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幕末妖怪の章

常世の屋敷

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平助君と屋敷に飛ぶと、屋敷の庭にはバッチリ準備が整っていた。
因みにこっちの屋敷にもはぁちゃんにお願いして冷蔵庫を作って貰ってある。

「雛妃、こちらにこんなに肉を持って来てしまって向こうは足りるのかい?」

「大丈夫よ、いっちゃん。あっちの冷蔵庫にも大量に置いてきたから。島田さんにお代わりは冷蔵庫って伝えてあるわ。」
近藤は安心したようにそうかと言った。

「ねえ雛妃、これどうやって食べるの?鍋には何にも入ってないよ?」
沖田は鍋を覗き込んで不安そうにしていた。

「これはね、しゃぶしゃぶって言うの。」
私は野菜を鍋に入れると、皆のお椀にタレを入れていく。
皆は興味津々に雛妃の行動を見ていた。

「後は、この薄いお肉を鍋に入れて…ほら色が変わって火が通ったらこのタレに付けて食べるの。お肉ばっかりじゃ駄目よ、ちゃんとお野菜も食べる事。」
食べ方が分かると皆私の真似をして食べ始めた。

「あら、猪のお肉だから臭みがあるかと思いましたけど…いけますわね?」

「うん、美味しいよね!」
皆気に入ったのか凄い勢いで食べていた。

「へーちゃんそれまだ生よ?!」

「雛妃、俺は生肉も好きだぞ!」
ニッと笑う平助、そう言えば平助は妖狐前に生肉の方が好きだと言っていた事を思い出した。

「そうだった、皆人間じゃなかったんだわ。」

「雛妃、このタレは美味しいね。」

「大根おろしでも美味しいよ?」
原田さんは大根おろしでも食べてみるとおおーさっぱりしてこっちも良いなと呟いていた。

「でもここは何時来ても綺麗ですわね?」

「そうだね、凄いよね。」
私達が居る庭には周りには淡く光る常世花が沢山咲いていて、蛍見たいな光が沢山飛んでいた。
不思議なのは色が青やピンク、黄色にエメラルドグリーンと多種多様な事だ。
庭の端にある池は淡く青色に光っている。

「正にファンタジー…」

「ですわね、ふふ。」
私達は常世を楽しみながら夕食を楽しんだ。
ゆっくりとした夕食を終え、屯所に戻ると冷蔵庫に用意しておいたお代わり用のお肉は跡形もなく無くなっていた。
洗い物は済ませてくれたようで洗われた鍋やお皿が沢山積み重なっていた。
皆とは別れ私は斎藤さんと部屋に戻った。

「はぁちゃん、明日は知世ちゃんと街に買い物に行きたの。着いてこれる?」

「あぁ、明日は昼からなら大丈夫だ。」

「本当?!良かった~。」

「何か必要な物があるのか?」

「うん、少し食材も見たいしね。知世ちゃんは反物が見たいって言ってた。」
斎藤さんはそうかと優しく頭を撫でてくれた。
私ははぁちゃんを番と決めたけど、祝言を上げていないから正式な番ではないんだってお父さんが言ってた。
だから、まだ気を付けなさいって。
因みに私を守れなければ婿とは認めん!って斎藤さんがお父さんに言われてたっけ。
だから斎藤さんは余計に私から離れなくなった。
今ではトイレの前までも着いてくる。
最初は凄く嫌だったけど幾ら説得しても絶対に着いてくると言うはぁちゃんに私は諦めた。
いまでは慣れたものだ。

「雛妃…」

「んっ?」
このパターンは…。
斎藤さんと同じ部屋になってから最初の数日は朝起き上がれない程、抱かれた。
でも私が回数を決めたので今はそんな事は無いんだけどこの色気全開の呼び方はつまり…察して欲しい。
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