でタライ。

「小さい頃暑い時タライのプールをお母さんが出してくれたから」
「いやいやタライで西の大陸は行けないぞ」
「空飛んだよ」
「空飛ぶ軍艦かあ~」
「レイナ・・・古い」
「ノーチラス号かよ」
「もっと古いでしょうが」
「さらば~♪」
「それ遠くに行き過ぎ」

「で、空飛ぶタライ船で西の大陸迄行って帰って来たと」
「うん、でもね、こっちのお金使えなくて、借金して、向こうには傭兵ギルドって有ったから、そこで薬草の採取とポーション作ったの売って、そんで借金返したよ」
「宿とか泊まった・・・あっ、言葉はどうしたの?」
「翻訳魔法。それとポーションが高く売れて宿代に成ったよ。それとそれとね向こうにボーイフレンド出来た」
「はあ?、駄目だ駄目」
「あなた興奮しないで」
「はあはあ・・・すまん」


「「スキル(ホワイトボード)最強だな」最強ね」
「一週間で行って帰って来るって・・・あれだよな」
「あれよね」
「「音速だよなあ」」

「音速のタライ船って・・・」
「シュール・・・」
「どうやって漕いだのかしら」
「漕がないよ」
「えっ、伝馬船みたいに」
「八の字書かねーだろ」
「伝馬船みたいに音速で」
「だからあ~、八の字漕ぎじゃ音速出ねえから」
「じゃあどうやって」
「ばた足に決まってんだろ」

「「俺等可哀想な子だな」そうね」

「ねえどうやってそんなに早く往復したの?」
「ん?、タライ回し」
「「???」」
「オールで漕いでたら同じ所ばっかり回るものだから」
「「ものだから・・・」」
「高速で漕いだら空飛んだ」
「「・・・それで?」」
「もっと漕いだら西の大陸に着いた」
「「恐るべき脳筋だな」だね」


あかん意味不明やわ。
「あなたタライと一緒にホワイトボードに何か変な事を書いたでしょ」
「う~ん・・・焼きそば」
「「焼きそば?」」
「うん、お母さんが出してくれたカップ麺の焼きそば」
「「メーカー名とか製品名は・・・」」
「う~んとねえ・・・あっ、そうそうユーホー」
「「UFO・・・」」
「焼きそば食べたくて書いた」
「焼きそば出たの?」
「出なかったから、名前じゃ無くてカップ麺出て来る魔法って書いたら出て来た」
「「あれかな」あれよね」
二人でPレディ踊ってみた。
「お父さんお母さん大丈夫」
「「・・・」」
娘に心配された。


タライが飛んだのが何となく解った二人だが・・・。
「「それでタライが飛ぶものか?」さあ?、飛ぶんじゃない」


私達一家は町の外の人気の無い所に来ている。
「デージー、UFO出て来いって唱えてみて」
「ユーホー出て来い」
「「・・・??」」
「楽器」
「チューバーか」
それはチューバーより少し小さいユーホニュームだった。
「「何でやねん!!」」

私は地面にUFOって書いて、これが出て来いって唱えてみてと娘に言った。


「円盤ね」
「UFOだな見事に」
「これで家族旅行出来るわね」
「イシタント様に怒られないか」
「・・・出ちゃった物はしょうが無いでしょう」
「そうか、そうだな」
「最近はゴム着けてるけどね」
「・・・娘の前でそういうのは止めろ」
次男の難産から避妊具を使用している。


「何にも無いね」
「操縦桿も無いな」
「飛べって言ったら飛ぶかしら」
「飛べ!」
「浮いたわね」
「浮いたな」
「デージー何処か行くように言ってみて」
「・・・隣の国の温泉町に行け」


「山脈越えたな」
「見事に越えたわね」
「町の外の林の中に降りろ」

UFOは静かに林の中に降りて行った。


₰₰₰₰₰₰₰₰イシタントの神殿₰₰₰₰₰₰₰₰

「付与担当神よ、何でああ成った」
「5歳の時の神託の時に私が書き込もうとしたホワイトボードを、おそらくあの子が拡大したものと思われます」
「盲点だったな」
「はい、盲点でした」
「司祭もまさか5歳の子供が神の神託のボードを拡大するとは思わんわな」
「御意」
「スキル、ホワイトボードか・・・面白い」
「良いのですか?」
「あの二人の子が悪用するとは思えん。悪用したならお前が即座に消せ」
「御意」


「ふふん、史上最高のスキルか・・・」
こう言う予想外な展開も面白い。

──────────────────

なんかもう娘のスキルが規格外過ぎて笑えてくる。
私のインスタント・スキルでさえとんでもないとよく言われたのに。
自分で魔法の能力を書き込む事が出来るスキルなんて・・・。
しかもタライがUFO化してるとか。
おまけに娘はUFO自体知らないと来た。
焼きそばの銘柄を魔法が語彙錯誤するなんて頭が混乱する。
それを娘が躊躇無く使える事に違和感を覚えた。

こそっと鑑定したら、娘のホワイトボードには(認識外物自動記憶処理)なんて不埒な事が書いてあった。
これは学習において苦手な物を勝手に理解し記憶するチート魔法だ。
あやつ、嫌いな勉強をこれで回避してやがったな。
流石に卑怯だが、それを思い付く頭の良さに脱帽?。

デージーは本当に頭が良いのだか悪いのだか?。
まあ天才には違いない。
咄嗟に神が書くホワイトボードを拡大してみせた頭の良さは、もう私の能力を遥かに超えている。
でもタライ船だ。


なんだかんだ温泉を堪能してニューラへ帰ったよ。


暫くすると娘が行商している事が分かった。
どうも薬草採取やポーションでは稼ぎが少なくて野宿していたそうだ。
野宿と言っても寝るのはUFOの中だ。
ゾウ、いやトロールが踏んでも壊れない筆・・・じゃ無い、UFO。
まあUFOだものな。
てか、私未だトロールに出会した事無いんだけど。
何でも西の大陸にはいるそうだ。
でもキュプロプスの方がでかいよね。
この世界のキュプロプスは少し小さいけど、それでも5メートルは悠に越える。
神話のキュプロプスは山程の大きさだ。

『ギリシャ神話や北欧神話の怪物は神であり破壊神だな。フェンリルも山程の大きさの神だ。この世界では5メートルぐらいにしたぞ』
「・・・イシタント様?。そう言うのを参考にして造ったのねこの世界」
『その他ありとあらゆる神話を元にしているぞ。キィとかは別世界の神だけどな』
「フェンリルいるんですか?」
『おるぞ西の大陸に』
「そう言えばドラゴンいましたね」
『ギリシャ神話なんて滅茶苦茶だからな。ゼウスもポセイドンも実の姉を犯して子供を産ませておるから、この世界には登場させておらん』
「ハデス様いましたけど」
『冥界の神の名があやつしか思い浮かばんかった。まあついでにペルセポネを厳神として加味したがな』
「あの~う、そのペルセポネ様はゼウスが姉のデーメーテルを犯して出来た子なのですが」
『・・・・・・知らんかった・・・』

イシタント様は割りといい加減。

『いやいや、ハデスは冥界で一人では寂しいで有ろうが』
「あの~・・・テスモポロス様ってデーメーテル様と同一人物なんですけど」
『・・・・・・』
イシタント様は黙って通信を切った。

「・・・逃げやがった。ペルセポネ様がテスモポロス様とゼウスの子と知って逃げやがった。だからスキル・ホワイトボードなんて出来るんだよ。あれな・・・私は凄く羨ましいねん」

「レイナ・・・今の発言で台無しだよ」
キィに呆れられた。

「因みになレイナ、ギリシャ神話も御多分に漏れず、国盗り物語を神話にしたとされている。日本に出て来る土蜘蛛や八岐大蛇等も大和政権に滅ぼされた豪族だと言われているぞ。つまりゼウスがデーメーテルを犯したと言うのは、ゼウスと言う国がデーメーテルと言う国を侵略したと言う事だな」


「もっと明確に書けば良いのにね」
「そうだな。そうすれば邪馬台国の場所も特定出来たのにな」
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