4 / 15
序章
7月21日④
しおりを挟む教室に着き、夏休み前最後のホームルームが終わった。
宿題を配られた瞬間だけ教室は静まり返ったが、今は先程の静けさが嘘のように騒がしい。
「須藤は応援団に入ってた?」
「俺は入ってないぞ。八重野は?」
「私ももちろん入ってないよ。夏休みに練習するの大変そうだし」
うちの学校は夏休み明け割とすぐに体育祭がある。そのため夏休み前に団長を決め、応援団員を募集して夏休みに練習するのが例年の流れとなっている。
「じゃあ夏休み中にもし出会ったらよろしくな」
「考えとくね~」
「おい!」
あはは~と笑いながら八重野は教室を出ていった。
このあと漫研の集まりがあるため、俺も出るかと席を立った。
最後に二条さんの席を見る。友達と何かを話しているみたいだ。2学期からは俺もあんな風に……。
そんなことを考えながら俺は教室を出た。
漫研の部室前についた。この部室は普段移動教室のため、あまり使われていない。
部室の扉を開ける。そこには5人の部員がすでに集まっていた。
「お、来たな零矢」
「どうも。お久しぶりです」
漫研は俺含めて6人の部員がいる。各学年2人ずつのメンバー構成だ。
先程声をかけてくれたのが部長の3年生、牧翔吾さん。
俺を除いたら唯一の男性部員だ。
「じゃ、全員揃ったから夏休みの予定を発表する」
みんなが部長に注目する。
「8月1日に花火大会をします。以上!」
「「「はーい」」」
想像通りというか、去年と同じ予定だったので2・3年に驚きはない。
1年生2人は初めての夏休みでの部活行事は何をするのかと期待があったのか少しぽかんとしていた。
「今日は解散するけど、何か言うことある人? 秋山なんかある?」
部長に名指しされたのは副部長で3年生の秋山律歌さん。
「特になし」
「でしょうね!」
1年生はまたしてもぽかんとしていたが、他の部員からするといつものパターンなのでスルーした。
「今日は解散! みんな夏休み楽しもうぜ!」
部長の解散の挨拶を聞いてそそくさと帰り支度を始めた。
「あ、あの、須藤先輩!」
後ろから声をかけられた。声の主は1年生の七森小雪。
「どうした? 七森」
「あの、えと、夏休みって活動しないんですか? あ、普段もしてないですけど……」
「おう! いつもどおり活動はないぞ」
「で、ですよね……」
七森は自分の胸の前で人差し指をくねくねさせていた。
「七森と岡尾はこんなに活動してなくて不満とかないか?」
七森の後ろにちょこんと座っていた同じく1年生の岡尾ひろみにも声をかけた。
「私は活動しないって聞いていたので不満なんてゼロですよ」
「わ、私は……はい」
「七森は漫画好きって言ってたもんな。別に無理しなくていいぞ?」
「無理なんてそんな! わ、私はこの部活の雰囲気が好きですし、それに……」
ちらっと俺の目を見てすぐに逸した。
「な、なんでもないです。ごめんなさい」
「お、おう。そうか。なんかあったらいつでも相談してこいよ」
あ、ありがとうございます。と小声で言って小森は部室から出ていった。
「先輩も罪な男ですね」
「どういう意味だよ」
岡尾がニヤニヤした表情で俺を見てきた。
「まぁまぁ、また1日に会いましょう」
終始にやけながらそう言った岡尾に軽くチョップをして自分の鞄を手にとった。
いたーい。パワハラだー。と訴えかけてきた岡尾を無視して俺は帰路についた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる