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しおりを挟むアリアは副隊長室に戻る時にもう1人連れて来ていた。
隊長だ。
「警備隊隊長を務めるセイヅだ。この度は隊員が世話になる」
固い。まぁこれこそ軍人な気もするけど。
「リーナです。縁あって以前アリアに剣のなんたるかを教授しました。隊員の皆さんにもよろしくお伝えください」
私も固めで返す。
「ふむ、隊員は警備が役目だ。もちろん警備を薄くする事は出来ない。日替わりでの少人数での稽古を予定してくれ」
みんなでやるんじゃないの?前来た時の3倍は兵隊いるじゃんか!
「わかりました。しかし隊員の方々は立ち合いの見学も希望していると聞いていますが?」
「それについては1日の稽古の最後に貴女と、私と副隊長がそれぞれ一度づつ立ち合いをすれば皆が観戦する事が可能だと考えている」
たしかに!ていうか隊長もやるのか。
「わかりました、ではそれで。日程と人選はそちらにお任せしてもよろしいですか?」
「もちろんだ。副隊長と擦り合わせて明日には伝えよう」
「よろしくお願いします」
視線だけで会釈すると隊長は戻って行った。
「はぁ、、、、」
マキナがほっと緊張を解いてため息をもらす。
「隊長かたいなぁ、、師匠がかわいいから緊張してるのかな?」
アリアはおかしな事を言う。
「あははは!そうかも!」
レヴィも?なんで?
「あー、とりあえず私メニュー考える!」
「うんうん!」
レヴィは終始嬉しそう。
「マキナはブキはなに?」
「あ、はい!私は直剣です!」
「わかった!がんばろうね!」
「はい!よろしくお願いします!」
元気があってよろしい!
アリアはちょっと嬉しそうにクッキーをぽりぽりしている。
「あれ?今日はアリア暇なの?」
「あー!町の案内ですか??」
身を乗り出すアリア。
「ちがうちがうー!」
レヴィはわかったみたい。
「リーナは、アリアが頑張った成果をみたいんだよー!」
「!!」
ギャン!
私の真横まで一瞬で来て、ピン!とするアリア。
「しーしー、、しー、、、」
「はいはい、稽古場に行こうアリア」
マキナも一緒に嬉しくてぐちゃぐちゃに泣いているアリアを抱えて稽古場に来た。
広い!なにこれ!!
レンガの壁で囲まれた稽古場は想像の倍は広かった。
「師匠!これが稽古用の剣です!」
ウキウキてアリアが直剣を2振りもってくる。
鋼鉄製のかなりいい剣だ。
普通は稽古なら木剣が基本なのにただの鉄ですらない。
レヴィに渡してみる。
「おー!」
ぶんぶん振って確認するレヴィ。
「ふわぁ!」
16の型。
「うんうん!いいよいいよー!」
剣が気に入ったレヴィは上機嫌だ。
「すごい、、、」
マキナは感嘆の声をだす。
「アリア、これ、、用意したの誰?」
「あ、子爵からの配給です。やっぱりかなりの業物ですよね?」
「うん、とりあえず今日はこれで立ち合いしよう」
「うん!よろしくお願いします!師匠!」
子爵の思惑はあとで考える。
それより今はアリアがどれだけがんばったかが見たい。
「離れて離れて!」
レヴィがマキナを間合いの外まで引っ張って後ろから支える。
「胸をお借りします!」
「うん!どうぞ!」
正眼に構える私とアリア。
ギャン!
アリアが目の前に来た。
うん!はやい!
16の型をちゃんと解釈してる!しかもランダムに組み合わせてフェイントまである!
剣を合わせてわかる。
うんうん!すごい!
キメラ倒したのがいつかわかんないけど期待以上のスピードと剣圧だ!
私はアリアの攻撃をさばきながら言う。
「もっと出来るでしょ?!」
「はい!!」
ギャン!
スピードが上がった!すごい!
今日はこのくらいかな?
3連突きの一撃目を八相でいなしてアリアのお尻をぺちんする私。
「きゃん!」
「今日はここまで!」
ぺちゃりと座るアリアに手を出して立たせる。
「アリアすごい!はやい!強い!私の弟子は、めっちゃ頑張った!」
それを聞いて精悍だったアリアの顔がぐしゃって崩れる。
「うぅああぁ、、しぃしぃーしぃー、、!」
がばりと抱きついてきてわんわん泣き出すアリア。
この子泣きすぎ。
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