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第二章 中級編開始
第260話 OLサツキの中級編三日目の風呂上がりの読書
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サツキは呆れながらも続きを読み進めた。
ウィンブリーズは連続使用しても気温は初回のものよりも更に下がることがないということが分かった、との研究結果がそれっぽく書いてある。一応研究してますよ、な体を取っていると思われる。
あと一回でも何かを唱えたら魔力が尽きてしまう。それでは楽しみにしている晩酌が台無しになってしまう。何か手はないか。すると弟子が風呂に入れと催促してきたので、風呂のお湯を何か涼しげな物に変えてみたらどうだろう、と思ったのがきっかけだったという。
いそいそと風呂場へ向かい、お湯を出してくれる獅子像のレオニアに交渉してみたところ、浴槽を丁寧に洗うという条件で出してくれたのがあのスライム風呂だったという。というか、レオニアと交渉って。どうやって意思の疎通を図っているんだろうか。
結果、かなり弾力が強いものの、お湯を足して薄めることで快適といえる程度の緩さのスライム風呂が出来上がった。これを記憶しておく様に、とレオニアに言い渡してマグノリアは風呂を楽しんだ。つまり、先程出て来たスライム風呂はあれでもまだ緩い方なのだ。初回はどれだけ弾力があったんだろう。
折角なので弟子にも涼しい風呂を味わせてやりたいと、弟子思いのマグノリアは弟子に声を掛けた。結果、カンカンになって怒られ、以後風呂のお湯は弟子が沸かすことになったという。さもありなんだ。
ユラがくすくすと笑う。そこそこ呑んだのか、目の下が仄かにピンク色になっていた。肌の色が白いので、透けている様でとても綺麗だと思った。
「な? いいだろマグノリア」
「私はリアムに同情するよ」
どれだけ振り回されたのだろう。とても大変な毎日だったに違いない。
「そういや僕っていうのは止めたのか?」
「あ」
もうすっかり忘れていた。
「僕」
「私でいいよ。先生俺に交代したんだし」
「でもアールがなんて言うかなあ……」
私と言うのをやめろと言ってきたのはアールだ。勝手に止めてしまって、しょんぼりしないだろうか。
すると、ユラがきっぱりと言い切った。
「あいつは三歩歩いたら忘れるから大丈夫だ」
「は、ははは……」
するとユラが思い出した様に顔を上げた。
「鍋のことすっかり忘れてた」
こっちもこっちでそれなりに忘れやすいらしい。
「美味しそうな湯気が出てたよ」
「この間のダンジョンで冷凍しておいたアルバ蜥蜴の切り身を一切れ持って帰ってきてたから、野菜と一緒に煮込んでるんだ」
いつの間に持参していたのだろうか。だがあれはかなり美味しかったので、サツキはわくわくした。それにお腹も空いてきた。
「食べたい!」
「いい感じに出汁が出てると思うんだよな。あっちに移動するか」
「うん!」
サツキとユラは、グラスを持って台所に移動することにした。
ウィンブリーズは連続使用しても気温は初回のものよりも更に下がることがないということが分かった、との研究結果がそれっぽく書いてある。一応研究してますよ、な体を取っていると思われる。
あと一回でも何かを唱えたら魔力が尽きてしまう。それでは楽しみにしている晩酌が台無しになってしまう。何か手はないか。すると弟子が風呂に入れと催促してきたので、風呂のお湯を何か涼しげな物に変えてみたらどうだろう、と思ったのがきっかけだったという。
いそいそと風呂場へ向かい、お湯を出してくれる獅子像のレオニアに交渉してみたところ、浴槽を丁寧に洗うという条件で出してくれたのがあのスライム風呂だったという。というか、レオニアと交渉って。どうやって意思の疎通を図っているんだろうか。
結果、かなり弾力が強いものの、お湯を足して薄めることで快適といえる程度の緩さのスライム風呂が出来上がった。これを記憶しておく様に、とレオニアに言い渡してマグノリアは風呂を楽しんだ。つまり、先程出て来たスライム風呂はあれでもまだ緩い方なのだ。初回はどれだけ弾力があったんだろう。
折角なので弟子にも涼しい風呂を味わせてやりたいと、弟子思いのマグノリアは弟子に声を掛けた。結果、カンカンになって怒られ、以後風呂のお湯は弟子が沸かすことになったという。さもありなんだ。
ユラがくすくすと笑う。そこそこ呑んだのか、目の下が仄かにピンク色になっていた。肌の色が白いので、透けている様でとても綺麗だと思った。
「な? いいだろマグノリア」
「私はリアムに同情するよ」
どれだけ振り回されたのだろう。とても大変な毎日だったに違いない。
「そういや僕っていうのは止めたのか?」
「あ」
もうすっかり忘れていた。
「僕」
「私でいいよ。先生俺に交代したんだし」
「でもアールがなんて言うかなあ……」
私と言うのをやめろと言ってきたのはアールだ。勝手に止めてしまって、しょんぼりしないだろうか。
すると、ユラがきっぱりと言い切った。
「あいつは三歩歩いたら忘れるから大丈夫だ」
「は、ははは……」
するとユラが思い出した様に顔を上げた。
「鍋のことすっかり忘れてた」
こっちもこっちでそれなりに忘れやすいらしい。
「美味しそうな湯気が出てたよ」
「この間のダンジョンで冷凍しておいたアルバ蜥蜴の切り身を一切れ持って帰ってきてたから、野菜と一緒に煮込んでるんだ」
いつの間に持参していたのだろうか。だがあれはかなり美味しかったので、サツキはわくわくした。それにお腹も空いてきた。
「食べたい!」
「いい感じに出汁が出てると思うんだよな。あっちに移動するか」
「うん!」
サツキとユラは、グラスを持って台所に移動することにした。
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