10 / 125
惑星エルリス
1-10
しおりを挟む翌日部屋で朝食を摂ると王城へ向かう準備をした。
「良いですか?正面から行っても証拠隠滅をされてしまう可能性があります。ですから今回は証拠を掴むまでは隠密行動とします。私が結界を張りますからまず気付かれる心配はありませんから。」
「分かった。」
「了解じゃ。」
「ラファイは地下を、ガライル殿は二人の王子を見張りと観察をお願いします。私は国王の周辺を見てきます。では、散!」
シュンっと三人は宿から姿を消した。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
解散したラファイは難なく王城の地下へ続く階段を降りていた。
暫く降りると沢山並んだ牢屋が見えてくる。
その一つ一つをじっくり見ていくと真ん中辺りでラファイは足を止めた。
そこには赤いマントを羽織気品を感じさせる初老の男はが牢に繋がれていた。
何故国王が牢に繋がれているんだ?
ラファイは眉間に皺を寄せた。
辺の気配を探り、牢の鍵を開けた。
「誰だ…」
ラファイは姿を隠したまま国王に問う。
「俺は焔帝だ、お前に問う。何故国王がこんな所にいるんだ?」
「えええ焔帝様!!この様な姿での謁見…申し訳ありません。」
「そんな事は良い。お前がここに何故居るのか問うている。」
「は、はい…どうやら私は謀られた様でございます。私の愚息に王妃まで…最早私の味方はこの城には居りません。生かされているだけ奇跡と言えましょう。」
「そうか…愚息とは第一王子か?お前には息子が二人に娘が一人居た筈だろう?」
「残念ながら娘も第一王子と王妃が手を組んでいる様で…第二王子のルイはどうしているのか私には分かりませぬ。」
国王はガックリと項垂れた。
「息子に娘…妻までもが謀反を起こしたのか?」
「その様です。有力貴族も王妃に寝返りました。最早私の近衛すら王妃の手にあります。」
「分かった。此処に総帝様と土帝も隠密で来ている。まだ少し此処で待てるか?」
「はっ?総帝様まで!!はい!お待ちしております!」
両手を拘束されながらも頭を下げた。
「焔帝!」
「総帝様?」
そこには結界を解いたクロードが誰かを抱えて現れた。
「焔帝の結界も一度解きます。」
焔帝、総帝まで現れたものだから国王は気を失う寸前で踏ん張っていた。
「総帝様、其方は何方ですか?」
「第二王子のルイ王子です。塔に幽閉されて居たので連れてきました。」
クロードはルイを国王の横に座らせた。
「父上!ご無事でしたか!」
「あぁ、心配ない。この通り生きておる。ルイよ、お前の身に何があった?」
国王の問いにルイは顔を顰めた。
「父上に会おうとすると必ず母上が現れ、父上は体調が悪いからと会わせて頂けない日々が続きました。私は父上に何かあったのかと母上の目を盗んで父上の部屋に忍び込んだのです。しかし、部屋には父上は居なかった。そこで近衛に拘束され、そのまま塔に幽閉されたのです。」
“ 土帝、其方はどうですか?”
“ うむ…此方は惨状じゃ。見ていて胸糞悪い事この上ない。”
“ 今から私も向かいます。”
土帝との念話を終えるとラファイに向き合った。
「焔帝は国王とルイ王子の護衛をお願いします。私は土帝の元へ向います。」
「承知致しました。」
ラファイは恭しく頭を垂れる。
シュンっと転移した総帝を見て国王もルイ王子も目を見開いてそれを見ていた。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
土帝の元へ転移するとそこは正に惨状だった。
今まで攫われた幼い娘達はこの部屋に連れて来られて居たのだ。
大きなベットに一糸纏わず乱雑に倒れている娘達。
鞭で打たれたのか背中に傷がある娘が多い。
生きているのか死んでいるのかすら分からない。
部屋には血の匂いが充満していた。
「これは…」
「総帝様…恐らくこの娘達は第一王子に陵辱されていた様じゃ。」
なんて惨い…まだ年端もいかない娘を。
クロードは第一王子の性癖に引いた。
「土帝、この部屋に結界を張りました。誰も侵入出来ないでしょう。兎に角彼女達の治療をします。」
「しかし…こんなに沢山、出来るのですか?」
「私を誰だと思っているのですか?」
クスリと笑うクロード。
「では、一気にやってしまいましょう。治癒魔法…」
クロードは手の中に淡い緑の光を集め凝縮して行く、それを部屋中に行き渡る様に弾けさせた。
娘達は緑の光に包まれて今までの傷が消えていく。
「おぉ!流石総帝様じゃ!」
「では土帝は彼女達の身元の確認をお願いします。私はもう一度ラファイの元へ戻ります。」
「了解じゃ。」
クロードが去った牢屋では国王が悲壮感に満ちていた。
「焔帝様…総帝様は我が国を消してしまうおつもりでしょうか?」
「国王は知らないのだな?ガリル国は総帝様の勅令に異議を申し立てた。」
「なっ!何ですと?!」
国王は驚き青ざめた。
ルイ王子も同じくだ。
「まさか…兄上が?」
「否、イザベルの入れ知恵だろうな?」
イザベルとは王妃の事だ。
「母上は命が惜しくは無いのでしょうか?」
総帝の勅令は絶対だ、それに異議を立てたのだ只で済む筈がない。
「王妃とサウルは帝様達を甘く見ておる節がある。全ては私の責任です、焔帝様責任は私が…」
「それは俺が預かり知らぬ所だ。決めるのは総帝様だ。」
国王はそうですかとまた項垂れた。
そこへまたクロードが転移して来た。
「総帝様…」
国王は力なくクロードを見上げた。
現れたクロードの瞳には隠す事無く怒りを纏っていた。
「国王、貴方は第一王子の所業を知っていましたか?」
国王はクロードの殺気に当てられて話す事も出来ない。
ルイ王子はもうガタガタと震えるばかりで俯いている。
「第一王子サウルは貧困に喘いでいた家庭を持つ男に金を渡し、幼い少女達を自室に集めていました。その少女達にサウルが何をしたかは想像出来ますね?」
「総帝様、それは本当ですか?」
この殺気の中を平気で総帝に話し掛ける焔帝には流石だと国王は思った。
「はい…ちょっと待って下さい。土帝からです。」
“ どうしました?”
“ 総帝様!!儂じゃ駄目ですじゃ!娘達は男が怖い様で、こっちは大騒ぎの大混乱ですじゃ!!何とかして下され!!”
それは土帝からの悲痛な叫びだった。
“土帝は部屋を離れて此方に合流して下さい。其方には水帝と光帝を呼びます。 ”
“ 了解じゃ!”
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる