魔法学園のFPSプレイヤー

青空鰹

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第7話

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教室に着いた俺は席に着いてから、カバンを机に置いてゆっくりしていると、一人の学生が俺の目の前に立って話掛けてくる。

「おはよう!」

「・・・・あぁ、おはよう」

「昨日の戦いを見てたぁんよ、勝利おめでとう! 俺っちの名前は【サルス・レコ】、お前っちの戦いを見て感動しちまったッス!?」

コイツのしゃべり方にクセを感じるな。

「そうか、それは良かった」

「なんスか、つれないッスねぇ~!?」

「余り人と関わるのは苦手なんだよ」

「そうなんだったんスか。でさでさ、あのバッツの事でお前っちに話があるんスよ!?」

バッツの事でって、俺達にまた何かしようとしているのか?

「アイツ、また何かしようとしているのか?」

「違う! 違う! 全く違うッス!?」

「じゃあ何だ?」

「実は、昨日バッツは家を勘当かんどうさせられたみたいなんス!」

「ふ~ん。そうか」

なら気にする必要も無いな。

そう思った後にカバンから筆記用具を取り出そうとしていると、サルスと言う男子学生は慌てた様子を見せてくる。

「え! あ・・・・えぇ~!?」

「ん、どうした?」

「いや、何・・・・お前っちが驚いたり、ザマァ!? とか言うと思ってたんスよ!?」

「そうか・・・・バッツが危害を加えて来るような話や、何か企たくらんでいるような話なら反応したかもしれないが、そう言った話なら、そうか。の一言で終わる」

まぁ、これ以上俺達に手を出す気。と言うよりも手を出せる状態じやなくなった事は俺達にとって良いことだ。

「そ、そうなのかよぉ~。残念なんスよぉ~」

「まぁ、情報自体は有難ありがたいと思ったから礼を言うよ」

「そうなんスか、それは良かったッス! ところでお前っちが使っていた武器が俺っちは気になるッスよ!」

「なぁなぁ! 今持ってたら見せて欲しいんスよ!」

アリスの話だと、お前の持っている銃に興味を示す輩やからは先ず出て来ないだろう。と言われたが興味を示しているヤツがそこにいた。

「すまない。学園の規則に触れるから出せないんだ。機会があったら見せる」

「そう、分かったんスか。分かったッス! 同じクラスだから、実技の授業の時によろしくッス!」

「あぁ、分かった」

そう言いながら差し伸べられた手を握り握手をしていると、予鈴よれいが鳴る。

「予鈴が鳴ったな。もう座った方が良いんじゃないか?」

「そうするッス!」

彼はそう言いながら、一番前の方の席に座った瞬間に教室のドアが開き先生が入って来る。

「お前らホームルームを始めるから席に着け~!?」

ダリット先生はそう言った後に、少し間を置いてから教室を見渡すと話を始める。

「よし、ホームルームを始めるぞ!」

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

「何だ?」

「点呼てんこを取らないんですか?」

「ああ、心配しなくても大丈夫だ。俺は顔を一人一人覚えているから、誰がいる誰がいないか判断出来る。だから安心しろ」

模倣力もほうりょくがあるのか、もしくは判断力があるのか。どっちが正解なのか分からないが、一つだけ言える事はある。それはこの人はスゴい人かもしれない!

「分かりました。邪魔をしてしまってスミマセンでした」

「まぁ、問題はないから気にするな・・・・それよりもだ。お前らに話さなければいけない事があるから、俺の話をよく聞いておけよ!」

ダリット先生はそう言うと真面目な顔を俺達を見る。

「昨日の夜、下町の方で酒場に二人組の男が押し寄せ店員と客を殺し回ったそうだ」

殺人事件か。強盗か何かだろうな。

「これだけなら普通の話だが、事件の首謀者が元ガルジニオ教団の信者の二人組、つまり指名手配犯だ」

ダリット先生のその言葉を聞いた生徒達はざわつき始めるが、俺は眉間にシワを作り話を聞き始める。

「静かにしろ! ・・・・まぁ、この学園の敷地内は警備が厳重だから心配する必要はないが、町に行くヤツは注意するようにしてくれ。後、今日から授業を始めるが気を抜かず勉強に励はげむようにしろ。定期テストで赤点取ったら落第候補になるからな!」

『えぇ~!?』

このクラスにいるヤツらは元気が良いな。

「まぁ、俺はこのクラスのヤツは落第しないと信じているぞ話は以上だ。一時間目の授業は気を付けろよ。魔法術担当の先生は怒らせると怖いからな!」

ダリット先生はそう言うと教室を出て行くのを確認すると、カバンの中から手配書を取り出して見る。

昨日、セレス先生が言ってた二人組は一体何の目的でそんな事をするんだ? 逃亡生活をしているのなら、身を潜めながら大人しく生活していきながら様々な場所を転々するだろうに。

「・・・・一体何がしたいのか分からない」

直接本人に会って確かめるしかないだろうな。まぁ、会う気はないんだけど。

「それ、さっき先生が話してた二人組の手配書じゃないッスか!何でお前っちが持ってるんスか?」

手配書を見ていたらサルスが覗き込んでいた。

「手配書を人から貰ったからだ」

「へぇー、そうなんすかぁ~・・・・うわっ! 賞金が98万ルク!? 結構な額の賞金が掛かってるじゃないッスか!?」

「まぁ、そうだな」

冒険者ギルドによく貼ってある【ゴブリン討伐】は一匹500ルク。【ウルフ討伐】は800ルク。どちらも、五匹を倒してクエストクリアである。そしてそこに、クエストクリアの報酬金が加わるが地域ごとに料金が変わる。その二つと比べたら手に持っている手配書は破格の報酬金だ。

「捕まえたら大金ガッポリの有名人になれるんじゃないッスか!」

「確かにそうだな。でも、俺達みたいな学生がこの二人を捕まえようとしても無理だろう・・・・違うか?」

「まぁ、そうッスね」

「こう言う事はギルドとか兵士とかに任せるのが一番だ」

「同感ッスね」

「もうそろそろ授業が始まるから、自分の席に着いた方が良いぞ」

「了解ッス!」

サルスはそう言うと自分の席に座るのを見てから、しばらくの間ボーッとしていると、女の先生が教室に入って来る。

「おはようございます」

「・・・・?」

俺以外の全員が首を傾かしげている。

まぁ、無理もないか。担任の先生が、あんな風だから目の前の先生も、担任の先生みたいな感じに挨拶して授業を始めるだろう。と考えていたんだろう。

「あら、挨拶あいさつをしないのですね。先ずは自己紹介からね」

チョークを取り出してから、黒板に名前を書くと俺達に体を向けて自己紹介する。

「私の名前は【ビレリー・カルニア】今日から一年間、アナタ達の属性魔法の使い方を教えます。何か質問がある方は居ますか?」

魔法か。俺には無縁だが・・・・まぁ、授業は受けないとな。

「・・・・ん?」

何だ? 何かが近づいて来る。

俺がそんな事を思っている中、一人の学生が手を上げる。

「先生、質問があります」

「はい、何ですか?」

「僕が知っている限りですけど、属性魔法はその人の適用性によって使える属性と使えない属性が別れるですよね?」

「えぇ、そうですよ。例えるなら、火属性の適性がある人は水属性が扱い難くなります」

「使い難く? 使えないのではないのではなくて?」

「え?」

「え?」

何故か分からないが、お互いキョトンとした顔で見つめ合うと、ビレリー先生が考えているのか頭を捻り始める。

「う~ん・・・・ああ、なるほど!」

何か納得した様子の手を叩いてから、その男子学生に言い始める。

「もしかして、隣国から来ました?」

「え! はい」

「うんうん、なら話が早いですね。これはこの後の授業で言う事なんですけど、人は全属性を扱える事が出来ますよ」

「え! 本当ですか?」

「えぇ、本当よ。後の事はこの後の授業で、ってキミ! 今は授業中よ! 早く席に座りなさい!!」

先生が俺にそう言って来るがSIG GSRを持ちながら、窓の外を見回す。

元凶は校門前付近だな・・・・いた!? 

フードを被かぶって顔を隠している二人組が、校門の前に立っていた。

「いい加減にしないと先生は怒おこりますよ!!」

「怒るのは別に構わないけど、先生に質問をします」

「・・・・何ですか?」

先生の声に怒気を感じるが、それどころではないので話を続ける。

「今の時間、外で他のクラスで授業する予定ありましたか?」

「そんな予定は先生聞いてません。何を変な事を聞いているんですか。早く席に」

「じゃあ、校門の前にいるフード被った二人は誰だ? 警備? それとも学園に用がある客か? どちらにしろ嫌な気配を醸かもし出しているが」

俺の言葉にビレリー先生は、少し怯えた表情を見せると俺と同じ様に窓の外を覗き込む。

「え! ・・・・誰あの人達。私・・・・あんな人達しらない」

フード被った二人組はこちら気づいたのか、顔を向けて手をかざしてくるので、ヤバいと感じる。

「全員伏ふせろぉぉぉーーー!!?」

ビレリー先生を抱きドア側に押し倒した瞬間、教室の壁が吹き飛んだ。
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