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惑星エルリス
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しおりを挟む翌日部屋で朝食を摂ると王城へ向かう準備をした。
「良いですか?正面から行っても証拠隠滅をされてしまう可能性があります。ですから今回は証拠を掴むまでは隠密行動とします。私が結界を張りますからまず気付かれる心配はありませんから。」
「分かった。」
「了解じゃ。」
「ラファイは地下を、ガライル殿は二人の王子を見張りと観察をお願いします。私は国王の周辺を見てきます。では、散!」
シュンっと三人は宿から姿を消した。
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解散したラファイは難なく王城の地下へ続く階段を降りていた。
暫く降りると沢山並んだ牢屋が見えてくる。
その一つ一つをじっくり見ていくと真ん中辺りでラファイは足を止めた。
そこには赤いマントを羽織気品を感じさせる初老の男はが牢に繋がれていた。
何故国王が牢に繋がれているんだ?
ラファイは眉間に皺を寄せた。
辺の気配を探り、牢の鍵を開けた。
「誰だ…」
ラファイは姿を隠したまま国王に問う。
「俺は焔帝だ、お前に問う。何故国王がこんな所にいるんだ?」
「えええ焔帝様!!この様な姿での謁見…申し訳ありません。」
「そんな事は良い。お前がここに何故居るのか問うている。」
「は、はい…どうやら私は謀られた様でございます。私の愚息に王妃まで…最早私の味方はこの城には居りません。生かされているだけ奇跡と言えましょう。」
「そうか…愚息とは第一王子か?お前には息子が二人に娘が一人居た筈だろう?」
「残念ながら娘も第一王子と王妃が手を組んでいる様で…第二王子のルイはどうしているのか私には分かりませぬ。」
国王はガックリと項垂れた。
「息子に娘…妻までもが謀反を起こしたのか?」
「その様です。有力貴族も王妃に寝返りました。最早私の近衛すら王妃の手にあります。」
「分かった。此処に総帝様と土帝も隠密で来ている。まだ少し此処で待てるか?」
「はっ?総帝様まで!!はい!お待ちしております!」
両手を拘束されながらも頭を下げた。
「焔帝!」
「総帝様?」
そこには結界を解いたクロードが誰かを抱えて現れた。
「焔帝の結界も一度解きます。」
焔帝、総帝まで現れたものだから国王は気を失う寸前で踏ん張っていた。
「総帝様、其方は何方ですか?」
「第二王子のルイ王子です。塔に幽閉されて居たので連れてきました。」
クロードはルイを国王の横に座らせた。
「父上!ご無事でしたか!」
「あぁ、心配ない。この通り生きておる。ルイよ、お前の身に何があった?」
国王の問いにルイは顔を顰めた。
「父上に会おうとすると必ず母上が現れ、父上は体調が悪いからと会わせて頂けない日々が続きました。私は父上に何かあったのかと母上の目を盗んで父上の部屋に忍び込んだのです。しかし、部屋には父上は居なかった。そこで近衛に拘束され、そのまま塔に幽閉されたのです。」
“ 土帝、其方はどうですか?”
“ うむ…此方は惨状じゃ。見ていて胸糞悪い事この上ない。”
“ 今から私も向かいます。”
土帝との念話を終えるとラファイに向き合った。
「焔帝は国王とルイ王子の護衛をお願いします。私は土帝の元へ向います。」
「承知致しました。」
ラファイは恭しく頭を垂れる。
シュンっと転移した総帝を見て国王もルイ王子も目を見開いてそれを見ていた。
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土帝の元へ転移するとそこは正に惨状だった。
今まで攫われた幼い娘達はこの部屋に連れて来られて居たのだ。
大きなベットに一糸纏わず乱雑に倒れている娘達。
鞭で打たれたのか背中に傷がある娘が多い。
生きているのか死んでいるのかすら分からない。
部屋には血の匂いが充満していた。
「これは…」
「総帝様…恐らくこの娘達は第一王子に陵辱されていた様じゃ。」
なんて惨い…まだ年端もいかない娘を。
クロードは第一王子の性癖に引いた。
「土帝、この部屋に結界を張りました。誰も侵入出来ないでしょう。兎に角彼女達の治療をします。」
「しかし…こんなに沢山、出来るのですか?」
「私を誰だと思っているのですか?」
クスリと笑うクロード。
「では、一気にやってしまいましょう。治癒魔法…」
クロードは手の中に淡い緑の光を集め凝縮して行く、それを部屋中に行き渡る様に弾けさせた。
娘達は緑の光に包まれて今までの傷が消えていく。
「おぉ!流石総帝様じゃ!」
「では土帝は彼女達の身元の確認をお願いします。私はもう一度ラファイの元へ戻ります。」
「了解じゃ。」
クロードが去った牢屋では国王が悲壮感に満ちていた。
「焔帝様…総帝様は我が国を消してしまうおつもりでしょうか?」
「国王は知らないのだな?ガリル国は総帝様の勅令に異議を申し立てた。」
「なっ!何ですと?!」
国王は驚き青ざめた。
ルイ王子も同じくだ。
「まさか…兄上が?」
「否、イザベルの入れ知恵だろうな?」
イザベルとは王妃の事だ。
「母上は命が惜しくは無いのでしょうか?」
総帝の勅令は絶対だ、それに異議を立てたのだ只で済む筈がない。
「王妃とサウルは帝様達を甘く見ておる節がある。全ては私の責任です、焔帝様責任は私が…」
「それは俺が預かり知らぬ所だ。決めるのは総帝様だ。」
国王はそうですかとまた項垂れた。
そこへまたクロードが転移して来た。
「総帝様…」
国王は力なくクロードを見上げた。
現れたクロードの瞳には隠す事無く怒りを纏っていた。
「国王、貴方は第一王子の所業を知っていましたか?」
国王はクロードの殺気に当てられて話す事も出来ない。
ルイ王子はもうガタガタと震えるばかりで俯いている。
「第一王子サウルは貧困に喘いでいた家庭を持つ男に金を渡し、幼い少女達を自室に集めていました。その少女達にサウルが何をしたかは想像出来ますね?」
「総帝様、それは本当ですか?」
この殺気の中を平気で総帝に話し掛ける焔帝には流石だと国王は思った。
「はい…ちょっと待って下さい。土帝からです。」
“ どうしました?”
“ 総帝様!!儂じゃ駄目ですじゃ!娘達は男が怖い様で、こっちは大騒ぎの大混乱ですじゃ!!何とかして下され!!”
それは土帝からの悲痛な叫びだった。
“土帝は部屋を離れて此方に合流して下さい。其方には水帝と光帝を呼びます。 ”
“ 了解じゃ!”
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