うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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領土奪還

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後日、クロードはフールとカイテルを伴い木蓮の家を訪ねた。
珍しい組み合わせだが、カイテルは生きたホムンクルスを純粋に見たいらしくフールに関してはただの興味本位の様だった。
急に訪れたクロード達を木蓮は快く歓迎してくれた。

「どうぞ、直ぐにお茶淹れますね。」
クロード達を座らせると木蓮は台所に立った。

「凄い…本当に動いてる。」
カイテルは木蓮を見て心底驚いていた。

「カイテル失礼ですよ?木蓮はちゃんと血が通った人間ですよ?」

「えっ?どう言う事ですか?」

「どう言うって…?」

「ホムンクルスは血を流しませんよ?!」

「はっ?」
クロードは目を見開いた。
確かに木蓮が赤い血を流すのを見たし手当もした。

「いや、カイテル…木蓮はちゃんと赤い血を流した。ナイフで手を切った時、私がちゃんと手当もしましたし間違いないです。」
クロードの返答に今度はカイテルが目を見開いた。

「まさか…ホムンクルスには血など流れていないと…いや、でも心がある木蓮だし…」
カイテルはブツブツ言いながら自分の世界に入ってしまった。

「ねぇねぇクロード様。なら木蓮は人間って事になるよね~?」

「はい、そう判断したから木蓮を監視下に置く事にしたんです。」

「だよね~。クロウがホムンクルスじゃなくて人間を作ったとは考えられない?実際実物の木蓮が居るんだし~。」

「それか…たまたま出来てしまった?」
カイテルが顎に手を当て呟いた。

「確かにクロウは人形を作ったつもりだと言っていました。もしそうなら…クロウは神ですか?母親を介さず子を成す事も可能だと?」

「可能性だけど捨て切れないんじゃない?ガライルに聞いてみたら?すっごい古い知り合いとか居るらしいし。」

「帰ったらガライルに聞いてみましょう。」
そこにお茶をトレイに乗せた木蓮がテーブルにお茶とお菓子を並べた。

「こんな物しかありませんが、どうぞ。」

「ありがとう木蓮。頂きます。」
クロードがお茶に口を付けるとフールもカイテルも口を付けた。

「木蓮…。」

「はい?」

「楓に会ってみる気はありませんか?」

「えっ?」

「カイテルが説明したら~?」
クッキーを頬張りながらフールが言った。

「えーと…ホムンクルスは本来は心も感情も持たない人形とされています。貴女の様なホムンクルスは稀で本体である楓様の思いが強いのかもしれません。ですから…」

「で、でも…楓さんは亡くなって居るのでは?」

「楓はクリスタルの中に眠って居ます。何時でも会える様に私がそうしました。」

「そうなんですね…」
微妙な顔の木蓮をフールは凝視していた。

「無理にとは言ってないよ~。気が向いたらで良いし。そもそも俺はアンタを楓様と同じには見てないから。」
フールは暗に楓とお前は全く別なんだと強調した。

「楓さんは皆さんに大切にされていたんですね?」

「楓様は帝達のお姫様だったからね~。」

「そうですか…私、楓さんに会ってみます。」

「ふ~ん、本当に良いの?後悔しない?」

「後悔…ですか?」
木蓮は何故?と言う顔でフールを見た。

「アンタは楓様じゃない。元は楓様の一部だっただけだ。クロード様が大切にしていた楓様になれるんじゃないかとか期待しちゃってない?」

「フール!言い過ぎです!」

「何で?こう言う事はハッキリ言っといた方が良いんだよ。クロード様は優しいから言わない、だから僕が言ってるの。」

「それでも…会います!」

「へぇ~覚悟はあるんだ?じゃあ行こうか?」

「えっ?今からですか?」

「善は急げって言うでしょ?クロード様転移よろしく。」

「はぁ~フールは…仕方ないですね。木蓮ちょっと飛びます目を瞑って下さい。初めてだと酔いますから。」

「はい。」
木蓮は目を瞑った。

「では行きます。」
クロードが言うと空間が歪んだ様な変な浮遊感に襲われた。

「着きましたよ?」

「えっ?もう?」
目を開くと純白の小さな神殿の前に居た。

「此処が楓のお墓です。」

「此処が…」
お墓を見れば楓がクロードにどれ程愛されていたか分かる。
中に入ると1番奥に沢山の花に囲まれた綺麗なクリスタルがあった。
その中に自分と瓜二つの女が眠っていた。
まるで生きている様に綺麗だった。

「この人が…」

「楓です。」
そっとクリスタルに触れると温かい気がした。

「何か感じますか?」
カイテルが聞くと木蓮は首を振った。
その途端心臓を鷲掴みにされた様な激痛が胸を襲った。

「うっ!!」

「木蓮?!大丈夫ですか?!」
木蓮は痛みの中必死にクリスタルに手を伸ばしたが届く前に気を失ってしまった。



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