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アーシュはミチカのあせりなどどこ吹く風で、歩くたびに揺れる乳房をたゆんたゆんと手のひらで弾ませて楽しんでいる。
「アーシュ……歩きながらわたくしの胸で遊ぶのはやめてください」
「これは失礼した。神々しくもいやらしい主の乳房には敬意を払って触れねばな。調子に乗ってしまってすまない。明日になればこの身の程知らずの奴隷に思う存分、鞭をふるってよいぞ」
「いえそれは別に、ひゃっ!」
アーシュは改めて両脇から手を入れて乳房に指をめりこませた。
ガウンは左右に大きくはだけ、両の胸が丸出しである。それでもアーシュは歩みを止めないので、その状態でミチカも歩かねばならなかった。
家族と休暇を過ごすための別荘の廊下を、破廉恥な格好で破廉恥なことをしながら歩く。「あらあら。ミチカも大人になったものねえ」母のおっとりした声が聞こえて来るようだった。
(しかし相手は、魔王なのです、お母さま)
乳頭の周りを円を描くように撫でられれば、性戯に慣らされたミチカの身体は意思に反して、さらなる刺激を求めて火照り、息は荒くなる。艶のある声も漏れてしまう。
快楽に従順なその反応を褒めるように、アーシュは桃色の乳頭をキュッとつまんだ。
「ん、ふぅ……っ」
「主、足が止まっているぞ」
膝で尻を突かれてまた歩き出す。なんたる屈辱だろう。
それでもまだつん、つんと、しつこく突かれて、さすがに抗議しようとしたところでハッと気がついた。
(お尻に当たっているのはまさか、チンポでは……? いえそんなまさか……やっぱり膝、かしら。でも待って。チンポかも……チンポだわ。このリズムは絶対チンポだわ)
背中に拳銃を突き付けられた人質のごとく、尻にあたるものを意識しながらミチカは震える足を交互に動かした。
ようやくゲストルームにたどり着くと、力尽きるようにソファに倒れ込んで、すかさず後ろを振り向いた。
思ったとおり、アーシュのそこは見事なテントを張っており、笑えないほどガウンが盛り上がっていた。
(やっぱりチンポだった)
股間に見入っていたミチカは、はだけたままの胸元をあわててかき合わせ、アーシュを見上げた。
「アーシュ、さっきの命令は本気なのですか?」
ミチカにチンポを挿れたい、と、彼はそう言った。
世界征服でなく。
「私が冗談でそんなことを言うと思うのか?」
「だって、この前、あなたは私の魔素で世界征服がしたいと言っていましたのに……」
「世界征服をしたい、か。私がそう言ったのか?」
「はっきりとではないですが、そう匂わせました」
アーシュは魔王で、魔王の本能は支配だからと。
にやりと悪い顔で笑いながら「世界をくれてやる」とそそのかしたではないか。
だからミチカはアーシュを危険人物と判断して、一方的に契約を解除しようとしたのだ。
「確かに匂わせたことは否定しない。しかし、この世界よりも主のほうがそそられるし、ずっと美味しそうなのだから仕方なかろう。魔族は欲望に正直なのだ。支配するのなら主のほうがいい」
「そんな……」
この話は終わりだ、というように、アーシュはミチカをソファに押し倒して唇を奪う。
しかしミチカは納得できなかった。なぜ、わざわざ世界征服を匂わせたのだろう。あんなことがなければ——。
「ん、は、まっ、まって、まだ話は終わっていません!」
「なんだ、主は世界征服を選ばせたいのか? そんなに言うのなら考え直さなくもないが……」
「か、考え直すのもあり、なのですか」
アーシュは鷹揚に頷いた。
「ああ。なんだかんだ言っても私はおまえの奴隷だ。おまえが悦ぶ姿に興奮する雄豚なのだ。お預けされるのもまた一興」
聞きたいことの答えではなかったが、アーシュの申し出は意外だった。
チンポをやめて、世界征服に……?
アーシュの美貌が目の前にある。その瞳の奥にはいつになく真摯な光を宿し、頼めば命令を変えてもいいと言っている。
わずかな逡巡のあと、ミチカは唾を飲み込んだ。
(世界が魔王のものになってしまう。それは……あってはならないことだわ)
いくらアーシュが許しても、処女の代わりにこの世界を差し出すことはできない。
一瞬でも迷った自分を恥ずかしく思い、ミチカは拳を握りしめた。
もう、腹をくくるしかないのだ。
「アーシュ……。契約違反を犯したのはわたくしです。なのでその責を負うのはわたくしのみ。命令はそのまま受け入れます。あなたのチンポで、処女膜開通いたします」
「よいのだな?」
アーシュの手が優しくミチカの頬を包む。
その温かさに、ミチカの瞳から真珠のような大粒の涙がぽろぽろとあふれて零れ落ちていった。
「はい。で、でも、アーシュ、わたくし……本当に……、怖いのです。チンポが怖いのです……」
拭いきれない涙がアーシュの指を濡らしていく。
「だって、あんなに大きくて、硬くて、凶暴で、卑猥なかたちで、味も匂いもいやらしくて我儘で……そんな恐ろしいものがわたくしのアソコを侵略するだなんて……考えただけで身体の奥に震えが……」
「主よ……」
泣きじゃくるミチカの頭をやさしく引き寄せて、幼児をあやすように背中をさする。
「いい子だ、泣くな、主。大丈夫だ」
「っ、わかって、いますっ。いずれは通らねばならぬ道……それに、あなたのチンポとは初対面というわけではありません。眠っているチンポはとても愛らしかったですし……っ」
「すまないがその状態に戻すことはしばらくできぬ」
「ううーっ」
抱きついてぐずるミチカをよしよしと撫でて落ち着くのを待ち、ようやく涙も止まっところでアーシュは彼女の脇に手を入れ、膝を掬って抱き上げた。
恭しく、姫を抱く騎士のように。
「私はこれからおまえを犯すが、忠実なる奴隷であることは変わらぬ。奴隷は主人の快楽を優先させるのものだ。だから安心して身を任せろ、主よ」
「アーシュ……」
任せても、良いのだろうか。
たくましい腕に抱かれてミチカは思う。
(怖いのは同じなら、初めてがアーシュで良かったのかも……)
この漠然とした、理由のない信頼がどこから来るのか分からなかった。
しかし心は不思議と落ち着いてきて、ベッドへ連れて行かれてもミチカはもう逃げ出したいとは思わなかった。
「よいな? ミチカ」
「はい……」
肩から、するりとガウンが落ちた。
「アーシュ……歩きながらわたくしの胸で遊ぶのはやめてください」
「これは失礼した。神々しくもいやらしい主の乳房には敬意を払って触れねばな。調子に乗ってしまってすまない。明日になればこの身の程知らずの奴隷に思う存分、鞭をふるってよいぞ」
「いえそれは別に、ひゃっ!」
アーシュは改めて両脇から手を入れて乳房に指をめりこませた。
ガウンは左右に大きくはだけ、両の胸が丸出しである。それでもアーシュは歩みを止めないので、その状態でミチカも歩かねばならなかった。
家族と休暇を過ごすための別荘の廊下を、破廉恥な格好で破廉恥なことをしながら歩く。「あらあら。ミチカも大人になったものねえ」母のおっとりした声が聞こえて来るようだった。
(しかし相手は、魔王なのです、お母さま)
乳頭の周りを円を描くように撫でられれば、性戯に慣らされたミチカの身体は意思に反して、さらなる刺激を求めて火照り、息は荒くなる。艶のある声も漏れてしまう。
快楽に従順なその反応を褒めるように、アーシュは桃色の乳頭をキュッとつまんだ。
「ん、ふぅ……っ」
「主、足が止まっているぞ」
膝で尻を突かれてまた歩き出す。なんたる屈辱だろう。
それでもまだつん、つんと、しつこく突かれて、さすがに抗議しようとしたところでハッと気がついた。
(お尻に当たっているのはまさか、チンポでは……? いえそんなまさか……やっぱり膝、かしら。でも待って。チンポかも……チンポだわ。このリズムは絶対チンポだわ)
背中に拳銃を突き付けられた人質のごとく、尻にあたるものを意識しながらミチカは震える足を交互に動かした。
ようやくゲストルームにたどり着くと、力尽きるようにソファに倒れ込んで、すかさず後ろを振り向いた。
思ったとおり、アーシュのそこは見事なテントを張っており、笑えないほどガウンが盛り上がっていた。
(やっぱりチンポだった)
股間に見入っていたミチカは、はだけたままの胸元をあわててかき合わせ、アーシュを見上げた。
「アーシュ、さっきの命令は本気なのですか?」
ミチカにチンポを挿れたい、と、彼はそう言った。
世界征服でなく。
「私が冗談でそんなことを言うと思うのか?」
「だって、この前、あなたは私の魔素で世界征服がしたいと言っていましたのに……」
「世界征服をしたい、か。私がそう言ったのか?」
「はっきりとではないですが、そう匂わせました」
アーシュは魔王で、魔王の本能は支配だからと。
にやりと悪い顔で笑いながら「世界をくれてやる」とそそのかしたではないか。
だからミチカはアーシュを危険人物と判断して、一方的に契約を解除しようとしたのだ。
「確かに匂わせたことは否定しない。しかし、この世界よりも主のほうがそそられるし、ずっと美味しそうなのだから仕方なかろう。魔族は欲望に正直なのだ。支配するのなら主のほうがいい」
「そんな……」
この話は終わりだ、というように、アーシュはミチカをソファに押し倒して唇を奪う。
しかしミチカは納得できなかった。なぜ、わざわざ世界征服を匂わせたのだろう。あんなことがなければ——。
「ん、は、まっ、まって、まだ話は終わっていません!」
「なんだ、主は世界征服を選ばせたいのか? そんなに言うのなら考え直さなくもないが……」
「か、考え直すのもあり、なのですか」
アーシュは鷹揚に頷いた。
「ああ。なんだかんだ言っても私はおまえの奴隷だ。おまえが悦ぶ姿に興奮する雄豚なのだ。お預けされるのもまた一興」
聞きたいことの答えではなかったが、アーシュの申し出は意外だった。
チンポをやめて、世界征服に……?
アーシュの美貌が目の前にある。その瞳の奥にはいつになく真摯な光を宿し、頼めば命令を変えてもいいと言っている。
わずかな逡巡のあと、ミチカは唾を飲み込んだ。
(世界が魔王のものになってしまう。それは……あってはならないことだわ)
いくらアーシュが許しても、処女の代わりにこの世界を差し出すことはできない。
一瞬でも迷った自分を恥ずかしく思い、ミチカは拳を握りしめた。
もう、腹をくくるしかないのだ。
「アーシュ……。契約違反を犯したのはわたくしです。なのでその責を負うのはわたくしのみ。命令はそのまま受け入れます。あなたのチンポで、処女膜開通いたします」
「よいのだな?」
アーシュの手が優しくミチカの頬を包む。
その温かさに、ミチカの瞳から真珠のような大粒の涙がぽろぽろとあふれて零れ落ちていった。
「はい。で、でも、アーシュ、わたくし……本当に……、怖いのです。チンポが怖いのです……」
拭いきれない涙がアーシュの指を濡らしていく。
「だって、あんなに大きくて、硬くて、凶暴で、卑猥なかたちで、味も匂いもいやらしくて我儘で……そんな恐ろしいものがわたくしのアソコを侵略するだなんて……考えただけで身体の奥に震えが……」
「主よ……」
泣きじゃくるミチカの頭をやさしく引き寄せて、幼児をあやすように背中をさする。
「いい子だ、泣くな、主。大丈夫だ」
「っ、わかって、いますっ。いずれは通らねばならぬ道……それに、あなたのチンポとは初対面というわけではありません。眠っているチンポはとても愛らしかったですし……っ」
「すまないがその状態に戻すことはしばらくできぬ」
「ううーっ」
抱きついてぐずるミチカをよしよしと撫でて落ち着くのを待ち、ようやく涙も止まっところでアーシュは彼女の脇に手を入れ、膝を掬って抱き上げた。
恭しく、姫を抱く騎士のように。
「私はこれからおまえを犯すが、忠実なる奴隷であることは変わらぬ。奴隷は主人の快楽を優先させるのものだ。だから安心して身を任せろ、主よ」
「アーシュ……」
任せても、良いのだろうか。
たくましい腕に抱かれてミチカは思う。
(怖いのは同じなら、初めてがアーシュで良かったのかも……)
この漠然とした、理由のない信頼がどこから来るのか分からなかった。
しかし心は不思議と落ち着いてきて、ベッドへ連れて行かれてもミチカはもう逃げ出したいとは思わなかった。
「よいな? ミチカ」
「はい……」
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