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人類の存続
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しおりを挟むその日の夜会にクロードが戻る事は無かった。
新郎不在など公爵家の体面が悪い為、急遽ラウがクロードの姿に変化して事なきを得た。
土帝が森沿いに壁を作ったにも関わらずこの所魔物の被害が頻発していた。
その処理に帝達やクロードは追われていたのだった。
命を落とす者も居る為、国と民を守る総帝はそれを放って帰る訳にはいかなかった。
それが例え自分の結婚祝賀の夜会であっても。
クロードはラウに楓宛の手紙を持たせていた。
勿論謝罪の手紙だ。
クロード達は森沿いの壁の調査に来ていた。
「何処か崩れていたり、亀裂など劣化している所を見つけたら土帝に言って直して貰って下さい。俺は森の方を見て来ます。」
「「「「「了解!」」」」」
クロードは森の上空から様子を伺う。
「ルナ、何か森が騒がしくないですか?」
『そうねぇ、何だか騒がしいわねぇ。私が見て来てあげるわァ。2、3日で戻るから待っていてぇ。』
「分かりました、お願いしますね。」
ルナは森に駆け下りて行った。
「何が起こって居るのでしょうね?」
「総帝様!壁に異変はありませんでしたわよ?」
「そうですか…」
しかし、現に魔物は壁の内側に出没していると聞く。
何かしら壁に異変がなければおかしい、森への入り口に立つ近衛も魔物は見ていないと証言している。
ならば何処から魔物が入って来ているのか?
クロードは壁を見上げた。
ガイバーオーガ対策に建てた壁、まさか魔物が飛び越えられる筈もない。
しかし、魔物出現には一つだけ一定条件があった。
それは森沿いに点在する小さな村ばかりなのだ。
「森沿いの村々にイリスを派遣しましょう。今は村人達の命が最優先です。水帝、直ぐにギルドに依頼を出して下さい。」
「分かりましたわ!」
「一度エデンに戻りましょう。」
クロード達はギルドに向かう水帝と別れエデンへと戻った。
エデンに戻ったクロードは自室に戻り、ラフな服に着替えた。
ベットに座り考え込む。
魔物は負の感情を好む、なら被害が出た村に負の感情に飲まれた者が居たのか?
いや、都合よく森沿いの村だけにそんな者が現れるだろうか?
『悩んで居ますね?』
急に頭の中に声が響く。
「クロウ!!」
『何故魔物が現れるのでしょうね?貴方は何となく気付いていのではないのですか?ただ認めたくないだけです。』
「違う!そんな筈は…」
『無いと言えますか?』
クロードは黙った、否定が出来ないのだ。
『それに帝の呪いを知ったのでしょう?最愛の妻を必ず看取らねばならない事を。』
「五月蝿いですよ!!」
『貴方が総帝で無ければ最愛の妻と一緒に寿命を全うし最後を迎えられるのにと思いませんか?』
クロードは頭を抱えた。
『最愛の妻を失った時、貴方は正気で居られるでしょうか?妻がどんどん歳を重ねて行くのに、貴方は若いまま…貴方の妻はどう感じるでしょうね?』
「黙れ!」
『私には分かりますよ?私は皺々になって行くのに夫に愛されている訳が無いと悩み苦しむでしょうね?可哀想に…』
「ヒュッ…!!」
『理不尽だと思いませんか?国を守り民を守る帝達を呪いで縛り苦しめる。そんな国や民を守る価値があるでしょうか?自分達は守られ、愛する者と結ばれ生を全うして行くのに。』
「ヒュッ!!ヒューヒュー!」
苦しい、もう辞めてくれ!!
クロードは息がうまく出来ず胸を押さえ苦しんだ。
『そうしてだんだん壊れて行きなさい…私をもっと楽しませて下さい。』
クロウのこの言葉を最後にクロードは意識を手放した。
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