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ルート1
2つ目のルール
しおりを挟む「おーい。もう起きれるでしょー。いつまで寝てんの?」
声が聞こえて目を覚ます。目につくのは一面の白。
……ああ、またこの世界にやってきたのか。
「目覚めたね。気分は?」
この真っ白の世界でする声といえば当然あいつしかいない。俺は上半身だけゆっくりと起き上がらせて、この空間の主である神に視線を向ける。
「最悪だよ」
「最悪かー。……にしても早いね。そんなに私と会いたかった?」
うふん とグラビアポーズを取り始めた神から視線を外して、俺はこの空間に来る前の出来事を振り返る。
確か公園でバイト先の後輩である堤に告白の練習をしようとして、肝心の最後のセリフを言う前に―――
「……俺はなんでここにいるんだ? 前みたいに事故にあったわけじゃないぞ。告白しようとしただけなのに、なんで……」
「告白しようとしたからだよ」
「え……?」
それまでぼんやり遠くの方を見ていた俺は神のいる方を向く。グラビアポーズを無視されたせいか、少しムスッとした表情をしていた。
「お、やっとこっち見たねぇ」
「いや、そんなことより、どういうことだ?! 告白したから?? だってそれはこのゲームの根本的な話だろ?? てことはもしかして、告白せずに付き合えってことか?」
意味がわからず狼狽えてしまう。神はそんな俺を見てクスッと笑った。
「まあまあ、落ち着いて。そもそも最初を思い出してみて。私はあなたに 『告白して付き合いなさい』 と言ったはずよ」
確かにゲームの説明をしていたときに言ってた気がする。
なら尚更なんで? と疑問が頭の中を埋め尽くす。
「そもそもの話、告白する相手が違うのよ」
「告白する相手が……違う……?」
少し考えてから、ああ、なるほどと理解する。
俺が疑問に思っていたルール1 『対象の女の子を攻略するまで生き返ることができません』 これはそういうことだったのか。つまり―――
「『対象の女の子以外を攻略しようとするとゲームオーバーになる』 てことか」
「そのとーり! 賢いね」
ということは無闇に告白することはできないということか。……あれ、このゲームって
「実はめちゃくちゃハードモード?」
「あら、今更気づいた? そんな簡単に生き返れるほど甘くないってわーけ」
攻略対象の女の子とそうでない女の子との見分け方とかあるのだろうか。間違えた瞬間ゲームオーバーなんて洒落にならない。……ん? ゲームってことは
「これ、もしかして残機とかそうゆうのあるのか?」
ゲームといえば残機だろう。有名なマ○オも残機が無くなるとゲームオーバーになるのと一緒で、このゲームの場合はゲームオーバーになりすぎると生き返ることが出来なくなる。とかそんな設定になっていてもおかしくない。
「さぁ、どうだろうね」
神はとぼけた様子で答えたが、おそらく残機は存在するのだろうと感じた。
もし残機設定がないのなら無いと素直に答えそうだし、先程の発言にあった 『簡単に生き返れるほど甘くない』 との矛盾にもなる。
まぁ、この残機問題に関してはイフルート内で神にあった時にでも聞けばいいか。確か出会えることができれば何でもひとつだけ質問に答えてくれるみたいだし。
……そういえばゲームオーバーになったときのルールも確かあったな。
「ゲームオーバーになったらルールをひとつ教えてくれるんじゃなかったっけ?」
「お! 覚えてたんだね。ちゃんと私の話を聞いてくれてたみたいで嬉しいよ」
生き返りが懸かってるんだから当たり前だろ。と言いたかったが、表情に出すだけに留めた。
「もう、私が美しいからって見とれちゃってー! 私は攻略対象じゃないからねー?」
「いいからはよ言え」
我慢できずにツッコんでしまったが、ツッコミが終わるやいなや、神は俺の前から消えた。瞬間、後ろに気配を感じ、気づいたら先程まで地面を踏んでいたはずの足が何故か上にあり、そこにあった頭が地面と面していた。早すぎて痛さが後からやってきた。綺麗なジャーマンスープレックスの完成だ。
「―――っ! ……俺はいつかあんたに殺されるかもな」
「はは、面白い冗談だね」
全然笑えない。というかこいつのプロレスの知識はどこからきてるんだ?
立てる? と手を差し伸ばしてきた神の手を取って立ち上がる。
「じゃ、君が聞きたがってたルール2なんだけど」
何もなかったかのように本題に戻した神に驚きながら続きの言葉を待つ。
「 『攻略対象外の女の子に告白する。または告白された場合ゲームオーバーになる』 以上よ!」
「それもうちょっと早く聞きたかったやつ!!」
それでゲームオーバーになったんだよ! と心のなかで叫ぶ。
「えー、でも告白されたときもゲームオーバーになるってのは新しい知識でしょ?」
「いや、それに関しては大丈夫だ」
「なんで?? もしかしてすでに予想してた?」
俺はふっと鼻で笑って答える。
「俺は今まで告白されたことがないからだ!!!」
場の空気が凍るのを感じた。それ以上白くならないはずの真っ白な世界がさらに白くなった気がした。
「まあ、なんていうか、うん……。いってらっしゃい!!」
「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉ」
俺は断末魔をあげながらイフルートへの穴に落ちていった。
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