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第四章 アルティメット編開始
第651話 魔術師リアムのアルティメット編・病院ニ日目の午後
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看護師が現れてからは、リアムと祐介はその場にいると邪魔そうだったので廊下で待つことにした。暫く待っていると、ユメがひょっこりと顔を出した。申し訳なさそうに手を合わせている。
「ごめん、話出来るかと思ったけど、この後今後の予定とか色々と決めないといけなくなっちゃって」
「勿論、そちらを優先してくれ」
リアムが言うと、祐介も同意した。
「リアム。本当にありがとう」
ユメはリアムの両手を取ると、目に涙を浮かばせた。リアムはそれに対し微笑みで返した。すると、祐介が思い出したかの様にユメに向かって言った。
「あ、明日社長に話すんでしょ? 僕達も立ち会うから」
「え!?」
「でしょ? サツキちゃん」
祐介がリアムに尋ねたので、リアムは即座に頷いてみせた。
「当然だな」
「え、いや、でも」
「三階の他の者の手前もあるからな、このまま誤魔化して何事もなかったかの様に済ますことは出来んのだ」
「……それは、そう、だけど」
ユメは歯切れが悪い。だから、リアムは言った。
「私はお前を友だと思っている。だからここは、この私の為に皆にきちんと弁明し受け入れてもらう様努力をしてはもらえないだろうか」
そう言って、手を握り返した。ユメは返事をしない。
「頼む」
リアムは頭を下げた。
「ちょ、ちょっとリアム」
「早川さん、意地を張るのも時には大事だけど、それで大事なものをなくして取り返しが付かなくなることもあるんじゃない?」
祐介がそう言うと、ユメは祐介を軽く睨みつけた。
「その台詞、そっくりそのままあんたに返すわよ」
「……何の話」
「さてね、自分の胸に聞いてみたら?」
また言い争いが始まりそうになってしまったので、リアムは慌てて間に入った。
「こら、二人共やめんか」
すると、ふう、とユメが息を吐いた。
「……リアムの為、ね」
「そうだよ」
祐介の返事は短い。
すると、病室からユメを呼ぶ声がした。
「あ、はい、すぐいきます! ――分かった。やる。やればいいんでしょ」
「本当か!?」
「言っとくけど、あんたの為だから! 決して山岸くんに言われたからじゃないからね!」
リアムはその言葉を聞いて、嬉しく思い、満面の笑みを浮かべた。
「有り難い」
「全く、お人好しだね」
祐介はそう言うと、リアムの腕をそっと引っ張ってユメから外した。
「あんたこそ意地っ張りな癖にね」
ユメは祐介に向かって軽く笑いながらそう言うと、二人に手を振った。
「――じゃあ、明日」
「ちゃんと呼ぶのだぞ」
「分かってるわよ」
祐介が、リアムの手を引っ張った。
「もう邪魔になるから、行こう」
「ああ、そうだな。では」
リアムが手を振ると、ユメは頷いてから病室へと消えていった。それを見届けて、二人は病院の外へと向かう。
ユメの言葉の意味は、リアムにはよく分からなかった。祐介がどう意地っ張りだというのだろうか。
「祐介は何か意固地になっていることでもあるのか?」
「……黙秘」
「祐介?」
リアムが尋ねても、祐介は答えてはくれなかった。
「水着買いに行こう?」
話す気はない、ということだろう。リアムはそれ以上聞くのは今は止めておいた。これも、全て片付いた時にもう一度尋ねればいい。
「その前にあれが食べたい」
「冷やし中華ね。了解」
祐介がリアムの手を強く握った。
「ごめん、話出来るかと思ったけど、この後今後の予定とか色々と決めないといけなくなっちゃって」
「勿論、そちらを優先してくれ」
リアムが言うと、祐介も同意した。
「リアム。本当にありがとう」
ユメはリアムの両手を取ると、目に涙を浮かばせた。リアムはそれに対し微笑みで返した。すると、祐介が思い出したかの様にユメに向かって言った。
「あ、明日社長に話すんでしょ? 僕達も立ち会うから」
「え!?」
「でしょ? サツキちゃん」
祐介がリアムに尋ねたので、リアムは即座に頷いてみせた。
「当然だな」
「え、いや、でも」
「三階の他の者の手前もあるからな、このまま誤魔化して何事もなかったかの様に済ますことは出来んのだ」
「……それは、そう、だけど」
ユメは歯切れが悪い。だから、リアムは言った。
「私はお前を友だと思っている。だからここは、この私の為に皆にきちんと弁明し受け入れてもらう様努力をしてはもらえないだろうか」
そう言って、手を握り返した。ユメは返事をしない。
「頼む」
リアムは頭を下げた。
「ちょ、ちょっとリアム」
「早川さん、意地を張るのも時には大事だけど、それで大事なものをなくして取り返しが付かなくなることもあるんじゃない?」
祐介がそう言うと、ユメは祐介を軽く睨みつけた。
「その台詞、そっくりそのままあんたに返すわよ」
「……何の話」
「さてね、自分の胸に聞いてみたら?」
また言い争いが始まりそうになってしまったので、リアムは慌てて間に入った。
「こら、二人共やめんか」
すると、ふう、とユメが息を吐いた。
「……リアムの為、ね」
「そうだよ」
祐介の返事は短い。
すると、病室からユメを呼ぶ声がした。
「あ、はい、すぐいきます! ――分かった。やる。やればいいんでしょ」
「本当か!?」
「言っとくけど、あんたの為だから! 決して山岸くんに言われたからじゃないからね!」
リアムはその言葉を聞いて、嬉しく思い、満面の笑みを浮かべた。
「有り難い」
「全く、お人好しだね」
祐介はそう言うと、リアムの腕をそっと引っ張ってユメから外した。
「あんたこそ意地っ張りな癖にね」
ユメは祐介に向かって軽く笑いながらそう言うと、二人に手を振った。
「――じゃあ、明日」
「ちゃんと呼ぶのだぞ」
「分かってるわよ」
祐介が、リアムの手を引っ張った。
「もう邪魔になるから、行こう」
「ああ、そうだな。では」
リアムが手を振ると、ユメは頷いてから病室へと消えていった。それを見届けて、二人は病院の外へと向かう。
ユメの言葉の意味は、リアムにはよく分からなかった。祐介がどう意地っ張りだというのだろうか。
「祐介は何か意固地になっていることでもあるのか?」
「……黙秘」
「祐介?」
リアムが尋ねても、祐介は答えてはくれなかった。
「水着買いに行こう?」
話す気はない、ということだろう。リアムはそれ以上聞くのは今は止めておいた。これも、全て片付いた時にもう一度尋ねればいい。
「その前にあれが食べたい」
「冷やし中華ね。了解」
祐介がリアムの手を強く握った。
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