【完結】対兄最強兵器として転生しましたが、お兄様は塩対応です

雪野原よる

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16.女神の軛

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 元から酷く荒涼とした大地なので、どんなに陥没しようが隆起しようがあまり気にならない。それは魔界のとても良い点だと思う。人口密度も低いことだし。
 好き勝手に壊したり付け足したり出来る。

 ……というようなことを、お兄様が穿ったクレーターを見ながら考えていた。

(すごく……はかどってる)

 地形改変が。

 何かが吹っ切れ過ぎている。一群れの魔物に対して迎撃するには、どう見ても過剰すぎる撃破力だ。次々と地面を穿っていくお兄様を眺めながら、「やっぱりこれが魔王の本性……」という納得しかなかった。

 だがかっこいい。とてもかっこいい。私がぽーっと見惚れている間に、魔物たちは綺麗に一掃されていた。

(あ、終わった)

 静まり返った暗い大地を睥睨して立つお兄様の前に、バニーズが長い耳を下げて跪いている。青白い魔力の余韻がお兄様の身に纏わりついて、炎のように周囲の夜気を揺らめかせていた。手下に傅かれる魔王、という構図がとても「悪玉」っぽい。いつもの金髪の人型であれば、もっとギャップというものを感じられたのだろうけれど、今のお兄様の、地獄から生まれて削ぎ落とされたような異形の姿であってもそれはそれで、違和感がなくて。

 つまり、何が言いたいのかというと。

「お兄様、魔王っぽくて素敵です!」

 その場に立ち尽くしたまま、思わず声を上げて褒め称えていた。

 これが褒め言葉になるのかどうか、かなり疑問があるにはある。お兄様が魔王なのは当然なのだから、その辺の人に向かって「人間っぽくて素敵です」と言ったのと同じだったりする? でも、どうしても気持ちの熱を伝えたくて、言葉が咄嗟に出てしまって──

「……」

 お兄様が音も立てず、無言で私を振り返った。

 黒く艶のある金属質の顔面に、人工的に入れられた亀裂のような仄明るい両眼の光。人間らしい動きを見せないそこから、はっきりした感情が読み取れないのはいつものことだけれど、次の瞬間、どこからか「ピロン!」と軽快な音が聞こえてきた。

(えっ)

 私はビクゥッ! としてしまった。

 当たり前だけれど、お兄様は自分が何かの数値を跳ね上げていてもそのことを知らない。音も聞こえていない。だから微動だにしないけれど。

 私だけが慌てている。

(何、今の?!)

 何かのステータスが上がったような音だった。好感度……? でも、お兄様は好感度MAXで、これ以上上がることはないはず。だったら、一体何が?

「……お兄様?」

 それ以上考えている暇はなかった。

 お兄様が動いたのだ。鎧に包まれたような黒く長い手が音もなく伸びて、ひたり、と冷たい感触が私の額に当たった。

「えっ?」

 その指先に触れられているのだ、と気付くのに時間がかかった。

 見た目の通り、金属質の指だ。触れられている部分から、熱が吸い出されていくような錯覚に陥る。

「私がいかに魔界全土に暴威を示そうとも、支配と信仰はまた別の領域だ。女神を崇めるもの、神を崇めるもの、人と同じように魔族も常に割れて不協和を起こしている」
「は、はいっ?」

 唐突な話題を振られて、ついて行けない私は目を白黒させた。

「女神と、神?」
「世界の天秤はニ神によって成り立つ。生の女神、死の神。というのは、女神の眷属であるお前には既知の話ではないのか?」
「ええ……、そうですね? そうだったような……?」

 あやふやに口ごもる。

 私がとても無知な存在みたいになっているけれど、その通りである。

 私に使命を託した自称「善の女神様」は、実は人間界で広く「生の女神」と呼ばれて信仰を集めている。各地に神殿も沢山ある。

 でも、実際にあのグダグダな様子を知っている私としては、真剣に参拝したり崇めたりする気にはなれなくて。一般に流布される神話だって、実際には明かされない裏があったり、色々と脚色されたりしているんじゃ? と疑ってかかるようになってしまった。その結果、なんとなく遠巻きにして、遠ざかっていたのだ。

 生の女神の対となる存在が死の神。というのも一般的に伝わる神話だ。

 本当のところは知らないけれど。やっぱり疑わしい。

 女神様がアレなのだから、神様もまたアレなのでは?

 ……いや、それはともかく。お兄様はいきなり、何を言おうとしているのだろう。

「お兄様?」

 とん、と額を軽く突かれた。痛くはない。

「お前に対する守護を強めねばなるまい。お前に我が真名を与え、守護と成す。アイゼイア・リシツィニアン・ユグノス、魔王としての名をゼフィリシグレツィオン・ディアニ・グルカーラ・セドニ」
「?!」

 呪文のように長い名前、それも半分の音は人のものではない。完全に魔境の音で、解読されない羊皮紙に記された古代魔法を耳元で読み上げられたかのようだった。

 驚愕。

 呆然とした私の鼓膜の上で、くっきりと音が跳ねる。聴き取れないのに、私はそれを魂の奥底で理解した。なんたって、真名だ。

 私が魔道士の端くれとして、未だに誰にもその名を告げていないのと同じように(人間界では、私は「ユグノス家の長女サーラ・ユグナノス」と呼ばれる)、魔力ある者は全て本当の名を隠す。騎士は主君に名を捧げ、夫は妻に、妻は夫に名を捧げるかもしれないが、その関係には常に支配/被支配の危うさが付き纏う。

 それが、

(あっさり与えられた)

 むしろ、恐怖を感じた。冷たい氷の上に立たされたみたいに、じわじわと背筋に震えが走る。

(本当にそれでいいの、お兄様?)

 いいはずがない。

 明け渡すものは甚大だ。お兄様大好きな私でさえ、お兄様に自分の名を明かすとなれば未だに躊躇う。命を投げ出して与えるほうがまだ楽かもしれない。賭けるのは尊厳そのものだからだ。

(幾ら好感度が9999だからって……)

 いや、これは好感度の問題なの?

(……私は、何かの運命を捻じ曲げてしまったのでは)

(よし! よくやりました! ようやく魔王の真名を手に入れましたね)

 唐突に、脈絡もなく、脳内いっぱいに澄み切った声がりんりんと鳴り響いた。

(よくぞ役割を果たしてくれました。流石は私の見込んだ魂です)
「え、え?」

 私の当惑の声は、光の無い空虚な場所に吸い込まれた。








 目をいっぱいに見開いているのに、何も見えない。

 身体の感覚がない。暗くもなければ明るくもない。何も無い場所に手のひらを伸ばしたところで何も見えず、私の指先は行方不明だ。

 それでも、人として藻掻かずにはいられなかった。

(お兄様? ……バニーズ?)

 頼りなく呼び声を放つ。喉も口も存在しないけれど、声だけは辺りを震わせて響く。

 そういう法則のまかり通っている場所らしい。

(覚えがある、ここは)

 16年前に訪れたことがある場所。私にとっては随分昔、何と言ってもこの世界に生まれ落ちる前の話だ。容易に忘れられる記憶ではなかった。

 かつて感じた、ひときわ清冽に輝く気配が、光の無い夜に上る月のように現れる。私に向かって近付いてくる。

「……女神様」
「そうです、私です。人を愛する心優しき善の女神です」

 記憶通りの声だ。澄み切って美しいけれど、自信満々なせいで少し上擦って聴こえる声。

 顔を顰めたところで、ここでは私自身にも感知できないのだけれど、もし今、顔があったとしたら、私は思い切り顰めていたと思う。

 その衝動を抑え込みながら訊ねる。

「あの、女神様。善の女神じゃなく、生の女神として崇められてるみたいですけど、実際はどっちなんですか?」
「生きているのは善いことでしょう? ですからどちらでも良いのでは?」
「……」

 女神様は相変わらずのようだ。

「それより、見事に役割を果たしてくれました。魔王たる存在を浄化してくれればと願っていましたが、あなたが真名を手に入れたとなれば、もはや魔王を制する力を手に入れたも同然です。これで世界の安寧は保たれる」
「え?」
「一息に屠るのもよし、その力の全てを剥ぎ取ってから世界の狭間の真空に封じ込めるもよし。散々手間を掛けさせられましたからね、ふふ、どのように手を下すか考えるのもまた楽しみで……」
「──ハァ?!」

 チンピラみたいな、としか形容できない程ドスのきいた声が、私の見えない喉奥から滑り出た。

 天使のような妹モードは終了しました。

 今は心の底から、ハァ?! と言いたい。

「私のお兄様を酷い目に遭わせるんですか、女神様?」
「なっ……仕方がないでしょう。魔王を放置しておけば、この世界は滅びます」
「今のお兄様はそんなことしません! 破壊の衝動に駆られてるわけでもなければ、闇落ちもしてないじゃないですか。ただちょっと情緒面が謎で天然なだけです。特に問題はありません」
「言い切りましたね……まあ、あなたが魔王を庇いたい気持ちは分からないでもないですが……」

 ふう、と女神様が溜息をつくのが感じられた。

「あれは死の神が創り出した兵器です。存在してはいけないものです」
「兵器兵器って、女神様までお兄様をメカ扱いするなんて。お兄様は生きています。大体、死ぬべき存在ならそれまでは生きてるのでは? 生の女神がその命を奪うなんて矛盾してませんか」
「うぐっ!」

 私の反論は効いたらしい。あと一息だ。

「それに、お兄様は至ってまっとうな人格者です。兄属性なのに監禁も洗脳もしないし、変態でもなければラスボスでもありません。兄として、すごく貴重な存在じゃないですか。それを女神様が簡単に貶めないで下さい」
「……はい?」

 ぽかんとされた。

 何を言っているのか分からない、という風で、

「兄属性なのに変態じゃない? 何ですかそれは?」
「え?」

 今度は私が戸惑う番だった。

「だって、女神様は兄妹もの創作に詳しいんでしょう? そんなことを言ってませんでしたか? あれ、私の気のせい……?」
「詳しいに決まっているでしょう! 私は人を愛し、人の創り出すものを愛しています。どれだけ多くの創作物クリエーションを見て、愛でてきたと思っているんです」

 その創作物の傾向が偏っているのは、今はあえて触れないことにして。

「だったら。まさか、女神様は気付いてなかったんですか?」
「何をです?」

 熱も冷気も無い。声以外に定まったものがない、ただ茫漠とした空間だけれど、なぜか空気がひりひりと張り詰めているような気がする。

 打ち明け話を待ち受けるような女神様の声もまた、小さく震えを帯びているように感じられた。

(そんな……女神様ともあろうものが、こんな重大な事実に気付かないなんて)

 深く息を吸い込んで、私は重々しく告げた。

「兄妹ものに関わらず、兄という存在が出てくる創作物の中で、兄は大抵ヤバい属性持ちです」
「えっ」
「兄妹ものであればストーカー多数。監禁常習。高確率でヤンデレ。闇が深いがゆえに◯◯◯とか◯◯◯とか普通にあり得ます」
「えっ」

 沈黙が落ちる。

 しばらく女神様の言葉を待ったけれど、絶句しているのか、ただ沈黙が長引いただけだった。仕方なく、言葉を継ぐ。
 
「女神様だって、お兄様が闇落ちした時専用のスキルとか授けてくれたじゃないですか。あれは、知っていて授けてくれたんじゃなかったんですか?」
「それは、魔王ならば闇落ちは当然ですし……しかし、その言いようではまるで、世の兄が皆変態みたいではないですか!」
「あくまで創作界の話です。それに、私のお兄様は変態属性などない、純粋で気高い美青年魔王様ですからね? それを滅しようとか、もはやそっちが悪の発想そのものですからね!」
「何を……何を言って……ああ……頭がぐらぐらしてきました」

 女神様が揺れている。

 ひょっとして、今なら、今こそ、付け込む隙があるかもしれない。

 ここにあるのは言葉だけだ。他には何も無い。ならば、言葉で戦うしかない。とにかく思い浮かぶ言葉全てを使って、私の全ての思考を振り絞って、女神様を洗脳……いや、翻意させてみせる。どんな手を使ってでも、私がお兄様を守り切ってみせるのだから……!






 ※上記の内容はフィクションであり、実在の創作物の傾向とは全く以って関係がありません。
 ※「創作界における兄=ヤバい率が高い」というのは大嘘です。
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