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6皿目 ランプは見つからずあきらめる勇者②(勇者サイド)

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「おい!! どうなってんだ!? 何日も海のど真ん中で俺を待たせやがって!!」



 イエローが勇者達の元を去り数日後。勇者と魔法使いの男は潜水活動をしている船乗りの船にいた。



  願いを叶えるランプを求め大金を使い船を借り多くの人手を総動員するが、沈没船からランプが見つからない。

 それどころか、ここらあたりを縄張りにしていた海の魔物達がおら船乗りたちは不思議に思っていた。



「い、いえ…そんなはずは…そうかぁ、情報屋が間違った事を伝えたに違いない!! きっとそうですよ!! 」



「その情報屋から情報を得たのはお前だろうが、この馬鹿!! くそぉがぁ!! やっぱりランプなんておとぎ話だったのかよぉ…」



 怒り狂う勇者と頭を必死に下げて謝る魔法使いの男。そんな二人を潜水服の修理をしながら見つめ船員たちは呆れていた。



「あんなアホが勇者かよ…魔法のランプ探しなんてもんに俺たちを働かせやがって…」



「勇者の言葉は王の言葉…なんて誰が言ったんだよ…くそぉ、潜水服だって長時間は潜れないんだぞ。俺たちの命をアホ勇者とアホのお供の遊びに使われるなんて…」



「けど、沈没船の周りにいた魔物が消えてたの良かった…俺、勇者に沈没船の所に潜れって言われた後、急いで遺書書いちゃったよ…」



 勇者のわがままに付き合あわされた船員たちは知らず知らずのうちにイエローに救われていた。



 その後も魔法使いの男はランプを探しあてて勇者の機嫌と自分への評価の修復のために、船員たちをコキ使うが沈没船からは何もでず魔法使いの男の評価は地に落ちた。



 魔法使いの男を放置して勇者はホテルへと戻る。



「くそぉ!! 馬鹿のせいで日焼けしちまった…ん? おい、帰ってたのか?」



「おう勇者!! 見ろよ!! また、アタシの圧勝だぁ!!」



 ホテルの部屋にいたのは格闘家の女だった。彼女の手には闘技場で優勝した証のベルトや賞金があり勇者に見せつける。



 この格闘家の女。見た目は長身の大人の女性だが野生的過ぎて口より先に手が出てしまい、彼女のちょっとした悪口を放った子供はその両親もろとも拳の餌食にしてきた。



「おいおい、俺たちは魔王討伐の旅に出てるんだぞ? 賞金稼ぎみたいな事して、俺たちの品が堕ちたらどうする?」



「はぁ!! そんなの、あのカレー女の事だろうが。私には関係ねぇ」



 格闘家の女は豪快に笑う。勇者は内心「こいつの方が汗くせぇし、うるせぇ」と思っていたが、今しがた闘技場で対戦相手を殴殺した拳がこっちに向くのを恐れて黙っていた。



「おう、そうだぁ!? ベルトと金の他にもなんかもらってたんだったな..あ~これか」



 格闘女が古びた地図を勇者に投げる。

 地図の中心には小さな小島があり、その小島に宝と文字が書かれた。

 そして、その小島はちょうど沈没船のあった辺りでイエローとランプの少女がいる場所だった。



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