いつかまたおなじ空のしたで

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変身指輪は見た目が人族に「見える」だけだった。触られたらバレるし顔も変わるから私達、私とトリスくらいの間柄じゃないと見ただけだと誰だかわからない。
けどこのブレスレットは魔族寄りな部分だけが文字通りなくなってしまう。触ってもわからない。トリスとレヴィのツノも私の牙もまるで最初からなかったかの様だ。
かくして、変身ブレスレットを着けた私たちは、何事もなかったようにアメリア小隊のあとを進んだ。正確には半日ほど物陰で休んでからだけど。
次の街には滞在しているアメリア小隊がいたが私達とは違う人を探している様で、入門時に見せられた人相書きも見覚えはなかった。
ブレスレットの効果といえば素晴らしい変身ぶりだった。
トリスは黒髪青眼のお姉さん。黒基調の服にローブが見るからに「いい女」感を増長させていた。
レヴィは茶色のふわふわ髪に黒目で細身ではあるけど腰に携えた使い込まれた感のある2本の短剣と、リザードを使った防具のせいでちょっと近寄り難い感じも醸し出している。
私はというと、、
目の色が茶色になったくらい、、、
装備はしっかりしているけど2人に比べたら体格も貧相で商家か男爵家の末娘が護衛を連れて冒険に出かけている、、、
そんな風に見られているんじゃないかな?と思う。
「むー、、、」
私は、最初っから指輪じゃなくてブレスくれたらよかったのに、、
そう思ってちょっとだけふくれてみせていた。
「これあったらいろいろ楽ちんだったのになー」
そっぽを向いてぐちる。
で、チラッとトリスを見る。
「ん?あー、、宝物庫だがな?」
「え?みんな持ってきたよね?」
私は、なにか探すよりみんな持って行けば?って言ったんだよね?たしか。
「これを探すのに手間取った」
手首に着けたブレスを見せながらにやっと笑うトリス。
「あーっ!」
そういう事!?
あれだけの荷物の中からこんな小さいのを探すのは、、、
私だったら特に必要なかったら当然後回しにする。
うー、、。
私は無意識にがばっとトリスの腕に抱きついた。
「ごめん、、ありがとう、、」
「ふふっ」
トリスは、どういたしまして、というように笑う。
ばん!っとレヴィが体当たりしてくる。
ぐはっ。
「あはっ、なあに?」
「リーナ!四葉!」
少し遅れてきたレヴィが四葉のクローバーを手に嬉しそうに自慢する。
「よかったな」
トリスがほめる。
「ふふー」
「やったね!」
大事そうにハンカチに包んでポーチにしまうレヴィ。
指輪だって、ブレスだって、街に入れたのだから何も問題はない。
3人仲良くまずは宿屋を物色する。
イノシシや犬の素材を売った店でお勧めの宿屋をきいた。
女子だけのパーティーならと紹介されたのは、繁華街からかなり離れた場所にある小さめな宿屋だった。
ここ、、どうなんだろう?とおもっていると
「お客さんですかー?」
元気な声がした。振り返ると買い物籠を抱えた女の子がにこにこと立っていた。
「あー、、3人なんだけど、、」
言いかけると
「わあ!ありがとう!!お客さんだよー!」
またも元気に両開きの扉にどかん!って体当たりして開けつつ中に入っていってしまった。
私たちは顔を見合わせて笑うと、女の子に続いて宿屋に入った。
とりあえずはここに泊まることになりそうだ。
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