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しおりを挟む「まさか仲良くなったらみんな仲間だなんて思ってないよな?」
おじさんが「すわりな」って促しながら言う。
たしかにそうだ。
ワドウの件だってあったんだ。
おじさんは戸棚からお菓子を出してテーブルに置きながら話し続ける。
「まぁ、、姉ちゃんみたいな素直なやつは嫌いじゃねーよ?隠し事やら騙す騙さないやら関係なくよ、、なんつーか話してて気分が良いからな!」
レヴィもうなづく。
「ラシバル達の事も、感謝してるよ、、」
ぎゅ。
「あー、、。なんつーか、解るんだよなぁ」
ちょっと遠い目になるおじさん。
「あいつらはよ?理想があるだろ?俺も一緒さぁ。強くなって家族を自分の周りの人を、街を守りたい」
「おんなしならどうして?!」
たまらずに聞きかえす私。
「上には上がある。解るか?」
「うん」
それはわかる、私とレヴィは強くなった。でもトリスやおじいちゃんの方がづっと強い。
「適度な理想っていうかな?あるんだよ。境界線みたいなもんがな?」
私達はおじさんをじっと見て続きをうながす。
「月真流の免許皆伝貰ってな、もう無敵だと思ったよ!、、、けどな姉ちゃん。俺は境界線を踏み越えちまった。知らなきゃ幸せだった事を知っちまったのよ」
「なにがあったの?」
「分かりやすく言やぁ、スパイだな?」
ごくりと息をのむ。
「意外だろ?俺は自由人だったからな?ははっ!」
笑って見せるおじさん。けど楽しそうじゃない。
「強くなって、セレスティアナの近衛隊に入隊して、しばらくしてからだ。俺が「境界線」を超えちまったのは、、」
「あ、、、」
私はゼクスさんが言おうとしたのをトリスが止めたのを思い出していた。
裏切り。
おじさんが言う乗り越えてしまった「境界線」っていうのはたぶんそういう事だ。
「その顔は、なんとなく気がついたか?」
「ゼクスさんと、おんなし?」
ぴくりとするおじさん。
「あー、、隊長もっていうか近衛隊は全員だよ。アメリアに良い様に使われて要らなくなったやつはポイだ!ははは!」
カラカラと笑う。
「逆に裏切ったらよかったんじゃないの?」
「それが出来りぁあな?さっきの「理想」の話だけどな?「理想」の行き着く先にはなにがあると思う?」
「えっと、、さらなる「理想?」があるんじゃないの?」
わかんなくなってきいちゃった私。
「ねえんだよ、そんなもん」
「え??」
「ねえんだよ「さらなる理想」なんて無かったよ。あったのは「現実」だ。食い物が欲しいなら金がいる。金を稼ぐには仕事がいる。んでよ?稼げるようになったら豊かになるよな?」
「うんうん」
いつも通りレヴィが促がしてくれる。
「まあそんなんで俺は近衛隊辞めてな?がんばってがんばってがんばってな?家族や周りのみんなが豊かになったよ。人が集まって来て村が出来て更に集まって町が、街が出来た」
「うん、みんな豊かになるなら良い事じゃない?」
ふるふるとおじさんが首を振る。
「その先はなんだ?街を治めるやつが必要なんだよ。仕方ねぇ、俺がやったよ。あの頃はセレスティアナのおかげで魔族だ人族だって垣根はなかったからな」
「うんうんうん!たしかに!」
私は肯定する!
「それが「境界線」だって、気がつかなかったんだよ。ある時アメリア連合から勅使が来た。こいつを持ってな」
おじさんはいつも着けてる手首のおしゃれバンダナを外して見せる。
その下には変身ブレスレットが着けられていた。
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