13 / 22
13皿目 死神の誘惑。バァバの負の感情と記憶
しおりを挟む「えぇ!? あの集落にいた人たちって上級のアンデットに殺さてしまったんですか!?」
「そう…ムラサキの育ての親の老婆が残してくれた呪石が教えてくれた」
アンデットの集団を蹴散らし森の奥へ入る。まだアンデットが残っており、襲いかかってきたアンデットを雷で焼き殺しイースを守りながら進むイエロー。
(まずい…カツカレーの効果がそろそろ切れそう…保険で食べた紫芋カレーも多分私のはもう切れてる。けど、イースとムラサキが食べた分はまだ効果が持続しているはず!!)
さっき食べた活力と力を与えるカツカレーの効果が薄くなっていく。
イエローのカレーは特殊な効果があるが、複数のカレーを短時間の間に食べると効果が薄くなる。
だが、今はカレーを食べ直している暇はない。
イエローの手には村長の家に日記と共に置かれていた呪石が握られていた。
「ここの呪術師たちは全ての呪術を記録させて呪石の完成を焦ってたんだ…長い間、先祖から受け継いだ術を残したい一心で関係ない人の命を使って、大量のアンデットを生み出してしまった…」
日記に書かれてはいない、長の呪石が語ってくれた。
森の奥にある巨大な呪石を作るのに多くの犠牲者を生み、そこからアンデットができてしまった。アンデット達を倒しながら術の研究を続けていたが島の閉ざされた世界しか知らない呪術師たちは知らなかった。
「大量のアンデットが一つ場所に集まると、上級のアンデットが生まれる事を知らなかった…しかも、そのアンデットが死神とは知らず自分達の手で倒そうとしたけど、多くの命と怨念を吸収して生まれた死神は強力で、残った大人達は倒すことができず死神に吸収されてしまった。…ん?」
森の中を駆けると、小さな証を見つけ拾う。
傍には祠への入り口があり、中からムラサキの悲鳴が聞こえた。
「この中かぁ!!」
「あ、主様!! ま、まってぇぇえ!!」
ムラサキの悲鳴が聞こえイースを置いて祠の中に入る。
「くっ、くるな!! 化け物!!」
巨大な鎌を持った死神がムラサキに近づく。アンデットの上位種で他の魔物や実力のある騎士や冒険者がもし同じ場所にいたら、味方を置いて逃げてしまうほど死神から圧があった。
圧の正体は生命を狩られる「死の恐怖」だった。
「ちぃ!! ムラサキ!! ふせてぇ!!」
イエローは放電を死神に向け放つ。一瞬、感電して動きを止るが死神は大鎌をイエローに向ける。
「…けてぇ…」
「な、なんの声だ…?」
骸骨から聞こえるうめき声にムラサキがおびえる。
だんだんと声が大きくなり
「助けて、苦しい、殺して」
「あぁ、早く。早く、呪石を、もっと生贄を…」
「いやだぁ…術の生贄なんていやだぁ…島の外に、自由を…」
「あの、呪術師ども、よくも、私たちの家族を殺して…」
「呪ってやる、呪ってやる」
と子供から大人のあらゆる者の怨念の声が大きくなっていく。
「あ、主様、な、何か言ってますよ、あの死神…」
「あの死神が言ってるんじゃないよ…言わせてるんだよ…この島で自分の命を生贄にささげた呪術師と、島に来てしまって呪石を作るために生贄になった人たちの魂…怨念があの死神の中に閉じ込められてる…死神の食糧(餌)として…」
「そんな…ひどい…」
「あぁ、あぁ…アタシを馬鹿にした、やつらが、いる…」
イエローの説明を受けてイースとムラサキが悲惨な表情を浮かべた。
「あぁ、ムラサキ…なんで、おまえだけ、生きてるんだよ…」
「村長の、お気に入りが…本当は魔法も呪術も、つかえるくせに…馬鹿なやつだ…」
「力があるから、村長に嫉妬されて…何もできないって、嘘を信じこまされて…本当に馬鹿なガキだ…自分が愛されているのでなく、島での生活に暇を感じた老婆の潰しのために生かされているなど知らず」
死神の腹からいくつかの魂が見えムラサキに向け冷たい言葉と視線を向けた。
「何を言って…アタシが魔法を…バァバが、嘘ついてた…? 嘘だぁ!! 」
「まって!! ムラサキ!!」
住民たちの負の感情に当てられ死神に向けムラサキが叫ぶ。。
上級のアンデット達は生物の負の感情を利用し獲物を誘い出す力がある。
そして、誘い出された獲物は戦意喪失しそのままアンデットに食われる。
だが、ムラサキは正気を保てていた。イエローの紫芋カレーには毒や呪いに対して抵抗効果があり、もしカレーを食べていなかったら正気を保てず無防備のまま死神に魂を狩られていた。
「ライジング!! 」
雷を身にまといムラサキと死神の間に入る。
「ムラサキしっかりして!! あなたのおばあさんは、ちゃんとあなたを愛していた!! 死神はあなたの魂を食らうために、おばあさんの負の感情を利用してるだけよぉ!! 」
「邪魔をするでない、小娘…ムラサキ…ほれ、私の元においで…」
死神の顔に老婆ことバァバの顔が出た。
「こいつ、いつまでもおばあさんの魂を…!!」
「さぁ、ムラサキ…おいで…バァバを一人寂しくするつもりかい? 赤子だったお前は確かに魔法の才能どころか呪術の力まで受け継ぐ才能はあったさ…あの船の旗とお前の持つ証から、おそらく才能ある貴族か王族の生まれだろうと予想はできたさぁ…」
老婆の顔がどんどん歪んでいく。死神は食らった人間の魂だけでなく記憶を取り込む。それは、親兄弟に負の感情をぶつけ餌を多く得るための子狡さを超えた最悪の能力だった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる