雨宮課長に甘えたい

コハラ

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庶務係

《7》

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「中島さん、俺、もう限界」

泣いていると雨宮課長が言った。
話し方が急に変わった気がする。

「限界? ああ、すみません」

涙を拭う。これ以上、雨宮課長を煩わせてはいけないと思うのに涙が止まらない。今、私、面倒くさい奴になっている。

「本当にごめんなさい。あの、置いて帰って大丈夫なので。雨宮課長、お疲れさ」

言い終わらない内に抱きしめられた。ふんわりと甘い香りがして、ドキドキする。心臓がギュッて反応する。体が熱い。この距離は近すぎる。でも、なんで抱きしめられているの? 気づかない内に、また車道に出ていた? またトラックに轢かれそうだった?

「中島さんは厄介すぎる」

ため息混じりの色気のある声が耳元に落ちた。
これって叱られているの?

「あの、すみません」
「危ういし、目に余る」
「本当にすみません」
「だからさ」

鼻先がぶつかりそうな距離で、雨宮課長と視線が重なる。
眼鏡越しの瞳にじっと見つめられる。怖いぐらいに真剣な目。

そんな目で見ないで。ドキドキが止まらなくなるから。
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