黙っている現場から 放課後ディサービス

こさ

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社長はそこまで考えていない

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正直に言うと、
社長はそこまで深く考えていない。

戦略もない。
哲学もない。
悪役を引き受ける覚悟、みたいな立派なものもない。

ただ、自分の子どもが障害児だった。
それだけだ。

自分の子どもたちの居場所をつくるために、
施設を建てた。
制度を使った。
それが、始まり。

だから、優先順位は最初から決まっている。
自分の子どもが一番。

他の子どもたちは、
申し訳ないけれど、
「制度を回すための枠」だ。



社長は、母子分離ができていない。
親であることと、支援者であることの境界が、
最初から溶けている。

本来なら、
一歩引くべき立場なのに、
社長は現場に入る。

支援者の顔で。
親の感情を持ったまま。

自分の子どもには、
誰よりも深く、長く、関わる。
関われてしまう。

それを「熱心」と呼ぶ人もいる。
でも、現場から見れば、
線が引けていないだけだ。



だから、判断は一貫しない。

ある利用者には厳しく、
ある利用者には甘い。
基準は、制度でも支援計画でもなく、
自分の感情に近いかどうか。

自分の子に似ている。
自分が理解できる。
自分が守りたい。

それ以外は、
どうでもいい、とは言わない。
言わないけれど、
後回しにはなる。



問題が起きたときも同じだ。

これは支援の問題か。
これはクレームか。
これは切るべきか。

そんな整理は、していない。

ただ、
「面倒かどうか」
「自分の手を煩わせるかどうか」

それだけで、
距離を変える。

直接「辞めてください」とは言わない。
言えない。
でも、関わりを薄くする。
担当を変える。
期待を削る。

相手が去るのを、
待つ。

社長は、悪役ではない。
ヒールでもない。
冷酷な支配者でもない。

もっと単純で、
もっと無自覚だ。

自分の世界がすべてで、
それ以外は背景。

その中心に、
自分の子どもがいる。

だから、
他の子どもが泣いても、
職員が疲れても、
それは「想定内」になる。



私は、この人を憎んでいない。
でも、尊敬もしていない。

ただ、はっきりわかったことがある。

この場所は、
「すべての子どものため」に存在していない。

「社長の人生の延長」として存在している。

だから、
矛盾も、えこひいきも、
説明のつかない判断も、
全部、起きる。

それを理解してから、
私は期待をやめた。

期待をやめた瞬間、
やっと、壊れずに働けるようになった。
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