イフルート

如月りょう

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ルート1

初めての告白

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「で、お話って何ですか?」

 公園に着きベンチに座って数分。ずっと無言で座っていた所、しびれを切らした堤が口を開いた。
 こんなときまで後輩に会話のリードをしてもらうなんて、先輩として恥ずかしくなる。

「そうだな……堤は彼氏とか好きな人いるのか?」
「まさかの恋バナですか?! ……そうですね、今はそういった存在はいませんね。学校でかっこいいなと思う先輩はいますけど」
「お、おう。そうか……」

 「先輩」 という単語にドキッとしたが、平常心を保つ。
 またしばしの沈黙が続く。

「つ、堤って告白されたことあるのか?」
「えーと、中学生の頃に2回ほど。……ていうか先輩さては……」

 もしかして告白しようとしていることがバレたか!? と思い、バレたならバレたで、この勢いで告白してやろうと覚悟を決めてバッと堤の方を見る。すると肝心の堤は、子供が新しいおもちゃを手にしたような好奇心いっぱいの目で俺を見ていた。

「告白するんですね! 相手は五関先輩ですか? あかり先輩? それとも私の知らない人ですか?? 誰なんですか!?」  
「……へ?」

 告白まではあっていたのに、出てきた相手の名前が予想と違っていた事に俺は気の抜けた返事をしてしまう。五関は百歩譲ってもあかり先輩は名前を出すのも烏滸おこがましいほど高嶺の花だ。

「とぼけったって私の目は誤魔化せませんよー」
「いや、悪いけど全然違う」

 鼻高々に言う堤に否定の言葉を言うと 「えー!」 と本当に驚いているリアクションをした。

「すみません。話の流れから告白するものだと」

 その推理は合っていてさすがだと思うが、相手が違う。
 ……しかし店長もそうだったが、五関と俺はそんなにそうゆう風に見えるのか? と考えたとき、昨日の登校中に要が言っていたことを思い出す。

『絢ってさ、零矢のこと好きだよな』

 一瞬で顔が赤くなるのを感じる。ま、まさか……な。

「須藤先輩、どうかしたんですか?」
「いや……なんでもない」

 そうだ。今は五関のことは一旦忘れよう。目の前にいる堤に告白の練習をするって決めたんだから!
 俺は一度深呼吸してから よし と覚悟を決める。

「さっき出た告白の話なんだけど、あのときは慌てて全然違うって言ったけど、実はそうなんだ」
「え?! てことは告白されるんですね! 相手は誰なんですか?? やっぱり五関先輩?」

 やっぱりってなんだ! とツッコミを入れたい気持ちは抑えて俺は堤の方に体を向ける。

「いや、五関でもあかり先輩でもない」
「あ、違うんですね。てことはもしかして私の知らない人ですか?」
「知らない人というか……」


「お前だよ、堤」


 堤の目をまっすぐ見て伝える。堤は一瞬時が止まり、その後先程と同じく 「えー!」 と芸人さながらのリアクションを取った。

「な、なんで私なんですか??」

 ひどく混乱したような堤に少し罪悪感を感じながら、俺は二条さんに告白することを想定した上で、堤に対する気持ちをしっかりと言葉にする。

「バイトでひたむきに頑張っている姿や素直で真面目なところに惹かれた。今日だってバイトで疲れてるはずなのに、突然話がしたいっていう俺の我儘に対応してくれる優しい堤が好きだ。……だから堤! 俺と―――」

 そこまで言って、肝心のセリフを言おうとした途端、世界が歪んだ。

「須藤先輩! 大丈夫ですか!!」

 堤の心配そうな声が聞こえた。どうやら世界が歪んだわけじゃなく、俺が倒れた所為で歪んだと理解する。

「―――――っ!!」

 堤が何か叫んでいるのが口の動きでわかったが、先程まで聞こえていた声が聞こえない。視界も霞んでいく。
 この感覚は昨日ぶりだなと薄れゆく意識の中悟った。

 ――――また死ぬのか。

 俺は再び闇に支配された。
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