イフルート

如月りょう

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序章

7月21日と…

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 終業式とホームルームだけ (部活? なにそれ) だったので、帰っている現在はまだお昼前だ。
 帰ったらお昼食べてバイトまでちょっと寝るかーなんて考えながら明日からの夏休みのことを考える。
 とりあえず8月1日と15日は予定がある。あれ、バイト以外に夏休みの予定が2日も埋まってるなんて俺ってリア充?? なんて、本当のリア充が聞いたら発狂しそうな予定に自分自身も驚愕している。
 このままだとバイトまみれの夏休みになりそうな予感に軽く恐怖を覚えるが、あかり先輩に会えるならそれでもいいかとも思える。あとついでに五関も。

 とりあえず二条さんと仲良くなる計画をたてようと思考を研ぎ澄ます。
 まず最初になんて連絡を取ろうか。初めての連絡ほど緊張するものはない。
 最初から遊びに誘うのは間違ってるし、かと言って挨拶だけっていうのも連絡する意味がない。
 難しいなぁ、なんて連絡しようかなぁ、と考えていると2人の遊んでいる小学生が目に入った。ボールで遊んでいるみたいで、自分の昔を思い出した。あのときは何も考えずに遊ぶだけで楽しかったな。

 そういえばあの子は何してるんだろ。確か小学校の途中で転校したんだっけ。

『まいちゃん』

 名字とどこに転校したかは忘れてしまったが、あのときはすごく後悔した記憶がある。そうならないためにも、二条さんには必ず……!

「ごめーん、変なとこ投げた」
「いいよー」

 考えている最中、先程の小学生2人の会話が聞こえてきた。どうやら遊んでいたボールが遠くにいってしまったらしい。そのボールはコロコロ転がって道路に止まった。

「なんかやばそうだな、これ」

 なんとなく嫌な予感がしたので俺もボールに早足で駆け寄る。小学生の方が先についてボールを拾い上げる。すると遠くから明らかにスピードを無視したトラックが突っ込んできた。

「ほらな!」

 俺はダッシュに切り替えて小学生の方に近づく。

「後ろ! あぶねえぞ!!」

 俺は普段出さないような大きな声で叫んだ。
 小学生にも聞こえたようで、後ろを振り返った。ただ怖くて動けないのか、その場でしゃがんだままだ。俺はガードレールを飛び越えて小学生のもとにたどり着くが、トラックはスピードを緩める気配がない。とっさに俺は小学生を投げ飛ばした。2人共は助からないだろう。せめてこの子だけでも助かってくれと願うと同時に今まで経験したことがないような衝撃が俺の体を襲った。
 痛みは感じなかった。体の感覚がすでに無かった。仰向けのまま顔も動かせない。ああ、これが死かと青い空を見つめながら悟った。

―――さっきの小学生は無事かな。

―――今日のバイト行けないや。

―――親孝行できなかったな。

―――二条さんに告白できなかった……。

 色んな思いが駆け巡る。空が霞む。零矢と呼ぶ声が聞こえた気がした。返事ができない。何も見えなくなる。俺は意識の外へいった……。





「おーい。起きろー」

 どこからか声が聞こえる。なんだか懐かしい声な気がした。俺は目を開ける。
 そこには最後に見た青空ではなく、白い世界が広がっていた。
 周りを見渡す。なにもない。辺り一面真っ白で、この世ではないとすぐに分かった。

「あー、やっぱ死んだか」
「よくわかってんじゃん」

 声のしたほうを見る。先程の声と一緒だったので、同一人物だろう。
声の主は見た目は20代の女性のように見える。しかし人でない。それがわかったのは、彼女が明らかに浮いていたからだ。

「もしかして天使の類ですか?」
「天使みたいに可愛いなんて、正直だねぇ」
「言ってねえ」

 言った瞬間、天使? が俺を羽交い締めにしてきた。

「どうだ、まいったかあ~」
「ギ……ギブギブギブッ」

 笑いながら羽交い締めをといてくれた。

「いってぇ……。天使も物理攻撃すんのかよ」
「するに決まってんじゃん。あと天使じゃないし」
「じゃあなんだ?プロレスラーか?」
「またしてほしい?」

 天使(仮)は腕をぐるぐる回してこちらに近づいてくる。

「はい、冗談に決まってるじゃないですかー。やだなーもー」
「わかればいいのよ」

 ぐるぐる回していた腕を止めて納得したように頷いている。

「で、あんたは誰でここはどこなんだ。あの子はどうなった?」
「質問が多いね。まずあの小学生は無事よ。あなたが文字通り命を懸けて助けたからね」

 よかった、と俺は胸を撫で下ろした。

「あとそうね、私のことはとりあえず 『神』 って呼んで。そして最後に、ここの場所だけど……」

 自称神は少し間を開けて答えた。

「ここは簡単に言えば私の領域。 『神の間』 とか名付けちゃう?」
「 『神の間』 ……?」
「そ! で、死んだあなたの魂をこの 『神の間』 に運んできたってわけ」
「魂を運ぶ……? なんでそんなことを?」
「んーそれはねぇ」

 俺はシンプルに思った疑問を神にぶつけると、神は少し考えてから口を開いた。

「あなたがかわいそうだったから!」
「うん???」

 頭に ? が並ぶ。

「かわいそうだったからチャンスをあげようと思ってね」
「チャンスをあげる……?」

 言ってる意味がよくわからず、そのまま聞き返す。

「そのままの意味よ。私がこれから説明するゲームを攻略したらあなたを生き返らそうと思って!」
「うぇえ!?」

 今日1の大声が更新された瞬間だった。
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