うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

文字の大きさ
93 / 125
人類の存続

2-35

しおりを挟む


その日の夜会にクロードが戻る事は無かった。
新郎不在など公爵家の体面が悪い為、急遽ラウがクロードの姿に変化して事なきを得た。
土帝が森沿いに壁を作ったにも関わらずこの所魔物の被害が頻発していた。
その処理に帝達やクロードは追われていたのだった。
命を落とす者も居る為、国と民を守る総帝はそれを放って帰る訳にはいかなかった。
それが例え自分の結婚祝賀の夜会であっても。
クロードはラウに楓宛の手紙を持たせていた。
勿論謝罪の手紙だ。
クロード達は森沿いの壁の調査に来ていた。

「何処か崩れていたり、亀裂など劣化している所を見つけたら土帝に言って直して貰って下さい。俺は森の方を見て来ます。」

「「「「「了解!」」」」」
クロードは森の上空から様子を伺う。

「ルナ、何か森が騒がしくないですか?」

『そうねぇ、何だか騒がしいわねぇ。私が見て来てあげるわァ。2、3日で戻るから待っていてぇ。』

「分かりました、お願いしますね。」
ルナは森に駆け下りて行った。

「何が起こって居るのでしょうね?」

「総帝様!壁に異変はありませんでしたわよ?」

「そうですか…」
しかし、現に魔物は壁の内側に出没していると聞く。
何かしら壁に異変がなければおかしい、森への入り口に立つ近衛も魔物は見ていないと証言している。
ならば何処から魔物が入って来ているのか?
クロードは壁を見上げた。
ガイバーオーガ対策に建てた壁、まさか魔物が飛び越えられる筈もない。
しかし、魔物出現には一つだけ一定条件があった。
それは森沿いに点在する小さな村ばかりなのだ。

「森沿いの村々にイリスを派遣しましょう。今は村人達の命が最優先です。水帝、直ぐにギルドに依頼を出して下さい。」

「分かりましたわ!」

「一度エデンに戻りましょう。」
クロード達はギルドに向かう水帝と別れエデンへと戻った。
エデンに戻ったクロードは自室に戻り、ラフな服に着替えた。
ベットに座り考え込む。
魔物は負の感情を好む、なら被害が出た村に負の感情に飲まれた者が居たのか?
いや、都合よく森沿いの村だけにそんな者が現れるだろうか?

『悩んで居ますね?』
急に頭の中に声が響く。

「クロウ!!」

『何故魔物が現れるのでしょうね?貴方は何となく気付いていのではないのですか?ただ認めたくないだけです。』

「違う!そんな筈は…」

『無いと言えますか?』
クロードは黙った、否定が出来ないのだ。

『それに帝の呪いを知ったのでしょう?最愛の妻を必ず看取らねばならない事を。』

「五月蝿いですよ!!」

『貴方が総帝で無ければ最愛の妻と一緒に寿命を全うし最後を迎えられるのにと思いませんか?』
クロードは頭を抱えた。

『最愛の妻を失った時、貴方は正気で居られるでしょうか?妻がどんどん歳を重ねて行くのに、貴方は若いまま…貴方の妻はどう感じるでしょうね?』

「黙れ!」

『私には分かりますよ?私は皺々になって行くのに夫に愛されている訳が無いと悩み苦しむでしょうね?可哀想に…』

「ヒュッ…!!」

『理不尽だと思いませんか?国を守り民を守る帝達を呪いで縛り苦しめる。そんな国や民を守る価値があるでしょうか?自分達は守られ、愛する者と結ばれ生を全うして行くのに。』

「ヒュッ!!ヒューヒュー!」
苦しい、もう辞めてくれ!!
クロードは息がうまく出来ず胸を押さえ苦しんだ。



『そうしてだんだん壊れて行きなさい…私をもっと楽しませて下さい。』
クロウのこの言葉を最後にクロードは意識を手放した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します

冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」 結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。 私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。 そうして毎回同じように言われてきた。 逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。 だから今回は。

処理中です...