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第5章 守るべきもの
力の秘密
しおりを挟む土曜日、蓮は遼平の家に向かった。
『土曜日、俺の家に来いよ…秘密、知りたいだろ?』
あぁ、知りたいとも…俺の人生を狂わせたこの力の秘密が……俺から夏希を奪ったこの力の真実を…この目で確かめてやる…!!
遼平の家は、一軒家で割と大きな家だ。
蓮は、インターホンを鳴らしカメラの正面あたりに立つ。
『蓮、来たか…』
「あぁ、開けてくれ」
ガチャリとインターホンの通信を切った音がすると、数秒のうちに遼平がドアを開けた。
「どうぞ?」
遼平は、少し無理に笑顔を作っているようだった。
「無理に笑う必要はない」と言ってやりたかったが、彼の好意だ。よしておこう。
蓮は遼平の家に入るのは久しぶりだった。
親は仕事で家を開けているとのことだ。
蓮は遼平の部屋に案内され、ベッドに座って待機する事になった。
しばらくすると、遼平が古びたノートと家系図と書かれた箱を抱えて戻ってきた。
「これ…自分で見てみろ…」
蓮は遼平にノートを手渡された。
中には驚くべきことが書かれていた。
2つの能力は、陰の力と陽の力に分かれるということ。
代々、山中家に受け継がれる力だということ。
?自らの存在と引き換えに、死を目前に控えた人間を救うことができるのか、陰の力……
?自らの寿命と引き換えに、死を目前に控えた人間を救うことができるのが、陽の力……
*ただし、陰の力とは違い、能力は『使わない』というモードに切り替えることができるということ。そして、自分に対する予知も見ることができる。
つまり、『使わない』選択をすれば、寿命は減らない。
どちらも、使えば使うほど能力者の首を絞めていく力…。
分かったことは、さらにもう1つ………
「__________俺とお前が…従兄弟同士…?」
そんなはずは……母親の旧姓は確か…………
蓮の思考回路の中で、全てが繋がった。
「俺の母親の苗字……山中だ…!」
遼平は、言った。
「つまり…一世代前の能力者は、俺の父親と蓮の母親だ」
遼平は蓮をあまり動揺させないためか淡々と物事を話す。
「この能力は、子供が生まれた時点で受け継がれる…どちらか片方が欠ければもう一方も消える」
なんだよ…交通事故にあった俺を哀れんだ神からの誕生日プレゼントなんかじゃなかったじゃねえか…
プレゼントなんて言葉は似合わない忌々しい力……
遼平は、蓮を家の門の外まで見送りに来てくれた。
「蓮…この力をあまり使うんじゃねえぞ…」
「秘密を知ったところで、何も俺の生活は変わらない…今まで通り過ごすだけだ」
遼平は語気を強めて言った。
「正義感の強い蓮が…死にゆく人間を見殺しにできるとは思わないけどな?」
「俺の勝手だ……」
蓮が遼平に背を向けて歩き出した時…遼平が蓮にたった一言だけ伝えた。
「俺はもう、この力は『使わない』つもりだ…だから、お前の未来は予知できなくなる」
蓮は彼の言葉を背中で聞いて、再び歩き出した。
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