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しおりを挟むごくりと息をのみセイヅは答えた。
「事実だ。私もその頃は首都で警備隊の一角を率いていたのでな、脱出に使われた通路もこの目で見た」
真剣な目だ、セイヅは嘘を言ってないと思う。
「通路って?警備隊はなんで捕まえなかった訳?てゆうかうわさでは、、封印されてたんでしょ?」
宝玉を壊したらトリスもおじいちゃんも出てこれた。でももし安全で違う方法があるなら知りたい。
それにセイヅが見たのが事実なら情報も事実だ。
ある意味すり合わせだけど本当か判る。
「警備隊は、隊長を残してほぼ全滅した。
それから、、今言った通路というのは正確じゃない。魔王は通路を「作って」そこを通って歩いて首都の中央区を脱出している」
やっぱり色々みたのか、、。
「えっと、、警備隊が全滅って、みんな死んだの?首都でしょう?なにそれ、、」
アリアはガクガク震え出している。私はアリアを座らせて腰を抱いてあげた。
「当時の隊長は魔王の言葉を覚えていてな「命が惜しいものは去れ」魔王はそう言ったそうだ。それから魔王はなんらかの妨害魔法を使っていてその姿は黒髪だったり金髪だったり様々だったようだ。それと、、警備兵のほとんどは現在だ。彼らはなすすべなく逃げたのだからな」
両手の拳を固めながらセイヅはまるで自らの恥を告白するように言う。
「そんな魔法もあるんだ、、。でも、封印が破られるなんてあるの?」
答えないことは知らないことかもだけど、知っていたなら是非とも情報は欲しい。
「わからない。アメリアの技術局の話では「破壊不可能」よって「解放は不可能」という事、、らしい」
なんかイラついて来た。
「でも、魔王逃げたんでしょ?誰かが手引きしたんだよ、たぶん、、」
アリアは私に抱きついて離れない。レヴィも私の腕に抱きついたままだ。
「確認できなかったんだ!脱出の方法が!宝玉が保管されていた離宮は瓦礫の山!技術研究所は抉り取られ深さは地底湖まで達して今では首都に湖がある!、、リーナ、君はアメリアの中央区に行ったことはあるか?」
「うん、、」
「あの何処からでも見える城門が、魔王が歩いただけで破壊されて見る影もないんだ」
一息つきながらセイヅは続ける。
「だが魔王が復活したなら、その魔王に対抗できるとしたなら勇者しかいない!勇者アレス!勇者グレン!過去現れた2人のような勇者しか!」
「そんなのおとぎ話でしょ?馬鹿馬鹿しい、、。それじゃあ、おもちゃだけど「聖剣」を持ってる私が今の勇者?」
アレスがトリスに勝てたのはずるしたからだし。
呆れたふうに答える私。
「いやそれは、、。たしかにおとぎ話かもしれん。だが人族が魔族に対抗するには勇者に頼るしかないんだ!」
「今の時代に勇者なんて信じてるのアンタくらいだよ、、だいたい魔族なんて見たこともないし」
はっとして顔をあげるセイヅ。
なに?なんか情報??
「アリア、君はしっているね」
こくりとうなづくアリア。
「師匠もしってるでしょ?キメラ、、」
たしかに!あー失敗した!たしかにアリアのケガをキメラって言っちゃったんだった。
「ランジー子爵はキメラを保有している。しかも兵力として」
「たしかに、、アリアは入隊試験でキメラと戦ったって言ってたっけ、、でもどうやって手名付けるの?」
「魔鋼の枷というのを聞いた事は?」
「うん。あるけど、魔族を奴隷みたいにするんでしょ?それも本物?」
「もちろんだ。子爵はアメリアから様々な技術を提供されていてそのひとつに魔鋼技術もある」
ランジー子爵か、なかなかに手強いな。
「相談だ、リーナ。子爵に会ってくれ!そしてこの町を、、人族の生きる場所を守る拠点として、魔王と魔族の進行を阻む防波堤とするために力になってくれ!」
がばっと乗り出して頭を下げるセイヅ。
魔族もみんなおんなしように必死なんだよ?
生きる場所を、明日を迎える場所を守るために必死になってるんだよ。
自分勝手だって思わない?
いっそのこと全部ぶちまけたい。
アメリアから魔王と脱出したのは私。
研究所を奈落にかえたのも私の意思。
勇者に頼って要らなくなったら封印したのは人族なんだよ?
またおんなし事するの?
200年経ってもなんにもかわってない。
自分勝手な人族。
あのあったかくて賑やかだったセレスティアナが懐かしい。
また取り戻したい。
私が帰りたい場所。
私はもうここにいるのが嫌になっていた。
私の態度を見てか、こちらの長考に折れたセイヅがボソっと言った。
「もうひとつだけある」
「なに?まだなにかあるの?」
イラつきが頂点にきて私は吐き捨てるようにいった。
「子爵は、魔族と内通している」
セイヅがやっと切り札を出して来た。
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