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一章
セリオール公爵家
しおりを挟む一応オーリの実家であるセリオール公爵家では、長女のクリスティーナの学園への入学が迫っていた。
クリスの入学について公爵と夫人で対立し、喧嘩が絶えなかった。
「クリスは王立学園に入学させる出来では有りませんわ!」
「何を言う!我公爵家の者が王立学園に行かない訳には行かないだろう?対面を考えろ!」
「対面?ならば余計に行かせる訳にはいきませんわ!我が家の恥を晒すだけですわ!それにクリスの学年には第二皇子様も入学されるんですよ⁈」
執務室で口論する両親を双子のレオンとカノンはこっそり覗き見していた。
「レオン、母様は大丈夫かな?」
「大丈夫な訳ないだろ?あれを学園に入れるなんて母様の心労が心配だ。」
2人もクリスの学園入学は反対だった。
「あんなのが学園に来てみろ?俺はあれと兄妹だと思われたくない。」
これにカノンは激しく同意した。
2人は中等部の最高学年、そこにクリスが来ると思うだけでゾッとした。
「ならばどうしろと言うんだ!」
「淑女教育も受けず、何人の家庭教師に匙を投げられたと思っておりますの?旦那様の愛人にクリスを戻すべきですわ!我が家に娘は居なかった、私が産んだ子を返して下さいませ!少々動揺して気を失いましたが、あの子は産まれて直ぐに死んでしまったのですわよね?本当はどうなのです?旦那様がクリスを引き取りたいばかりにあの子を…。」
「いい加減にしないか!あの子は死んだんだ!クリスが我が家の長女だ!今後も変わらない!」
「旦那様を信じて父や母、義父様と義母様にもクリスの事は嘘を付きました。あの子は生きているんですね?本当のことを言ってくださいませ!」
「生きて…は居ないだろう。」
「何故です?奴隷商にでも売りましたか?それとも殺め…。」
「捨てたんだ!チャールズに命じた。人目に付かない所に捨てる様に。余程の幸運に恵まれなければ生きていないだろう。」
とうとう公爵は白状した。
「仕方なかったんだ!我が家に白銀の髪など生まれる訳には行かない!」
この国では白銀の髪は忌み嫌われた、魔力が強く暴走しやすい。
国は魔力が強く扱いに困る白銀の髪を持つ者を嫌った。
「そんな…。」
夫人は泣き崩れた。
双子は直ぐに家令のチャールズに詰め寄った。
「チャールズ!俺達の妹を何処に捨てたの⁈」
「坊っちゃま…何処でそれを…。」
「お父様とお母様が話していた!何処にやったんだ!妹を!」
「そうだよ!あんなクリスなんか僕たちの妹なんかじゃ無い!」
涙目で訴えるカノン。
チャールズは土下座した。
「申し訳ありません!坊っちゃま方の妹君を…。旦那様の命令に冷酷にも従ってしまいました!」
「謝罪なんか求めてない!何処に捨てた!」
「はい!西の森の人目に付かない崖の上に…。」
2人は絶望した。
産まれて直ぐに妹は危険な崖の上に放置されたのだ。
か弱い赤子が生きている訳が無い。
2人はかけ出した、母の元に。
「母様!西の森です!そこに俺たちの本当の妹がいます!」
「何を言っている!お前達の妹はクリスだ!」
「違います!子供にだった分かるんです!クリスは偽物です!」
普段大人しいカノンが叫んだ。
「チャールズ!馬車を!」
「はい、奥様!」
「待て!勝手は許さないぞ!」
「ええ、許さなくて結構!旦那様も勝手をなさったんです。私も我が子を探しに行きますわ!生きている可能性だってありますもの!」
夫人は双子を伴い邸を飛び出した。
一抹の希望を持って、生きていて欲しい。
優しい誰かに拾われて、せめて生きていてくれたらそれだけで良い。
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