3年2組の山田くん

ことのは

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日常、それは変わらない日々

山田くんは、方向音痴

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「そういや、方向音痴も治ったのか~?」

 笑いながら言う鉢須はちすに、俺は静かに首を横に向ける。

「方向音痴? 山田やまだが?」
「そうそう。この間、外でバッタリ会ってよ~。何してるかと思ったら、本屋探してるって言うじゃん。んで、場所聞いたらまさかの真逆。ある意味すごくね~」
「ちょっと迷っただけだ。別に迷子だった訳じゃ――」
「いやアレは迷子だろ~。どう考えたら、オレが行く高校付近でお前に会うんだよ。周り田んぼと畑で、どう考えても本屋があるとは思えない場所に来るんだから、マジ笑った」

 少しイラっとして鉢須に向き直る。

「そういうお前は、道覚えようと高校付近まで来てるって言ってたじゃないか。そんなに通うのが楽しみだったのか? 遠足前の小学生じゃあるまいし…」
「う、うるせーよ。ちゃんと本屋まで案内してやっただろ?」
「言いふらしていいとは、一言も言ってない」
「言いふらすなとも言われてねーし」
「ああいえばこういう…」
「こっちのセリフだ」

 鉢須と互いに見合わせれば、次の瞬間、みんなで笑い合った。
 いつもの日常。当たり前の様に繰り返してきた、そんな普通の1日だった。
 でも、それももうすぐ終わる…。

「でもほんと、卒業って実感ねーよなー。なんかこうしてるのが当たり前っていうかさー」
「明日卒業式だってのに、まだそんなこと言ってるのか? 鉢須」
「うるせーなー。オレだってちょっとは感傷に浸ったりするんだよ」
「まぁ分からなくはないが、別に悲しむ必要はないんじゃないか?」
「ユウの言う通りだよ、ハチ。別に一生の別れじゃないんだからさ」
「そうそう。会いたいときは会えばいいじゃん。まぁウチはいつでも優樹ゆうきに会えるけど~」
「何それ? 自慢? ほんと腹立つんだけどー」
「えへへ、いいでしょ~」
「うっざ」
「おいおい…」
「でもまぁ中村なかむらの言う通り、一生会えない訳じゃないんだ。寂しがる必要はないだろ」
「そうそう。俺等友達なんだから、寂しくなったらいつでも連絡してこいよ~、涼太りょうた
「するする~。彼女が出来てもする~」
「お前が彼女とか、俺想像つかないわ…」
「カケひどくねー!? オレだって高校生になったら彼女の1人くらい出来るわ!」
「今まで出来たことない奴がなーに言ってんだか…」
「これからだろ! こ・れ・か・ら!」
「それは妄想って言うんだぞ。妄想」
「妄想じゃねーよ! てか、マジみてろよ! オレ絶対彼女作ってやるからな!」
「期待しないでおくよ」
「そこは期待しろよ!」
「じゃあ今年もらったバレンタインのチョコは?」
「俺36個」
優斗ゆうとに勝ったー。俺38個」
「はぁ!? かけるに負けるとかマジない…」
「君達の個数なんてどうでもいいんだよ。んで、鉢須は何個だったんだ?」
「…えっと、5個」
「何だ。お前5個も貰ったのか。良かったじゃん」
「全然良くねーよ。お前等の方が多いじゃねーか」
「いやいや、俺等言うほど多くないからな」
「そうそう。第一、俺等より多い奴他にいるからな」
「は? 誰だよ」
「ウチ47個。部活の後輩や友達からもらったよ」
「あたしも47個だったかな? 数はあんまり覚えてないや~」
「え? 女子に負けたんだけど…」
「でもあたし達だってそんなに多くないよ」
「うんうん。ウチも少ない方だし」
「じゃあ誰が1番多いんだ?」
「…山田、今年何個貰ったんだ?」
「はっきりとした数は覚えてないんだが…。それでもいいか?」
「おう」
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