いつかまたおなじ空のしたで

19の9

あれから、いったいどのくらい経ったんだろう。
毎日切り刻まれて、なす術もなく。
グレンの剣に貫かれて、ミーシャは灰になって空に舞って行ってしまった。
私の手は、なんにも掴めない。
この手にはなにも、、、、、

「ぎゅ」

え？？
「ぺろぺろ」
むーなに？舐めないでよ。
あれ？？
ぱちりと目を開けると、レヴィが私の手をぎゅっと握って顔を舐めていた。
「だいじょぶ？」
レヴィが心配そうに聞いてくる。
夢、、、だったんだ、、。
そうだった、トリスと脱出してレヴィと出会って、、
あの日々は終わったんだった。
レヴィのほっぺたを撫でながら私は言った。
「ありがとう、大丈夫、ちょっとこわい夢をみただけ」
私はそう言ってがんばって笑うけど、レヴィの眉間には皺がよったままだ。
「着替えようか！」
元気に言ってみた。
「ん、、」
小さくってもわかってるんだな、、そんな風に思いながら体を起こして、私はため息をついた。
「レヴィ、私はね、、すごいこわい所にいたの。その時の事を思い出したりするとね、ちょっとだけだいじょぶじゃなくなっちゃうんだ」
レヴィは私をじっと見ながら両手をついて上半身だけ起こして聞いている。
「だから、私が震えていたり、悲しそうにしていたら、さっきみたいに手をぎゅっとしてくれる？」
レヴィはもぞもぞと近寄って、答える代わりに、ぎゅっとしてくれた。あー、、ふかふかだあ、、、。
「ありがとうレヴィ、大好きだよ。」
「わたしも！リーナもトリスもだいすき！」
よかった、ちょっと誤魔化せたかな？
いつもどおりに早起きなトリスは脚を組んで椅子に座って窓から外を見ている。
なんにも言わないでいてくれている。
今のは、私がするべき事だった。
トリスは私にはむつかしいと判断した事はしてくれる。
私に出来ると思ったなら黙っていてくれる。
ほんとならトリス1人で旅することも簡単だろう。でも2人の出会いをトリスは機会だと言った。私達は一緒にいるべきだ、いつかもしかしたら、今は思いつかないけど、、別れが2人の間に割って入ってくるかもしれないけれど。
そんな事をもやもや考えているとすでにレヴィは着替えをはじめていた。
「あー！負けないぞー」
私も急いだふりをして着替え始めた。
今日はなにをしようか。