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14皿目 死神の鎌に貫かれる少女

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 死神が餌として取り込んだバァバの負の感情と記憶を使い、ムラサキを誘惑する。

「こんな赤子が…外の世界でぬくぬくと生まれてきた子が憎い!!私だって、こんなちっぽけな島で一生を終えたくないさ!! けど、島から出てどうやって生きていけばいいのさ!! 呪術と村で生きる方法しかわからない私たちはずっと、外の世界にいる奴らを妬み恨んでたさ。生贄にしたのだってその腹いせさぁ!!」

 ムラサキの瞳から涙があふれる。今まで信じて愛してきた人から醜い心の声と顔を前にして、負の感情があふれて「違う!! 違う!! バァバはそんな事言わない!!」と叫び理性は残っていた。

 死神は「なんで来ないんだ!? くそぉ!! もっと負の感情が必要か!!」と焦りが見えた。

「だめぇ!! ムラサキ!! しっかりしてぇ!!」

「あんたを育てたのはいい暇つぶしだったよ。わざと何も教えないで才能がないって、あっさりと信じたあんたと、嘘を信じた馬鹿どものやり取りは最高の暇つぶしだったさぁ!! さぁ、今まで優しくしてやってきたんだ。 今度はその命をバァバにおやり!!」
 
「このぉ!! 死者を冒涜するなぁ!! スパーク!!」

 イエローが死者の魂と記憶を餌を得るために利用しているのに怒り放電した。
だが、カツカレーの効果が切れた放電ではあまり効果がない。
死神が大きな鎌を振り上げる。ムラサキは動かず、このままでは命を狩られてしまう。
 
「イース!! ムラサキを連れて逃げてぇ!! 」

 ムラサキを感電させないために体に電気をまとわせていたライジングを解除し、立ち尽くすムラサキをイースに向けて投げた。

「ちょぉ!? 主様!! きゃぁ!!」

 投げ飛ばされた小柄のムラサキを体で受け止め倒れるイース。

「きゃぁ!! もう、いきなり何をあるじ、さ、ま…」

 顔を上げたイースが見たのは死神の鎌に貫かれたイエローの姿だった。




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