いつかまたおなじ空のしたで

S e v

文字の大きさ
94 / 212

87

しおりを挟む

アリアは副隊長室に戻る時にもう1人連れて来ていた。
隊長だ。
「警備隊隊長を務めるセイヅだ。この度は隊員が世話になる」
固い。まぁこれこそ軍人な気もするけど。
「リーナです。縁あって以前アリアに剣のなんたるかを教授しました。隊員の皆さんにもよろしくお伝えください」
私も固めで返す。
「ふむ、隊員は警備が役目だ。もちろん警備を薄くする事は出来ない。日替わりでの少人数での稽古を予定してくれ」
みんなでやるんじゃないの?前来た時の3倍は兵隊いるじゃんか!
「わかりました。しかし隊員の方々は立ち合いの見学も希望していると聞いていますが?」
「それについては1日の稽古の最後に貴女と、私と副隊長がそれぞれ一度づつ立ち合いをすれば皆が観戦する事が可能だと考えている」
たしかに!ていうか隊長もやるのか。
「わかりました、ではそれで。日程と人選はそちらにお任せしてもよろしいですか?」
「もちろんだ。副隊長と擦り合わせて明日には伝えよう」
「よろしくお願いします」
視線だけで会釈すると隊長は戻って行った。
「はぁ、、、、」
マキナがほっと緊張を解いてため息をもらす。
「隊長かたいなぁ、、師匠がかわいいから緊張してるのかな?」
アリアはおかしな事を言う。
「あははは!そうかも!」
レヴィも?なんで?
「あー、とりあえず私メニュー考える!」
「うんうん!」
レヴィは終始嬉しそう。
「マキナはブキはなに?」
「あ、はい!私は直剣です!」
「わかった!がんばろうね!」
「はい!よろしくお願いします!」
元気があってよろしい!
アリアはちょっと嬉しそうにクッキーをぽりぽりしている。
「あれ?今日はアリア暇なの?」
「あー!町の案内ですか??」
身を乗り出すアリア。
「ちがうちがうー!」
レヴィはわかったみたい。
「リーナは、アリアが頑張った成果をみたいんだよー!」
「!!」
ギャン!
私の真横まで一瞬で来て、ピン!とするアリア。
「しーしー、、しー、、、」
「はいはい、稽古場に行こうアリア」
マキナも一緒に嬉しくてぐちゃぐちゃに泣いているアリアを抱えて稽古場に来た。
広い!なにこれ!!
レンガの壁で囲まれた稽古場は想像の倍は広かった。
「師匠!これが稽古用の剣です!」
ウキウキてアリアが直剣を2振りもってくる。
鋼鉄製のかなりいい剣だ。
普通は稽古なら木剣が基本なのにただの鉄ですらない。
レヴィに渡してみる。
「おー!」
ぶんぶん振って確認するレヴィ。
「ふわぁ!」
16の型。
「うんうん!いいよいいよー!」
剣が気に入ったレヴィは上機嫌だ。
「すごい、、、」
マキナは感嘆の声をだす。
「アリア、これ、、用意したの誰?」
「あ、子爵からの配給です。やっぱりかなりの業物ですよね?」
「うん、とりあえず今日はこれで立ち合いしよう」
「うん!よろしくお願いします!師匠!」
子爵の思惑はあとで考える。
それより今はアリアがどれだけがんばったかが見たい。
「離れて離れて!」
レヴィがマキナを間合いの外まで引っ張って後ろから支える。
「胸をお借りします!」
「うん!どうぞ!」
正眼に構える私とアリア。
ギャン!
アリアが目の前に来た。
うん!はやい!
16の型をちゃんと解釈してる!しかもランダムに組み合わせてフェイントまである!
剣を合わせてわかる。
うんうん!すごい!
キメラ倒したのがいつかわかんないけど期待以上のスピードと剣圧だ!
私はアリアの攻撃をさばきながら言う。
「もっと出来るでしょ?!」
「はい!!」
ギャン!
スピードが上がった!すごい!
今日はこのくらいかな?
3連突きの一撃目を八相でいなしてアリアのお尻をぺちんする私。
「きゃん!」
「今日はここまで!」
ぺちゃりと座るアリアに手を出して立たせる。
「アリアすごい!はやい!強い!私の弟子は、めっちゃ頑張った!」
それを聞いて精悍だったアリアの顔がぐしゃって崩れる。
「うぅああぁ、、しぃしぃーしぃー、、!」
がばりと抱きついてきてわんわん泣き出すアリア。
この子泣きすぎ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

紫南
ファンタジー
十二才の少年コウヤは、前世では病弱な少年だった。 それは、その更に前の生で邪神として倒されたからだ。 今世、その世界に再転生した彼は、元家族である神々に可愛がられ高い能力を持って人として生活している。 コウヤの現職は冒険者ギルドの職員。 日々仕事を押し付けられ、それらをこなしていくが……? ◆◆◆ 「だって武器がペーパーナイフってなに!? あれは普通切れないよ!? 何切るものかわかってるよね!?」 「紙でしょ? ペーパーって言うし」 「そうだね。正解!」 ◆◆◆ 神としての力は健在。 ちょっと天然でお人好し。 自重知らずの少年が今日も元気にお仕事中! ◆気まぐれ投稿になります。 お暇潰しにどうぞ♪

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...