いつかまたおなじ空のしたで

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「ちょっっ？？？それじゃあ子爵が魔王を復活させたってこと？」
私は2人に抱きつかれたまま立ち上がる。
「それは違う！これは身内しか知らない事なんだ。子爵は、叔父のランジーは魔族の中で最強の者と取り引きをしてこの町に被害がでない様にして私服を肥やしているんだ」
悔しげに拳を握りながら絞り出すように言う。
「はぁ、、。そんな領主っている？それじゃあ警備隊だってかっこばっかりなんじゃないの？居るだけの警備隊に意味なんてないんじゃないの？」
「形だけでも町のみんなは平和に暮らせるんだ。隊員達もだ。町を守るとみんな誇りをもっているんだ」
絵空事だ。
「そんなの、裏切りじゃないの、、。セイヅ、隠してる事全部言って」
勢いがつきすぎて、肩で息をする私にセイヅは語り始めた。
かいつまんではこうだ。
トリスと私が脱出した時にランジーは警備隊の隊員だった事。
人数の減った警備隊員の中で頭角を示し領地を賜ったが辺境だった事。
この町を含む領地を得た頃から野党と手を組み自作自演の魔族討伐で名をなし子爵までのし上がった事。
道楽から買った奴隷が魔族とのハーフで、その男を使って影という名の裏の組織を作って更に自作自演を増長させて、その頃から「自称魔王」とのつながりが出来た事。
「自称魔王」に魔鋼の技術を貸す事でキメラを大勢従えている事。
そして、子爵位と共に魔封の宝玉２つの管理を任されている事。
だいたい、というか私達が持ってる情報そのまんまだ。
グレンに手を貸していたのはランジーだったのか。それじゃあアメリアとの直接のつながりはわかんなあまんまか。
でも、ランジーがあと石を1個もっているのは間違いない。
「これでおしまい？」
「ああ、全て話した」
セイヅはぐったりしている。
アリアはぐしゃぐしゃに泣いている。
「セイヅ、アリアを泣かせたね」
はっと顔をあげるセイヅ。
アリアはしゃくりあげて泣いている。
「アリア、本当にすまない」
アリアは泣きじゃくるばかりだ。
私は両手で2人を抱くとセイヅに言った。
「警備隊のみんなとの約束は守る」
もう隊長としての威厳もなにもない男がうなだれている。
詰め所を出て、私は2人を連れて宿に戻って寝かせた。
頭が痛い。
ランジーの影の1人、ワドウが魔族になりたかったのも、なんとなくだけど理解できるほどになってきた。
人族がなに考えてるのか、ほんと私もかわかんないよ。