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しおりを挟む食後のお茶をスフィが持って来てくれた。
お茶もほんと美味しい。
ハーブティーが甘いフレンチトーストの口をすっきりさせてくれる。
「美味しいー」
「うんうん!なんか朝ごはんたべたーってなるよね?!」
レヴィはスフィのごはんが気に入ったみたい。
おじさんもそんな私達にご満悦な様子だ。
お茶のおかわりを持って来たスフィにおじさんがなにかお使いを頼んで、スフィは出かけて行った。
朝ごはんが終わってからもおじさんは楽しそうだった。
屋敷を案内しながら集めた本も見せてくれた。
もちろん料理の本もあって、あの木の実も載っていた。くまの実と呼ばれていてこの辺りの森が原産らしい。今では野生の物は少なく栽培された物が売られているんだという。
おじさんは、部屋を案内しながら「おっと!寝室は見せられないぜ?」なんて冗談も混ぜてくる。レヴィがそっと覗こうとするとダメダメ!って焦ってみせたりして。
きっと別に変なものは何にもないだろうけど。
そういえば、広いお屋敷なのにスフィしか使用人がいない。
このお屋敷はなんか変だ。
「ねえおじさん、他の人はいないの?このお屋敷」
なんとなく、ほんとなんとなく聞いてみた。
おじさんがぴくりとする。
え?
「あー、、」
おじさんがくちごもる。
「だってだって、食堂のテーブルにはもっとたくさん席があったよ?お部屋もたくさんあるよね?」
おじさんは黙ってる。
「どうして、いなくなったの?」
やっぱりレヴィも気になるみたい。
「はぁー、、楽しい空気に水をさすんじゃねーよ、まったく」
おじさんの足が止まる。
「つーか姉ちゃん、一介の商人がこんな屋敷に住める訳ねーだろ?!」
え?それじゃあ、、、なに?
「この大陸で1番金もってるのはどこだよ?」
えっと、お金?お金、、、。
「それは、、ん、たぶん、アメリアだよね?やっぱり、、」
おじさんがなに言ってるのか分かんないな、、。
「ランジー領、やったのは姉ちゃんだろ?」
びくりと体が固まる。
「ははは!やっぱりな!わかりやすいったらねーぜ!」
カラカラと笑うおじさん。
「ランジー本人はもちろん死亡が確認された。でもそんなのは俺達にしたら小さな問題なんだよ。領主なんて変わりはいくらでもいるからな?」
「なにが、言いたいの?」
石の事だ。
わかってるけど聞いてみた。
「魔封の宝玉。町は瓦礫の山だけどよ?宝玉は破壊不可能だからな?あの石が行方不明って事は?ん?どこにいったんだろうなぁ?」
やっぱり。
おじさんはなんかやっぱり情報を持っていてかまかけてきてる?
それとも確信があって言ってる?
どっちにしても困る!
「ははは!姉ちゃん!顔に出過ぎだって!」
レヴィはカチカチになっちゃってる。
私はじりじりとレヴィをおじさんの間合いから隠す様に動く。
「今日の敵は明日の友。とか言うよな?俺はアメリア側だけどよ?姉ちゃんは魔族側だよな?」
「、、、うん、、」
おじさん、とんでもない裏があったんだ。
しかも自分をアメリア側って、、。おじさんだってハーフなのに。
「あー!案内が終わってなかったな!ここが俺の書斎だ。」
がらりと雰囲気を変えておじさんが言う。
カチャリとまた鍵のかかってないドアを開けて見せるおじさん。
地味だけど立派な机、来客用のテーブルにソファーもあるし、壁には剣が掛けてある。
おじさんに手招きされて、私達はおじさんの書斎に入った。
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