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ウェールズ王国
宮廷裁判、開廷ー2ー
しおりを挟む「だからと言って、お主がやった事は虐待じゃよ?」
「アレは躾ですわ。」
「君は落とし人が何もかも持っていると言ったが、年端も行かぬ少女が別の世界に落とされ二度と元の世界にはもどれぬのだ。それでも哀れと思わぬのか?」
「哀れ?何が哀れなものですか?あの子供が怒れば国が滅びる?なら滅びてしまえばいいのよ!!」
「まぁ、お主の一族は間違いなく滅びるがのぉ~。」
ロイ老師の言葉にアマリアが反応した。
「一族…?」
「お主、周りが見えておらんのぉ。後ろを見て見ぃ?お主の一族、お主が巻き込んだ侍女とその一族じゃ。」
「何故…。」
自分の家族や親戚、他の侍女やその家族を見てアマリアは震え出した。
「お父様!お母様!何故ですか!!家族は関係ありません!悪いのは私では無いですか!!」
「アマリア…なんて事を…。」
目隠しをされたアマリアの父は呟いた。
「お父様…?」
「侍女長アマリアよ。」
アマリアは涙でぐちゃぐちゃになった顔で国王を見上げた。
「侍女長なら知っておるだろう?宮廷裁判にかけられれば一族郎党全員が処罰される事を。お前は筆頭罪人故、お前の家族の極刑は決まっておるのだ。」
「そ、そんな…あんまりよ…。」
「貴女は自分がどれ程の罪を犯したのか分かっていない様だ。」
ルイは立ち上がるとアマリアの前まで降りた。
「落とし人様を精神的に追い詰め、職務放棄した結果何が起きたと思いますか?」
アマリアは分からないと言う顔でルイを見上げた。
「東の森から魔物が多数現れ、王都に向かって来ました。勿論駆り出されるのは騎士団です。足りなければ傭兵ギルドにも応援を頼みました。結果、魔物は討伐したもののどれだけの騎士団員と傭兵達が犠牲になったと思いますか?犠牲になった者達は貴女が殺したも同然、落とし人様の精神が安定していればあの者達は命を落とす事は無かったのですから。」
「そもそも落とし人様に手を出そうなど、最初から命を捨てているも同然じゃよ?どれ程落とし人様が貴重な存在か分かっていながら、私利私欲に走ったのじゃ。アマリアよ、己の罪を背負って家族の最後を看取り逝くが良い。」
ロイ老師が言うと老師は目を瞑りそれ以上何も言わなかった。
「刑を伝える!」
進行役が声を張る。
「筆頭罪人、アマリアとその一族は極刑。アイアン・メイデンから死の抱擁を受けよ!その他罪人達はアマリアに逆らえなかった事を鑑み右手を落した後に罪人の魔法陣を刻む事とする。尚、その他罪人については極刑の所国王陛下の恩情により減刑された事を生涯忘れぬよう!執行!!」
進行役が片手を上げると執行人達が動き出す。
アマリアの家族はアイアン・メイデンの抱擁を受ける。
「少しいいか?」
アマリアの父が執行人に聞いた。
執行人は無言で掴んでいた腕を離した。
「恩に着る。アマリアよ、私はお前を育てた事を心底恥じる。そこで私達の最後を見よ。これがお前がした事の結果だ。」
そう言うとアマリアの父はサッサとアイアン・メイデンに乗った。
「いや、いや、いやよ!お父様!!ごめんなさい!!私は…!!」
「ぐああああああああああぁぁぁ!!」
「ああああああああぁぁぁ!!お父様ああああああああぁぁぁ!!」
「アマリア、私からもは一言残すわ。」
「お、お母様…?」
「アマリア、貴女を産んだ事を心底後悔しています。さよなら、私の娘だった子。」
母も毅然とした態度で抱擁を受けた。
次々に執行されて行く、直ぐにアマリアの番になった。
反対側では侍女達が腕を切り落とされ、罪人の魔法陣を首に刻まれる光景が見えた。
誰もがアマリアを睨み、明らかに恨みの念が感じられた。
「入れ!」
あぁ、私は知らないうちに取り返しのつかない事をしてしまったのね。
お父様、お母様…ごめんなさい。
閉まっていく扉と同時に数多の棘が自分の肉を突き刺すのが分かった。
激痛と共に香る生臭い香り、アマリアが最後に見たのは暗闇だった。
「陛下、終わりました。」
進行役が伝えると国王は立った。
「減刑罪人を治癒したのち、解放せよ。」
「これにて宮廷裁判を閉廷とする、アルミディアス聖教最高司祭が見届け滞り無く刑は執行された。閉廷!!」
減刑罪人達は自分の腕を持ち連れて行かれた。
こうして、サクラの知らぬ所で残酷な宮廷裁判は終わった。
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